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【読書】チームが機能するとはどういうことか

自分が今働いている職場において必要な仕事はどのような種類の仕事だろうか?

ルーチンの決められた仕事を効率よくそつなくこなす仕事?

それとも、複雑でニーズに合わせた適時判断が求められる仕事?

いやいや、これまで先例のないまったく新しい創造的な仕事?

VUCAと言われるようになって久しいが、自分やチームが求められている仕事がどんな種類の仕事かを考えるということをしているだろうか。この本で最初に著者から提示されている問いのように思う。

もしかしたら、今現在の仕事はルーチン要素が強い定型業務かもしれない。しかし、チーム全体、会社全体と視点を広げてみたらどうだろうか。あるいは今だけでなく、3年後、5年後と考えたらどうだろうか。

おそらくかなりの会社、そしてそこで働く個人に求められる仕事は、複雑で、創造的な要素が大きくなってくると想定されるだろう。

”チームが機能するとはどういうことか”というこの本は、どのような種類の仕事が求められるかによって機能するチームのあり方が異なることを教えてくれる。

日本の大企業はこれまで確立されたビジネスモデルがあった。改善を繰り返して世界に真似できない優れたオペレーション、皆が規律正しく効率的に業務の質を高めていく。そのような仕事、いわゆるルーチンの業務はトップダウンと相性がよかったのである。

ルーチンが増えると、その通りにやってもらうマネジメントが必要になり、上位者から命令的な指示がスタンダードになる。

日本的なチームワークとは、このようなトップダウンによる同質化だったともいえるかもしれない。多様性や個性を活かすというよりは、皆が役割を理解し、まじめに、自分の担当する役割を責任をもってやり遂げる。それがチームワークであると。

ただ、同時に、この定義のチームワークは上位者が偉いという文化をはぐくむ。そのことが、ランクを発生させ、部下からの意見を拾う機会を妨げてしまう。

今、求められるチームワークというのは、種類の違うものになっているのではないか。ダイバーシティを活かし、ヒエラルキーを壊し、コンフリクトの中で成果を出していく。

これは、かつての日本的なチームワークで成功体験のある大企業ほどチャレンジングなテーマになる可能性がある。

そのため、著書では、まず、今の業務ではどのような仕事スタイルが求められる状況になっているのか、プロジェクトの目的設定をせよと勧める。

そして、「新たなモデルを試行錯誤しながらつくっていく」という種類の仕事なんだ。それが成功を分けると気づいたとしたら、リーダーもメンバーも新たなチームワークの定義を受け止め、役割を見直し、まったく新しい、目的達成に適したコミュニケーションのスタイルをとることを握ることが大事であるとしている。

組織コーチングしていくときに、対話の約束事としてDPAという決めごとを設定するが、まさにそのようなことだと思う。新たな関係性づくりには、皆でコミュニケーションのルールを合意することが有効だ。

次に、リーダー、そしてメンバーの評価される行動規範を共有していく。心理的安全性を確保し、必要な失敗を奨励し、振り返りから学び、違いを活かしていく。組織と個人の慣習を具体的に変えていくことが必要なのだ。

たとえば”率直に発言する”ことを歓迎するということをリーダーが口では伝えたとしても、実際にリーダーに異論を唱えたときに、その意見が歓迎されるかどうか。本当に慣習を変えていくために、リーダーは自身の言行一致が問われる。

もしも、言葉と行動に矛盾がある場合、メンバーは行動を信じる。リーダーの影響力は想像以上に大きい。

新しい時代に求められるチーム作りについて、非常にロジカルに、具体的に整理されているこの本。組織学習とリーダーシップの分野で歴史に残る名著だと思う

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