「緊急事態宣言の新規適用と期間延長」に際して菅義偉首相に「正確で率直な発言」を求める

本日、東京都、大阪府、京都府、兵庫県に発令されていた緊急事態宣言の適用期間が延長されるとともに、新たに愛知県と福岡県が適用の対象に追加されました。

現在の各地の状況に鑑みれば、適切な措置と言えるでしょう。

その一方で、緊急事態宣言の発令や解除について菅義偉首相が「判断の責任は全部、私にある」[1]と発言するとともに、緊急事態宣言の解除の基準について「ステージ4を脱却することが目安となるが、具体的には専門家や自治体の意見を聞きながら総合的に判断したい」[2]と指摘したことは問題を含みます。

すなわち、「判断の責任」とは言うものの、具体的にどのように責任を負うのか、あるいは責任とは何かを明示しない以上、こうした発言は自らの取り組みの意欲が積極的であることを示すための方便に過ぎないものです。

また、緊急事態宣言の解除の基準に「ステージ4を脱却すること」を目安として挙げながら「専門家や自治体の意見を聞きながら総合的に判断」することを具体的な対策として示すことは、判断の尺度と判断の主体を曖昧にします。

もちろん、厳格な基準を設け、所定の数値に合致するか否かで機械的に判断すれば、緊急事態宣言の解除が適切になされるわけではありません。

むしろ、今後の感染状況の見通しも含め、柔軟に対応することが不可欠となります。

しかし、「総合的」な判断の実態が不明なままであれば、判断の妥当性や適切性の検証は難しくならざるを得ません。

その意味でも、菅首相には、言葉を飾らず、正確で率直な発言を行うことが求められます。

[1]死者1万人を陳謝. 日本経済新聞, 2021年5月10日夕刊1面.
[2]首相記者会見の要旨. 日本経済新聞, 2021年5月8日朝刊4面.

<Executive Summary>
Is Prime Minister Yoshihide Suga Able to Speak Honestly? (Yusuke Suzumura)

Today the State of Emergency is applied to two prefectures and whish is already valid is extended to 31th May 2021. In this occasion we want to Prime Minister Yoshihide Suga to speak honestly to the people of Japan.

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