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【倫理の指導案】経験論・合理論×北極が寒いことを証明しなさい(ベーコン・デカルト)

本授業のターゲット生徒
安定思考で、疑うことを知らない素直な生徒

「疑わない」「素直」って確かにポジティブな面が多いです。ですが、それが安定とは少し違います。


例えば、「公務員=安定」は違います。


高校生に多いこの勘違い。その人自身は何も安定的でないのです。「どこへ行ってもやっていける=安定」です。

そして、それらの根本には「安定ってなんだ?」という疑いがあります。今回はその「疑う」をグループで行います。



|授業の概要|

分野:宗教改革~経験論・合理論
テーマ:北極が寒いことを証明しなさい。
目標:「疑う」ということを覚える。

|筆者の紹介|

この記事を書いている人:
ゆとりんり
新卒で倍率100倍の民間企業に就職後、教員に転職
教員採用試験の採用枠1枠に1発合格
教採の勉強は働きながらの完全独学
ブログで「ちょっと変わった授業アイデア」まとめてます。


|このページの見かた|

\導入/

宗教改革からのスタートです。
ルネサンスからの、改革宗教改革という流れをお勧めします。歴史の要素も含みますね!(下のリンク先「ルネサンス」参照)

今回は宗教改革からスタートです。ルネサンスからの続きです。
「考え」で止まっていたものを「行動」に変えた人物2人を紹介します。
注目は、このことで何が変わったのか。そこに注目してください。

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人物としては、ルターとカルヴァンを取り上げます。しかし、深くは行いません。ノートにメモを取らせるくらいで。理解を大事にしましょう。この人物の思想を自分の言葉で話せるような理解を。

さらに今回はそれぞれの名言から思想をイメージさせます。印象に残りやすいですからね!(板書用スライドも入れています!)

今回の登場人物です!この人何が言いたいかわかりますか?笑
ネットで「◯◯ 名言」で調べても、その人の言いたいことがわからないと意味ないですからね。隣の人とのジャンケン負けた人、説明してみてください。

スライド3枚目
スライド4・5枚目


生徒にここで伝えたいことは、疑う時代に入ったということ。生徒自身に感じて欲しいのは、教えられたことは正しいと思い込んでいないかと疑問を投げかけるということです。

ついでに、科学で変わったものプリントを置いておりますので、お好きに使ってください(無料です)。

つまり何が変わったのかというと、わからないものは神頼みという時代から、科学で証明する時代へと変わっていったということです。「疑う時代」入ったということですね。


皆さんも、当たり前を当たり前に頭に入れてませんか?それって本当に、本当ですか?笑

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\展開(「疑う」の始まり)/

神の時代が終わり、科学(人が考える)の時代に入ります。まるでDr.STONE(ドクターストーン)ですね…。
ここまで、ずっとキリストから神の話が続いたので、生徒の頭を切り替えるためにも、考える頭に切り替える投げかけを行います。そして、目標を提示します。

神の時代が終わりました。みなさんは日々、当たり前に当たり前を享受していませんか?例えば、1回でも今回の授業で「先生」を疑いましたか?本当に私が言っていることは正しいのでしょうか?

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教えるより、感覚的に捉えた方が理解しやすいです。「疑う」って何を?となってしまうので、例を示します。当たり前であれば当たり前である方がいいですね。今回はこんな例を用意しました。

皆さんも人間に視点をシフトしましょう。「神」から「考える」へ切り替えましょう。今回のテーマはこちら!「北極が寒いことを証明しなさい」です。

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親戚の小さな小さな子どもに、「ねーねー、北極って寒いの?」と聞かれたとします。もちろんあなたは「寒いよー」と答えます。
すると「なんでわかるの?」とひろゆきのように子どもにきき返されます。
さて、皆さんはなんと説明しますか?

