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気ままな鑑賞エクササイズ#11 カラヴァッジォ「ナルキッソス」

1時間でnoteを1記事作る、エクササイズのような鑑賞をやっていこうと思います。記事を読むだけでも、同じように時間を測って擬似体験してみても面白いかも。

<ルール>
・以下の作品をまず3分鑑賞して、発見したことを書き出します。
・その後25分、書籍やネットで作家・作品について調べます。
・さらに3分鑑賞をして、再発見したことを書き出します。
・25分を目標に記事を編集します。
・気ままに不定期で続けます。

では、まず作品を3分鑑賞して、発見したことを書き出します。
今回の作品はこちら

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はいまたカラヴァッジオですね。今回はナルキッソスと言って、ナルシストの語源になった物語・・人物を描いた絵だと思うんですけど・・だからこう水面を覗いてるんですね。

確かに人物の髪型とか服装とか、ナルシストっぽい・・そういう雰囲気があって・・あと、すごく体の配置が意図的な感じですよね。この腕、頭、肩にかけての形とか、この膝が腕と腕との間から見えてる感じとかも、すごく意図的な感じがします。

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そしてまたお得意の・・闇の中に浮かび上がると言うか、人物だけがこうばっと浮かび上がるようなそんな描き方で、背景が全くどこかわからないような感じですね。

これぐらい人物本体に光が当たっているとすると、なんか水面の人はもっと明るくなってるような気もするんですけども、水面の人影は何かかなり暗いし、ぼんやりしていて・・別人のようにも見えますね。

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服の色合いとか、もう全然別の服を着ているような・・顔もなんか違うって言うかね、むしろ現実の人の方がイケメンっていうか顔が綺麗な感じで・・本来、鏡に映ってる方がかっこよく見えてるっていう方がナルシスト話の筋としては分かりやすいな気がしますが・・そんな感じではないのかな?

なんか膝がね、やっぱりちょっと独特っていうか、ジャガイモが空中に浮いてるみたいな不思議な感じがしますね。

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あと、結構この腕とか手の描き方が荒いって言うか・・服装とか顔に比べるとちょっと描写が荒いような感じがしますね。そして水面の中の姿も荒いと言うか・・なんかカラヴァッジオならもっとかけるんじゃないのかな・・意図的に・・この本体の青年の顔によりフォーカスが当たるようにしているのかなと・・

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・作品・作家について

カラヴァッジョ
「ナルキッソス」1597~1599頃

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・30分調べたこと

ナルキッソスは、ギリシア神話に登場する美少年である。

ネメシスは無情なナルキッソスをムーサの山にある泉によび寄せる。不吉な予言に近づいているとも知らないナルキッソスが水を飲もうと、水面を見ると、中に美しい少年がいた。もちろんそれはナルキッソス本人だった。ナルキッソスはひと目で恋に落ちた。そしてそのまま水の中の美少年から離れることができなくなり、やせ細って死んだ。また、水面に写った自分に口付けをしようとしてそのまま落ちて水死したという話もある。ナルキッソスが死んだあとそこには水仙の花が咲いていた。この伝承から、スイセンのことを欧米ではナルシスと呼ぶ。また、精神分析の用語ナルシシズム(narcissism)という言葉の語源になった。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%83%AB%E3%82%AD%E3%83%83%E3%82%BD%E3%82%B9
ナルシシズムあるいは自己愛とは、自己を愛したり、自己を性的な対象とみなす状態を言う

語源はギリシャ神話に登場する美少年ナルキッソスが水面に映る自らの姿に恋をしたというエピソードに由来している。ナルシシズムを呈する人をナルシシスト(英: narcissist)と言うが、日本においてはナルシスト(蘭: narcist)という言葉で浸透している。

一次性のナルシシズムは人格形成期の6ヶ月から6歳でしばしばみられ、多くは成長と共に失われていく。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%B7%E3%82%BA%E3%83%A0

・さらに3分の鑑賞で考えたこと

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資料で改めてこのナルキッソスのギリシア神話とかを読んでみると、さっき気になっていたこの格好、手の形、腕の形とかっていうのが、やっぱりこう鑑賞者の目線を集中させるように、構図的にそうしたっていうのもあるけれど、よく考えるとナルキッソスの自分への、鏡像への執着心を表しているような、そんな気もしました。

ガバってこう・・へばりつくように自分の姿をよく見ようとしている感じっていうのが、確かにこのポーズだとちょっと異様な感じって言うか、そういう執着心が伝わってきそうな気がするのかなーっていう風に思ったり・・

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後、ギリシャ神話ってことで、やっぱりこれは神様だったりそういう世界の特別な人を描いているとは思うんですけど、その割にはすごく着ているものがそんなに特別な感じじゃない・・貧しいっていう感じもしないから、いい身なりではあるんですけど、現実からそんなに乖離しているような服装ではないっていう点が、今まで見てきたユディトだったりとか、カラヴァッジオの描きかたのやり口として、ああそういえばそうだったなっていうのに改めて見て思いました。

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ナルキッソス本体は美しいけれども、鏡の中はなんかちょっとあんまり美しそうじゃないなーって最初に見た時に思ったんですけど、

それもよくよく考えると、ナルキッソス自身には自分の姿が美しく映っているはずだけど、この絵を見ている・・ナルキッソスを見ている私たち第三者の目には、でも実はそれが醜い姿に見えちゃうっていう・・本人はとても自分の姿を美しいと思ってるけど、第三者にはそうじゃなく見えてしまうって言う・・そういう関係性が描かれていたりするのかなと思ったりしました。

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色々な解説の中では、水の中の人が本体なんじゃないかみたいな話であったりとか、この構図を天地逆転して見てみると、こう見えますよみたいなのもあって、あーなるほどそんな見方もあるんだなーって。

膝が股の位置にあるから男性器を表しているって言う説もちらほらあって、そんなにセクシャルなのものかなとかちょっと思って、ナルシシズムっていうのは、自己愛・・「自分のことが好き」ぐらいの意味で捉えてたんですけど、 Wikipedia 見てみると「自分を性的な対象と見てしまう」っていうような意味で書かれてあって、そもそもはそういう意味だったのかっていうのもちょっと発見と言うか・・

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だったらまぁ確かにそういう意味を忍ばせていてもおかしくないのかなーって。端正な顔立ちの綺麗な絵に見えるけど、そういうなんだろうな・・醜さ・・というと違うのかもしれないけれど、おぞましさ・・人間の業のような物が、もしかしたらいろんなところに忍ばせてある絵なのかなっていう風に思いました。

あなたにはどう見えましたか?
また次回!


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