マガジンのカバー画像

評論

633
運営しているクリエイター

#新型コロナウイルス感染症

新型コロナウイルスの5類への移行から1年に際してわれわれは何をすべきか

本日、2023年5月8日(月)に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が2類から5類に移行し、法律の面では従来の結核や重症性呼吸器症候群と同等の扱いから、季節性インフルエンザと同様の枠組みの中に入れられることになってから1年が経過しました。

この間、飲食店などでの新型コロナウイルス感染症への対策が緩和されるとともに、感染症予防として励行されていたマスクの着用や密集、密接、密着のいわゆる三密へ

もっとみる

「コロナ後の日常」について思ういくつかのこと

去る5月8日(月)に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が2か類から5類に変更されてから2週間が経過しました。

既に今回の措置に先立って任意となったマスクの着脱を含め、いわゆる「コロナ後」の社会活動が行われる中で、東京と名古屋という私の日常生活と仕事の拠点となる2つの地域の様子をみると、マスクを着用している人の割合は3割程度という印象です。

特に5月第3週の後半からどちらの地域も日中の気

もっとみる

「新型コロナの5類移行」に際しわれわれは「コロナ後の社会」に臨むべきか

本日午前0時、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類がこれまでの2類から5類に移行し、法律の面では従来の結核や重症性呼吸器症候群と同等の扱いから、季節性インフルエンザと同様の枠組みの中に入れられることになりました[1]。

これにより、政府や自治体が法律に基づいて行動制限などを要請することはなくなり、感染症対策は個人や事業者の判断に委ねられることになります。

2020年2月に始まった新型コロ

もっとみる

「マスク着用基準の変更」の問題点は何か

5月23日(月)、政府は新型コロナウイルス感染症対策本部を開催し、「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」を変更するとともに、マスクの着用については屋内でも他者との距離が2メートル以上確保でき、会話をほとんどしない場合には、着用の必要がないと明記しました[1]。

学校での体育の授業や運動部の活動の際にマスクの着用を不要としたこと、あるいは幼児に対して保育所で一律の着用を求めないとしたこと

もっとみる

「まん延防止等重点措置の適用地域の拡大」で当局に求められるのはいかなる態度か

昨日、政府は新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、北海道、大阪府、京都府、兵庫県など18道府県をまん延防止等重点措置の対象地域に追加しました。

これで、すでに適用されている東京都など16都県と合わせて34都道府県が対象となり、全国の7割以上に拡大することになりました。

各地で新規感染者数が過去最多を記録し、国内の感染者数が初めて6万人を超える[1]など、現在の状況に鑑みればまん延防止等重

もっとみる

酸素ステーションの設置とともに求められる措置は何か

東京都は新型コロナウイルス感染症の感染の拡大を受け、旧国立総合児童センター「こどもの城」に約130人に酸素投与などを行える酸素ステーションを開設するほか、合計3か所で400人程度を受け入れる体制の整備を急ぐことを公表しました[1]。

報道では、新設される酸素ステーションでは、自宅療養中に救急搬送を要請した感染者のうち症状が比較的軽いと救急隊が判断した人を中心に受け入れ、24時間態勢で血中酸素濃度

もっとみる

緊急事態宣言の延長と追加に際し問われる当局の実行力

昨日、政府は新型コロナウイルス感染症にかかる緊急事態宣言を8月20日(金)から京都府、兵庫県、福岡県など7府県に適用するとともに、発令中の東京都、大阪府など6都府県も期間を延長し、まん延防止等重点措置も現行の6道県に10県を追加することを決定しました[1]。いずれも期限は9月12日(日)までとなります。

現在、日本各地で新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続いていることを考えれば、今回の措置は妥

もっとみる

菅義偉首相に求められる「国民との対話」に積極的に取り組む姿勢

去る8月2日(月)、政府は新型コロナ言う留守感染症の感染が急拡大する地域では入院対象を重症や重症化の危険性の高い患者に重点化し、それ以外は自宅療養を基本とする方針に転換しました[1]。

今回の措置は重症化の危険性の高い人を中心に幅広く入院するという従来の原則からの転換であり、新型コロナウイルス感染症に対応した病床数の積み増しが進まない状況を受けたものです。

一面において実態に即した柔軟な対応で

もっとみる

政府による「新型コロナの入院対象の変更」の意味は何か

昨日、政府は新型コロナウイルス感染症の医療提供体制に関する関係閣僚会議を行い、入院の対象者を重症者や重症化の危険性がある人とする方針を決めました[1]。

これは、都道府県が確保した新型コロナウイルス感染症用の病床が今年7月下旬時点で3万6千床で、今年1月からの上積みが8千床に留まり、病床の拡充が進まないことを背景とした措置です。

確かに、病床を十分に確保できていないという状況を考えれば、重症者

もっとみる

菅義偉首相は「東京の実態」を把握しているか

昨日菅義偉首相は首相官邸で記者団の質問に答え、全国の1日あたりの新型コロナウイルスの感染者数が初めて1万人を超えたことに関し「強い危機感をもって対応している」と発言するとともに、「自動車の規制やテレワークを進めている。人流は減少傾向にある」と指摘しました[1]。

菅首相の発言は、東京都に対して緊急事態宣言が発令される状況の中で東京オリンピックを開催するという一見矛盾する態度を示す当局の態度を正当

もっとみる

記者会見で「緊急事態宣言下での五輪開催の大義名分」を説明する機会を逸した菅義偉首相

昨日、菅義偉首相は記者会見を行い、東京都に対して新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言を7月12日(月)から8月22日(日)まで発令することを表明しました[1]。

6月末から東京都における新型コロナウイルス感染症の感染者数が増加の傾向を示し、緊急事態宣言を発令するための所定の基準に達する項目があることを考えれば、今回の措置は適切な措置と言うことができるでしょう。

また、菅首相が

もっとみる

ヤンキースの「ブレークスルー感染」が明らかにしたCDC指針の問題点

去る5月31日(月)、日刊ゲンダイの6月1日号25面に連載『メジャーリーグ通信』の第93回「ヤンキースの「ブレークスルー感染」が明らかにしたCDC指針の問題点」が公開されました。

今回は、米国で問題にありつつある新型コロナウイルス感染症の「ブレイクスルー感染」と球界の関係を検討しています。

本文を一部加筆、修正した内容をご紹介しますので、ぜひご覧ください。

*****************

もっとみる

「緊急事態宣言の延長」に際して政府当局者は小欲を捨てて大欲を実現できるか

昨日菅義偉首相は記者会見を行い、5月31日(月)に期限を迎える9都道府県に発令中の新型インフルエンザ特別措置法に基づく緊急事態宣言について、6月20日(日)まで延長することを表明しました[1]。

現在の緊急事態宣言が発令された今年4月下旬から5月上旬に比べれば、対象となる地域における新型コロナウイルス感染症の新規の感染者数が減少しているとはいえ、所定の基準に従えば依然として厳しい状況が続いている

もっとみる

「緊急事態宣言の新規適用と期間延長」に際して菅義偉首相に「正確で率直な発言」を求める

本日、東京都、大阪府、京都府、兵庫県に発令されていた緊急事態宣言の適用期間が延長されるとともに、新たに愛知県と福岡県が適用の対象に追加されました。

現在の各地の状況に鑑みれば、適切な措置と言えるでしょう。

その一方で、緊急事態宣言の発令や解除について菅義偉首相が「判断の責任は全部、私にある」[1]と発言するとともに、緊急事態宣言の解除の基準について「ステージ4を脱却することが目安となるが、具体

もっとみる