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女の子になりたかった。

男の子だとか、女の子だとか、ゲイだとか、レズビアンだとか、

みんな
他人に名前を付けられたがっている

みんな
自分1人じゃ、自分に名前を付けられなくて
自分1人じゃ、生きていけなくて

だれとだれがおなじだなんて
だれとだれがちがうだなんて

そんなに大事なことなの


わたしの傍にはいつも、必ず女の子がいる
傍に女の子がいると、わたしは安心できる

でも、もう1人のわたしがこう言うの

んん、、だめよ、それ以上は、、
それ以上踏み込めば、もう戻れないよ、

それでもいいの?


人の目を気にするわたしが、だいきらいだ、

好きな服だけ着ていたいし
愛するすべての人達と、交わっていたい

ただそれだけなのにな、

1人を愛し続けるのが愛だなんて
馬鹿みたい

セックスするのは恋人とだけだなんて
馬鹿みたい

形あるものでしか繋がれないのが人間だとしたら
わたしはもうこの世界でだれもあいせないよ、

ああ、誰の目も気にせずブティックで可愛いお洋服を好きなだけ試着してみたいけれど、わたしにそんな度胸があるわけもない

街ゆく人の服装や髪型を観察するのはとっても大好き、1度気になるとずっと目で追っていって、わたしも真似したいなぁ、絵にしたいなぁ、あの服は言葉にしたらどんな表現ができるのかなあなんて、そんなたわいもないことを想像するそうすると、わたしは女の子でよかったなあなんて、つくづく思うんだ、もしわたしが男の子だったら女の子を目で追っているだけで怪しまれてしまう、ここはそんな表面上でしか交わりあえないちっぽけな世界だからね、わたし次も生まれ変われるとしたら間違いなく女の子を選ぶよ、

夜明け前の瑠璃色した空の下でわたしは、横座りをして全身を濡らし佇む不思議な少女と出逢った。肩が震えていた。たぶん泪で声を嗄らしたあとなのだろう。彼女は今にも抱きついて泣き出しそうな衝動を抑えて、こちらを真っ直ぐに見つめてきた。

「なぜそんなに身体を濡らしているの?」

わたしは躊躇いもなく聞いた。白いレースの服から透けて見える彼女の白く細い腕はその艶美さを増して、より完全体に近づいているように見えた。

そうして少女は虚ろげに、こう言った。

「これはね、自分で濡らしたんだ。わたしのなかの真っ黒で野蛮で醜い衝動が、わたしを追いかけて、追いかけて止まらなかった、まるで何かに取り憑かれてしまったみたいにね。わたしはそれを洗い流したかったの、擦り落としたかったの、きえてくれたらどんな形でもよかったの。わたしはきれいになりたかったの」

まるでわたしを観ているみたいだった。
しかし、わたしは彼女を救うことを躊躇った。

「こうやって、わたしはニンゲンを試しているの。そうして、馬鹿だなあ、醜いなあ、そんなことを思いながら、わたしもそんな穢いニンゲンの1人なんだと、そこから抜け出すことは無理なんだと、そう確信するの」

少女はわたしと同じ色の眼をしていた。
いつ死んでもいいと思っている、そんな眼だ。

「この世界でやることなんてすべて暇つぶしだから。だからわたしはLunacyになることを決めたの。わたしはこの世界のぜんぶから嫌われたい。」
  

少女は喉を潰すまで叫び続けた。髪の毛を1本ずつ抜いた。白く透き通った腕に紅い傷をつけた。それはずっと眺めていられるくらいに、綺麗な朱殷色をしていた。少女は自分を傷つけることをやめなかった。朱殷色の涙を流した。服を朱殷色に染めた。しかし彼女の秀麗さはその身を傷つければ傷つけるほど、際立っていく一方であった。

「ああ、、。ただ嫌われたいだけなのに。わたしの美しい声も、艶のあるこの髪の毛も、白く透き通った腕もわたしには必要ない。なのになぜ、傷つけても傷つけても、それでも誰かを魅了してしまうの、、。いらない、いらないいらない、、どっかいけ、どっかいけよわたし、、きえろ、、」

