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【駄作!せめて死ぬならオイシク死なせて!ミスチルのあの歌の歌詞を思わず思い出す!】コード211

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我が国最大のポップモンスター、Mr.Childrenの「HERO」という曲の中にこういう一節がある。

「駄目な映画を盛り上げる為に、簡単に命が捨てられていく」

ミスチルの作詞家でもある桜井和寿が、どの映画を指して(鑑賞して)この歌詞に込めたのかは不明だが、きっとその「駄目な映画」も、本作の圧倒的な駄目さ加減には敵わないだろうと想像する。

中身のない海外アクションドラマの終盤だけ見せられたようなこの映画は、一体誰が主人公なのかもよくわからない。ニコラスケイジ主演と謳っているのは、あくまでも宣伝文句の為で、ニコラスケイジがこの映画に出演を決めた理由は、たぶん脚本に惚れ込んだ訳でもなく、たぶん監督と仲が良いからでもなく、たぶん(絶対)、ギャラに対して稼働日数が節約された好条件に彼は出演を決めたに違いない。(なので、そこまでニコラス出ずっぱりではない。けど、出ずっぱりのようには見せてる。そこだけは上手い)

結論から言うと、仏の優しさでこの映画を採点したとしても、迷いなしでの0点映画だろう。

無駄に群像劇の本作は、たくさんの登場人物にペラ1サイズのバックボーンを貼り付けるだけ貼り付け、躊躇いなく殺しまくる。いかんせん、こっちはそんなモブキャラ以上サブキャスト未満の人物にこの短時間で感情移入することなんて不可で、ただただ呆然とその死を見せつけられる。普通、モブキャラ以上の死際のシーンというのは、最後に何か命をかけての一仕事を終えて死んでこそ、その対価のお涙を頂戴するわけだが、そういった「最期の仕事」が一つもないまま死んでいく。

例えば、強盗被害を受ける銀行の支店長。出勤前、妻に今日は結婚記念日よと言われ、早めのディナーを一緒にとろうと、その老夫婦は約束する。しかし、銀行は強盗に入られ、銀行員は全員人質にとられる。人質は全員携帯を奪われ隔離される。しかし、一人の従業員はこっそり携帯を持っていて、それをいじってると強盗犯にそれを叱られる。そこに立てついた支店長。強盗犯の怒りの矛先は支店長へと移る。「私を撃て」支店長は言う。すると、何の葛藤なしに額をバーン!(即死)……

結局、そのこっそり携帯を持っていた従業員も助かる為の一仕事さえしていない。携帯をいじっていたが、何をしていたのかもわからない。その支店長もそいつを庇ったところで何の成果を得てもいない。別に支店長が死ななくても、そいつは生き延びた可能性も多いにある。とても正義感の強い人間。そんな良いシーンでもなく、あっけなかった。更には、支店長の妻も、朝のその1シーン以降1ミリも出演はない……うーん。である。

1日パトカーに同乗するという学校の罰指導(なんだそれは?)を受けていた少年は、この事件に巻き込まれ、前線に取り残されるハメに。何故、取り残されてしまったかと言うと、逃げてる途中で携帯を落としてしまったからだ。命をかけてまで取りに戻った携帯電話。しかし、この携帯電話というアイテムも、本作での活躍は一切なし。こりゃまた、うーん。。。

この映画、実際に起きた「ノースハリウッド銀行強盗事件」を元にしているらしいが、その記事を読むと死亡者は犯人以外出ていない。つまりは、この映画での正義の犠牲者は盛り上げる為の脚色ってわけだが、逆に盛り下げている。本作の事件の発端はカザフスタンから始まるがそれも意味不明な規模拡大の制作費をドブに捨てる脚色だ。実際にボクがこんな本を書いたら、間違いなくプロデューサーに頭を引っ叩かれるだろう。

正直、この事件、映画を見るよりも、Wikipediaを読んだ方がまだ面白い。

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