「まん延防止等重点措置の適用地域の拡大」で当局に求められるのはいかなる態度か

昨日、政府は新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、北海道、大阪府、京都府、兵庫県など18道府県をまん延防止等重点措置の対象地域に追加しました。

これで、すでに適用されている東京都など16都県と合わせて34都道府県が対象となり、全国の7割以上に拡大することになりました。

各地で新規感染者数が過去最多を記録し、国内の感染者数が初めて6万人を超える[1]など、現在の状況に鑑みればまん延防止等重点措置の対象地域の拡大は時宜を得た対応となるでしょう。

一方、飲食店への営業時間の短縮の要請や命令、催事の参加人数の制限などについては、各知事が感染抑止と経済活動の継続の両立を目指しつつ、対応がなされることになります[2]。

確かに、現在流行するオミクロン株は、昨年11月に初めて報告された頃から、感染力は非常に強いものの重症化の危険性はデルタ株などより低い可能性が指摘されています[3]。

そのため、政府が経済活動を大幅に制限する緊急事態宣言の発令に慎重な態度を示し[4]、われわれの日常生活もこれまでに比べれば通常の状態が保たれている割合が高いことは、ある意味で適切であると言えるかも知れません。

ただし、全面休園を行っている保育所が、いわゆる「第5波」の最中であった昨年9月2日の185箇所を超え、今年1月20日時点で327箇所に達するなど[5]、短期的に経済活動の停滞を招きかねない事態も生じつつあります。

このような状況を受けて、岸田文雄首相は「過度に恐れることなく、この状況を乗り越えていきたい」[6]と指摘し、各地域の実情に即した対応を目指す姿勢を強調しています。

それだけに、当局には状況を適切に踏まえた柔軟な施策が求められるとともに、われわれが状況を過度に恐れることも、軽視することもないよう、予断や推測を排した、正確な情報を適時適切に提供することが求められます。

[1]国内感染、初の6万人超. 日本経済新聞, 2022年1月26日朝刊3面.
[2]認証店の酒提供 選択方式が主流. 日本経済新聞, 2022年1月26日朝刊5面.
[3]オミクロン肺で増えにくい傾向. 朝日新聞, 2022年1月26日朝刊3面.
[4]緊急事態宣言「慎重に検討」. 日本経済新聞, 2022年1月26日朝刊3面.
[5]保育所休園、最多327ヵ所. 日本経済新聞, 2022年1月25日朝刊2面.
[6]検査キット 供給拡大要請. 日本経済新聞, 2022年1月25日朝刊3面.

<Executive Summary>

What Is a Required Issue for the Authorities to Enforce Semi-Emergency Coronavirus Measures? (Yusuke Suzumura)

The Kishida Cabinet enforces Semi-Emergency Coronavirus Measures for 18 prefectures and total number of applied areas is 34 prefectures on 25th January 2022. In this occasion we examine a required issue for the authorities to improve the situation.

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