誰かを助けたいだなんてみんなよくそんな嘘が吐ける。だって「助ける」だなんて、「救う」だなんて、ぜんぶうそだ。助けることに充足感を感じているだけの、自己満足で一方的な行為だ。偽善者だ。だって殆どは抜け出すのが困難なくらいに「依存しあう」関係を作り出しているだけだ。その繰り返しだ。「あなたを助ける」だなんて言って依存させて、わたしはまたその穴から這い出して抜け出すことができなくなるんだ。私をこんなにしたのはお前らのせいだ。依存したいなら勝手に依存してればいい。どうせ 名前の渦に閉じこめられるだけなんだから。

Fair is foul, and foul is fair.
きれいはきたない  きたないはきれい

わたしもいつからか少女と同じように
みんな偽善者にしか見えなくなっていた。

 形がおんなじでも、名前がおんなじでも、
まったく違うものだってあるのに、

「おんなじだよね」
って意味がわかんない、一緒にしないで、

もうわたしに話しかけないで
もうわたしに近づかないで

「宣誓。良心に従って真実を述べ、何事も隠さず、偽りを述べないことを誓います」

ああ、そうだ
あなたたちは私が言葉にしたものだけが、形にしたものだけが、わたしの世界なんだと、わたしのすべてなんだと、そう判決を下す、そういう生き物なんだ

わたしが発した断片的な言葉の音を拾いとって繋ぎ合わせる、それでわたしを上手く纏められた気になる

でもあなたたち知らないでしょう
繋ぎ合わせたジグソーパズル、その間には簡単には埋めることのできない大きな溝があること

でもそれももう、どうでもいいんだ
わたしだけがわたしの言葉の世界を創造して
わたしだけがわたしの聲を掬いとっているのなら
もうそれだけでいい もうなにもいらない

ねえ わたしはもうなにも 求めないから
痛みもなく 安らかな死を どうかわたしに

「なにより、実体そのものを見たりしないでくださいよ、実体なんてありゃしないんで、あるのは影だけなんですから」

どうしても どうしても 生きてる心地がしなくて
宙に浮いている ずっと そんな感覚がしてる
わたしの本体はどこか別の場所にあって
今のわたしは ただ操られている影に過ぎない
そうよ わたしはただの影なんだから わたしを愛そうと わたしを傷つけようと あなたのお好きに
わたしは流れにそって生きる それはまるで子どもを産んで後悔している母親みたいに 選択する暇もなく 
そこに語られるべきストーリはなにも無いかのように 自然な通り道があるだけ

時間と空間の境界線が無くなった
そんな世界を みてみたい
「幸せ」 過去と未来に 分けてしまうのはなぜ
昨日あった幸せ 明日には無くなってしまうの

ペルソナ 外そうとしない大人
完璧に演技すること 大人の条件らしい
人間が人間に行う『教育』
世界は分かれているんですよ
分別持たぬ赤子に そう躾

ねえ この世で1番恐ろしいのはわたしよ
みんな 飼い慣らせる悪魔しか持たぬけれど
わたしが持てるのは 飼い慣らせぬ悪魔
それがいかに怖いことかわかるかしら

わたしは自分にしか興味が無いから
他人が傷つこうがどうでもいい
傷つくのを恐れる人の気持ちがわからない
あなたもわたしを傷つけているの 
しらないでしょう 

なせあなたはわたしのことを知ろうとするの
言葉の切れ端だけで
わたしのことを切り取ろうとするくせに
陳腐な言葉でわたしを名付けようなんて
それなら裏切り続けてあげる
わたしのこと 見つけられないように



人の生涯は動きまわる影に過ぎぬ。
あわれな役者だ、
ほんの自分の出場のときだけ、
舞台の上で、
みえを切ったり、
喚いたり、
そしてとどのつまりは消えてなくなる。
白痴のおしゃべり同然、
がやがやわやわや、
すさまじいばかり、
何の取りとめもありはせぬ。




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