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大抵、生徒は「え、なんでって。当たり前じゃん」となります。なんで当たり前が当たり前と思っているのか。それを説明できるのか。自分自身を疑わせましょう。

天体の授業の知識で答える生徒や、「実際に行ってみる」「テレビで見た」などいろんな意見が出てきました。自分の答えをノートにメモしておくように伝えましょう。その意見を次の展開につなげます。

さて、意見を出してくれたと思います。みなさんの考えがどちらの人物に近いか分析していきましょう。

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自分の考えを、倫理に登場する思想家に落とし込みます。知識の日常への活用の逆です。自分の思考って、倫理にも繋がってるんだと意識させましょう。そして、「注意点がある」と促すことで、授業へひつけます。

北海道に行く=寒い、ロシアに行く=寒い、北極に行く=寒い、と実際の経験をもとに真理を証明する帰納法を用いる、経験論派。
だれも疑わない真理をもとに、一つの事象を推理していく合理論派。高校生なら「教科書」を真理として、推理するかな?みんなの証明はどっち派?
そして、それぞれ注意点があります。

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\展開2 経験論・合理論の注意点/

しかし、この両派には注意点が存在します。生徒自身が、自分がどちらの考え方か分類させたうえで、日常生活にも関連する注意点を確認させます。自分ごととして捉えたあとで提示することで、理解しようという姿勢が変わります。実際にこの注意点に当てはまる経験がある人は、グループで話させましょう。それも一緒にメモをさせましょう。

分類できた人。まずは経験論者さん。注意してください。日常生活でこれに騙されてないですか?「あーあるある」という人、その経験談をグループで話してみましょう。日常に落とし込んで理解です。

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合理論的考え方でない人もペアまたは、グループで行います。一人では突破できないところを超えて行きます。

そして合理論者さん。そもそもその真理って、本当に正しいですか?勉強してきたからって、本当にそれ、正しいんですか?教科書って正しいですか?私が高校生の時、1192が鎌倉幕府だったけど、今は1185ですねそういえば。

スライド11枚目へ



\展開3 グループワーク/

正直、1時間で今回の内容すべてするのは難しいと思います。このあたりから2時間目になるでしょう。

疑えないものがないと始まらないなら、探しましょう。デカルトの特徴といえば「疑う」です。疑うの第一人者が行った、疑えないものを見つけるまで疑う、をグループでやらせてみましょう。デカルトの境地にたどり着くグループはいるでしょうか。今回の目標は「疑う」ということを覚えるです。

さて合理論者の皆さん。確実な真理とはなにですか?教科書って100年後も100%正しいですか?もしかしたら違いますよね。だったら、「確実」と言える、これ以上疑えない真理を見つけてみましょう。三人いれば文殊の知恵ということで、ペア(またはグループ)で他者の意見にツッコミを入れつつ見つけてください。制限時間は10分です。

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各グループのanswerを黒板にまとめ、できれば他のペア(またはグループ)にまだ疑えないか確認してみましょう。そして、デカルトが至った境地も確認しましょう。この言葉は、絶対におさえておきたいところです。

共有しましたが、デカルトの境地まで至ったチームはあるでしょうか。確認してみましょう。

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ここからは発展です。まだ疑います。目標は「疑う」ということを覚える、です。本当に考える自分は疑えないのか。デカルトの境地、ここも疑わせます。

本当にデカルトの「われ思う、ゆえに我あり。」は疑えないのでしょうか。
実際、考えると何かを想うわけですよね?では、その「想う自分、心」はどこにあるんですか?脳ですか?心臓ですか?どこですか?そしてなぜですか?

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\まとめ/

先の問に答えはありません。「疑って終わり」です。疑心暗鬼になるくらい疑わせましょう。

授業おわりに「答えは?」と聞かれますが、「ないよ」と答えましょう。現代っ子は(私もですけど…)答えをもらい、正解を信じています。そんな生徒の当たり前をぶち壊してあげましょう。

(経験論者・合理論者のスライドは別々に用意しています)

最後に経験論・合理論一派を軽く紹介して終わりです。ちなみに先ほどの答えは、ありません。皆さんには日々学校で答えのある勉強をし、常識が作られます、当たり前を疑ってもらいたいんです。なぜか?また倫理を学ぶ意義の授業もやりましょう。では

スライド14枚目


これまでに出した授業はこちらにわかりやすくまとまっています!ぜひ。


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・ページ数:全15ページ
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