奇妙な谷地形の謎を追う!:川が4本ズラリと並ぶ?part2:鳥取県中央北部中山間地域【地元再発見の小旅行vol.15】
前回は鳥取市北西部の谷が四本並んでいる地域で、川の流れ方について詳しく見ていきました。
すると西側の2本の谷を流れる浜村川と永江川、両河川とも源流がアヤフヤな不思議な河川だと分かりました。
果たして、その真相は??
平野部の河川のおさらい
そう。これまでも平野とそこを流れる河川の関係について、いくつかの地域について紹介させていただきました。
ざっとおさらいしましょう。
① 宮城県:北上川
平野部では決まった河道がなく、湿地状の平坦地がひろがっていた。
洪水時には平坦地に水が溢れ、広く浅く水が流れ水害が頻発していた。
② 石川県:邑知潟平野
縄文時代は海水位が高く入江だった。海水位が低くなるにつれ羽作川(はくいがわ)や子浦川からの土砂がたまり平野を形成。
しかし海岸部では砂丘が形成されたため水はけが悪く洪水が多かった。
③ 石川県:手取川
日本有数の急流河川で平野部に大きな扇状地を形成。
扇状地上を流れているため、天井川となりたびたび氾濫していた。
キーワードは「決まった河道がない」、「砂丘が河口を堰き止める」、「扇状地堆積物」といったところでしょうか?
地質図を見てみる
以前の記事で、このあたりの地質図を見た時に砂丘堆積物がどこかにありましたよね?確認してみましょう!
ありました!しかも西側の谷を堰き止めるように発達しています。
地質図の印象ほど大規模ではありませんが、赤点線で囲った範囲で5~10m以上の高まりが確認できました。
扇状地を探してみる
パッと見で分かりませんでしたが、念のため見てみましょう。
南西が河内川上流部です。
地形が複雑なので分かりやすい扇状地はありませんが、だいたい赤点線を引いたあたりより北側から、だんだん黄色になっています。つまり標高が低くなっています。
西側の方がやや高いながらも、イビツな扇状地に見えないこともない?
それと赤の実線を引いた部分は地形が際立っていて、昔の河川の流れでできた地形のように見えます。アップにしますね。
どうでしょう?右にカーブし、河内川が西から2番目の谷に流れ込みそうに見えませんか?
昔の地形は?
日本の海岸沿いの平野は、縄文時代は遠浅の海でした。
その時の海の堆積物だったり、海が退いたあとに溜まった河川の堆積物で平野がつくられています。
そしてもっと昔の氷河期の最盛期は今より約120mも海が低く、その分、深い谷がつくられていました。
その時は、赤点線のように尾根が繋がっており、それぞれの谷は独立していたと考えられます。
地質図で見ても同じ地質(下が花崗岩でその上に凝灰岩が乗っている)ですし、平野を埋めている土砂の下は地続きになっているハズ。
今回は、ここまで!
次回はいよいよ河内川の歴史について迫って行きます。
お読みいただき、ありがとうございました。
参考文献
村不二雄・坂本 亨・山田直利・猪木幸男(1974)20万分の1地質図幅「鳥取」,地質調査所.
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