5つのヘッコミはどうできた?:広島県中央南部中山間地域【地元再発見の小旅行vol.31-1】
この回からは「都道府県シリーズ:広島県」の2周目が始まります!
場所は?
広島県の場所を再確認しましょう。
広島県は本州南西部で瀬戸内海に面しています。
周辺都道府県との位置関係はこんな感じ!
ここで紹介する中央南部中山間地域は上図の⑧地域です!
⑧地域は上図の10市町とその一部で構成されています。
今回はこのうちの東広島市・呉市・熊野町がメインです。
どんな地形?
では早速、行ってみましょう~♬
このあたりの地域は全体的に山地が多いですね。
しかも山は海にまで迫っていて、海岸沿いでも平地は少なめ。しかし山地の中を見るとポツポツと平坦なヘッコミが見えます。
これらの盆地は東広島市から熊野町、呉市にかけて広がっています。
そして盆地は上図のように5つに分かれています。それぞれ
と呼ばれているようです。
盆地はなぜできた?
日本列島に見られる盆地の中でも大きめのものは、プレート運動の影響でつくられたと言われるものが多くあります。
例えば秋田県の横手盆地は、太平洋プレートに圧縮されて陸地に凹凸ができ、その凹地を土砂が埋めて出来たと言われています。
※横手盆地についてはコチラ↓
でも広島県中央南部の盆地群は、そうではなさそう。
いくつにも分かれていて、不定形なかたちをしています。
どちらかというと「谷の集合体」のようにも見えます。
いくつか文献をあたってみたのですが、ハッキリと「こうだ!」という説は見当たらなかったのですが「侵食されて凹地になった」と言う説が有力なようです。
どういうことか?
順を追ってお話ししていきます!
地質を見る!
まず、地質図を見てみましょう。
黒点線が盆地です。
メインの地質は①濃いピンク、②ピンク、③赤で、すべて中生代後期白亜紀(約1億~8300万年前)の時代で、それぞれ以下の地質です。
花崗岩はもとは硬い岩石ですが、条件が揃うと風化しやすくボロボロになりやすい地質。他の2つは硬くて風化しにくい地質です。
そして盆地の内部や周辺は花崗岩が多い傾向にあります。
今度は断層が目立つように黒線でなぞってみました。
あちこちに見られますが、盆地とは関係ないように見えます。
でも・・
地形図と重ねて見ると断層が地形に影響しているのはもちろんですが、断層以外の場所にも直線状の地形が見られますよね。
目立つところを図示しました。
断層は、ハッキリした証拠が無いから図示されていないだけで、もしかしたら青点線のように伸びている可能性がありそうです。
また赤点線を引いた直線状の地形は、断層ではないにしても、節理(割れ目)に影響されている地形かも知れません。
つまり同じ花崗岩でも断層や節理に沿った場所はさらに風化しやすく、侵食が進んで盆地になったと考えられます。
ただし盆地以外の地域にも直線状の地形が見られますが、盆地ではなく谷地形です。そのため、盆地になるには他の条件もありそうです。
その条件とは何なのでしょう?
次回へ続きます。お読みいただき、ありがとうございました。
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参考文献
東元定雄・松浦浩久・水野清秀・河田清雄(1985) 呉地域の地質.地域地質研究報告.(5 万分の1)図幅,地質調査所,93 p.
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