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俺か俺以外か?

巷でこんな本が流行っているようである。
つい最近までこの本の著者も知らなければ、この本を書いた金髪の芸能人(何者?)も知らなかった。

一応私も、(かなり無名だが)歌舞伎町ホストだっただけに意識して調べてみた。※自分の時代にはこんな子いなかったなー。いつ台頭した人だろう。(独り言)

ローラー?ローリー?ローランド?

でもこの言葉はシンプルかつ分かりやすいアイデンティティの重要性を表す言葉だと感じる。

この言葉がパッと出た一時的な感情に起因した記号なのか、それとも、これを説いた本人自身が、俺とは何か?俺らしくとは何か?


をひたすら考えた上に出た普遍的記号だったのか分からないが、テレビに映る赤裸々番組内での人物像を見る限り、後者ではないかと推察する。


そういえば最近、「自分らしくありたい」と嘆く若者に出会うことが多くなった気がする。


職業柄(人事15年くらい)、若者と話す機会も多いが、自分がその年頃に考えたこともなかったような、「自分」へのこだわりなのか、周囲との隔離なのか。

とにもかくにも鎖国願望のような発言が多い。
もしかすると自分を取り巻く環境に、今の世代の若者は疲れているのかもしれない。
だから、周囲に惑わされない強い自分を描こうとしているのか。

「〇〇したい」という願望は、得てして〇〇していないときに発せられる言葉である。

そうなると、「自分らしくありたい」という言葉の裏側には、「自分らしくない」自分と対比的に使っているか、More/Lessの意味合い、つまり「またまだ自分らしさは出しきれてない」ために使っている言葉だと捉えてしまった。

いずれにせよ「自分らしくありたい」という言葉はポジティブな心境ではないのかもしれない。

もう数年前になるが、エッセンシャル思考(グレッグ・マキューン著)というベストセラー書籍にどっぷり浸かり実践していたことがある。

最小の時間で最大の成果を得る、というサブタイトルの書籍だが、この本の本質は、「周囲に影響されることなく、ただ一心にひたすらに為すべきことを為せ」が多数の事例と共に書かれたものである。つまり「自分がやりたいことだけに断捨離する」が要約するに相応しい。

「自分らしくありたい」に通ずる思考法にも思える。いっそのこと自分以外の自分を断捨離するのも面白い。

タイトルで使わせて頂いた「俺か俺以外か」は、「自分らしくありたい」人達にとってのロールモデルのような言葉ではないかと思う。

世の中に2種類の人間がいると言われたら、ほとんどの人間は、客観的に世の中の何かしらの事象・事柄を感覚的均等割した2つを答えるだろう。

一方、ローリング?ローランド?ロリエ?の名言は、主観的で、自分自身を基点に世の中を論理的に割った2つにしているところが新しくて面白い。主観的MECEとでも言うか。

論理的だからこそ誰もこの言葉自体に苦言を呈する人が現れない。

ローランド風にいうと「自分らしくありたい」は、「俺か、俺でないか」といったところか。

今の自分が「俺か、俺でないか」判断するためには「俺」が何者かを常に知っておく必要がある。所謂、自己分析が常時できている状態である。ただし、ここでの言葉は、「俺か俺以外か」とは少々ニュアンスが異なるようである。

人は外的要因から自分を守るためさまざな自分を演じる。敵から身を守るために突然変異を覚えた昆虫のように、それまでの自分の形を変えることであらゆるストレスから身を守るため変異し続けて今の自分がいる。

結局はそんな変異した自分も自分である。そしていつからか変異した自分を自分らしくない、と考える瞬間がくるのだろう。

それはおそらくこれまで変異して対峙できていた事象・敵とは全く異なる、今の能力では対峙できない事象・敵に直面した場合に、どの自分が今回有効か判断つかなくなっているのかもしれない。「本当の自分」さえ掴めば、新種の事象・敵にも勝てると考えてしまう。

「俺か俺以外か」という表現は、「自分らしくありたい」よりも力強さと自信を感じる。

それはあくまで外部へのパフォーマンスとして発言されたフレーズかもしれないが、自分らしく生きられないと感じる人には出てこないフレーズだろう。

この力強さと自信。

「自分らしくありたい」の解決方法は、自分を見つける自己分析ではなく、力強く自信を持って生きることではないか。

それが自分らしかろうが、らしくなかろうが実はさほどの問題ではないのかもしれない。

周囲が「自分らしく生きてる人」と思う人は、力強く自信を持っている人だろう。それは必ずしも自己分析の結末とは言えない。


「俺か、俺以外か」

シンプルだが人々を引きつける不思議な言葉だ。
こういう力強い言葉が、悩める現代の普遍的な感情を取っ払う(自然と勇気を与えてくれる)魔法の言葉なのかもしれない。




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