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オーストラリア医学部攻略への道 2 : GAMSATについて

この記事では、オーストラリアで医学部を受けるにあたって必要となる「Graduate Medical School Admission Test (GAMSAT)」について解説していきます。GAMSATの概要から対策方法まで、私独自のアプローチを交えながら紹介していきますので、参考になれば幸いです。


GAMSATについて

GAMSAT(Graduate Medical School Admission Test)はACERによる大学とは別の外部テストで、各3セクションあり、約40〜80点の点数が受験者間での正答数によって決まります。各セクションで最低50点以上を出さないと、医学部に出願できません。GAMSATは年に2回、3月と9月に受験する機会があります。受験するためのRegistrationの期間は必ず確認しましょう。試験は通常、朝8時頃に開始し、夕方4時頃に終了します。なお、セクションIIとIIIの間には、約90分の昼休憩が設けられています。

*追記 (2024年3月):2024年度よりSection IIとSection I & IIIは別日に行われるようになりました。

Section I: Reasoning in Humanities and Social Sciences
試験時間: 100 分
問題数: MCQ 約75問

Section II: Written Communication
試験時間: 60 分
問題数: 小論文×2

Section III: Reasoning in Biological and Physical Sciences
試験時間: 170 分
問題数: MCQ 約110問

各セクションと対策

Section 1

このセクションは読解の4択問題です。文章題だけでなく、詩や風刺画についても問われます。IELTSなどに比べて文章の内容や使われている単語が遥かに難しいです。ネイティブの医学部受験生が読んでも偶に??になることがあるようなので過去問や練習問題を解いてしっかりと準備することをお勧めします。特にポエムや古文などは慣れが必要かもしれません。

おすすめの問題集はDes O'Neill red bookです。かなりの問題数があり本番の難易度より少し上か同じくらいです。Acer公式の練習問題は実際の問題よりすこし簡単なので、この問題集はより実用的だと思います。
単語に関して、自分は実践IELTS英単語3500を暗記しましたが、少し物足りないかもしれません。

自分は英語があまり得意ではないので、とにかく単語の習得と読解の数をこなしました。

Section 2

小論文です。約500 wordsの小論文2つを1時間以内に書かなければいけません。TaskAとBがありそれぞれ特定のテーマやトピックを中心にした5-6の引用句に対して小論文を書いていきます。

Task A
このタスクは一般的に社会問題がテーマとなり、多くの受験者がAgumentative essayを書きます。
テーマ例) 資本主義、科学技術、歴史、死刑制度、言論の自由、戦争、官僚制度など

Task B
このタスクはより個人的な経験や観点を中心としたテーマに焦点を当てられ、多くの学生がReflective essayを書きます。
テーマ例) 愛、友人、恥、美、健康、自由、旅行など

個人的にはこのセクションが一番大変でした。とにかくエッセイを書き続け、ネイティブの友人や医学部にいる先輩に添削してもらうことが一番有効な対策だと思います。対策する上で特に重要だと感じたのは、エッセイのプランニングです。しっかりとしたプランがあれば、500語程度のエッセイもよりスムーズに書き上げることができると思います。

私の個人的な練習方法について(Task Aの場合)。

  1. まず、引用句からテーマを把握します。

  2. 次にブレインストーミングを行い、テーマに関連するキーワードを書き出します。例えば「資本主義」がテーマの場合は、「財産の不均等」「低社会経済地位」「想像上の欲求」「労働」「税」などが挙げられます。

  3. そして、ブレインストーミングの結果を基にエッセイの構造を決定します。文章が始まりから終わりまでスムーズにつながるように注意しましょう。この際、具体的な例も考慮に入れます。            例)
    導入:テーマの定義(資本主義とは?)
    本文1:設立、なぜそれが社会に必要か、メリットは何か(具体例:アメリカの経済発展と富の集中など)
    本文2:問題点、社会や体制への影響は何か(格差、貧困や不平等など。具体例:アメリカにおける格差の拡大、貧困が引き起こす犯罪の増加など)
    結論:解決策、限界、今後の課題は何か(累進課税の強化による富の再分配、貧困層への支援の拡大など)

  4. そして「T.E.E.L」(Topic, Explanation, Example, Link)の構造を意識しながら文章を書き進めます。しっかりとしたプランがあれば、書きやすくなると思います。

これを繰り返し、30分で500〜600語ぐらいの小論文を書けるようになるまでひたすら練習しました。

Task Bについては私の個人的な経験や、当時と現在の感情、そして何を学んだのかを「S.T.A.R」形式(Situation, Task, Achievement & Reflection)でTaskAと同じステップで練習しました。自分自身または周囲の人々の経験、本で得た知識などを元にすると、書きやすいかもしれません。

テーマについてはGAMSAT Section2 Quote Generatorを使うのがおすすめです。
具体例がなかなか思いつかない方は、ニュースを見たりし、知識を日々蓄えていくことをお勧めします。私は社会問題などに対してナイーブなので隙間時間にYouTube、PodCast、ニュースを積極的に見聞きして知識を蓄えました。

セクション2は時間との戦いとなるため、私のように英語のライティングに苦手意識がある方は、特に時間を確保して練習に励むことが重要かもしれません。このセクションが開始されると、受験生たちが一斉にタイピングを開始します。その音に少々圧倒されるかもしれませんが、焦らずに取り組むことが肝心です。特に、エッセイのプランニング(練習1〜3)には十分な時間を割くことが重要です。5分程度じっくりとエッセイのプランを考えた方が、後のライティングの段階がスムーズになり、結果的に全体の時間短縮につながりました。

Section 3

このセクションは生物化の4択問題です。約110問ありますが、十分に確保されているため、じっくりと問題に取り組むことが可能です。

問題文をよく読み、素早く回答しましょう。ACERの練習問題は実際に出題される問題と比較してかなり簡単なので注意が必要です。しかし、高度な知識は不要で、しっかりとした日本の高校レベルの生物化学の基礎知識があれば、スコア70程度は対策なしでも獲得可能だと思われます。実際、高校で理系を選択していた自分はこのセクションに関して対策は特に必要ありませんでした。日本の大学入試問題の方がよっぽど難しいです。
大学入学前の方は、大学1年の生物と化学を取っておくと、より楽に問題が解けると思います。物理に関しては、日本の高校の物理基礎の知識があれば十分だと思います。また、この手の問題が苦手な方にはDes O'Neillがおすすめです。

おわりに

以上が僕のGAMSATに対しての感想です。一番大変だと感じたのはSection 2です。特にこの対策を大学の勉強と並行していくのが肉体的、精神的にとても大変でした。とても難しい試験ですが、十分な練習があればパスすることは不可能ではないです。自分は大学2年の9月と3年の3月に二度受け、出願に十分な点数を取ることができました。

次の記事では「Multiple Mini Interview (面接)」に関する詳細な解説を行います。


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