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評論

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2020年11月の記事一覧

「延期後の東京オリパラの開催」に向けて求められる取り組みは何か

報道によれば、2021年に開催される予定の東京オリンピック・パラリンピックについて、新型コロナウイルス感染症への対策にかかる見通しの費用約900億円は政府を中心に負担し、延期に伴う追加費用約2000億円は東京都と大会組織委員会が主に負担する方向で調整されているとのことです[1]。

経費の増加は、ある意味で開催時期の延長に伴う当然のことと言えるでしょう。その一方で、11月18日(水)に大会組織委員

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「三島事件から50年目の日」に考えたいくつかのこと

今日、作家の三島由紀夫が陸上自衛隊市谷駐屯地で騒擾を起こした後に自決してから、50年が経ちました。

いわゆる三島事件に関する論考は汗牛充棟の観を呈しており、様々な論者が種々の観点から議論しているのは周知の通りです。

それだけに、本欄が三島事件について何かを議論する余地はないかのように思われます。

一方で、何故実力行使という非合法的な手段をあえて選んだかという点を考えることには、依然として何が

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NHK交響楽団2020年11月東京芸術劇場公演で思った「2020年という人材発掘の年」

昨夜は、19時から21時10分まで、NHK FMでNHK交響楽団の2020年11月東京芸術劇場公演を聴取しました。

今回は原田慶太楼の指揮により、コリリアーノの『航海』、バーバーのヴァイオリン協奏曲、ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」が演奏されました。ヴァイオリン独奏は神尾真由子でした。

進境著しい原田慶太楼の簡潔で力強い作品の理解の妙はドヴォルザークの交響曲第9番によく表れており、神

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「対面授業の拡大を求める萩生田文科相」が試される本気度

本日、萩生田光一文部科学大臣が国立大学協会、公立大学協会、日本私立大学協会、日本私立大学連盟の大学4団体の代表者と会合し、「学生が納得する教育機会を提供すること」が重要であると対面授業の機会を増やすよう要望しました[1]。

一方、大学側からは、対面授業を実施し、大学構内への入構も認められている大学が多いことや、オンライン形式の授業の利点、あるいはオンライン授業の定着を踏まえた制度改革の必要性など

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田沢ルールに対する日米で温度差

去る11 月9 日(月)、日刊ゲンダイの2020年11月10日号26面に連載「メジャーリーグ通信」の第80回「田沢ルールに対する日米で温度差」が掲載されました[1]。

今回は、今年9月に廃止されたいわゆる「田澤ルール」を巡る日米球界の「温度差」の背景を検討しています。

本文を一部加筆、修正した内容をご紹介しますので、ぜひご覧ください。

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田沢ルー

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「トーマス・バッハIOC会長の来日」は何を意味するか

昨日、来日中の国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長が菅義偉首相や小池百合子都知事らと会談し、2021年夏に開催予定の東京オリンピックの開催に向けた意見交換を行いました[1]。

IOCにとってオリンピックの開催は唯一の目標であり、最大の収入源である以上、「中止」という選択肢がIOCの存立にかかわる重大事であること、また、水面下での交渉はともかく、表面的に自ら進んで「中止」と唱えら

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小池百合子都知事の意義深い「多言語による新型コロナウイルス関連情報の発信」

東京都の小池百合子都知事は、11月12日(木)以降、都内に在住、在勤する外国人に向け、平易な日本語や英語の他、中国語、韓国語、ネパール語などで新型コロナウイルス感染症への対策を求める動画を配信しています[1]-[7]。

現在、東京都における新型コロナウイルス感染症の感染拡大が進んでおり、適切な対応を施すことが不可欠な状況に鑑み、各国語での情報の発信が不可欠であるという判断に基づいた措置であること

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島桂次を通して考える「NHKと政治の関係」

政府と報道機関、とりわけ公共放送であるNHKとの関係は、しばしば問題となります。

例えば、安倍晋三前首相が、森喜朗内閣の官房副長官であった2001年1月に、旧日本軍の従軍慰安婦問題を裁く民衆法廷を扱ったNHKの番組について、放送前に内容に偏りがあるなどとして「公正中立の立場で報道すべきではないか」とNHK側に指摘したように[1]、放送事業者が放送する番組の内容について政府や政権党が介入することは

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「バイデン大統領」が注意すべき点は何か

米国では、大統領選挙の結果が確定してはいないものの、民主党のジョー・バイデン前副大統領が勝利宣言を行い、政権の移行作業を進めています[1]。

現職のドナルド・トランプ大統領は、共和党の元議員たちの勧告があるにもかかわらず敗北を宣言せず、バイデン候補の勝利を受け入れることを拒んでいます[2]。

トランプ大統領は下院での決戦投票に持ち込む計画があるという指摘もなされており[3]、現時点では当選者の

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菅義偉首相が「全集中」すべき問題は何か

11月2日(月)に開催された衆議院予算委員会では、10月になって表面化した日本学術会議の新会員の任命問題についても質疑が行われました。

与野党の議員からの質問に対し、菅義偉首相は、日本学術会議の人選について「ある意味では閉鎖的で既得権益のようになっているのではないか」、「学術会議から推薦された方々を、そのまま任命をするという前例を踏襲するのは今回はやめるべきだという判断をした」と発言しました[1

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再び接戦となった米国大統領選挙の勝者はトランプ候補かバイデン候補か

本日、米国の大統領選挙の投開票が行われます。

政治専門ウェブサイトのリアル・クリア・ポリティクスがまとめた最新の結果は、トランプ候補の平均支持率が44.0%、バイデン候補が50.7%でした[1]。また、本日公表された、接戦が予想されるフロリダ、ノースカロライナ、ペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシン、アリゾナの6州に限っては、支持率の平均はトランプ候補が46.2%、バイデン候補が49.0%でし

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「大阪都構想の否決」が持つ意味は何か

昨日、大阪市において、「大阪市を廃止し特別区を設置することについての投票」が行われ、賛成が675,829票、反対が692,996票で、「大阪市の廃止と特別区の設置」は否決されました[1]。

「大阪市の廃止と特別区の設置」は大阪維新の会にとって求心力を維持するために最も訴求力のある話題でした。

しかし、2015年に続き、今回も否決されたことで、10年にわたって続いた大阪市の廃止と特別区の設置とい

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