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「横っ面」を比べてみました:巨大地すべり×ダム=大惨事?!:仙台市泉区七北田ダム周辺地域part3【御当地ハザードマップvol.1】

現状で知られている日本最大の地震地すべりよりも大きい?という疑惑が生まれている、宮城県仙台市泉区の七北田ダム地すべり(筆者が勝手に命名)。
これが本当に地震で動く地すべりなのか?ただ今検討中です!

荒砥沢地すべりとの比較②:断面形状・・その2

前回は荒砥沢地すべりの断面図を紹介するまででした。
とりあえずは荒砥沢地すべりの断面図をもう1度。

荒砥沢地すべり断面図_C
荒砥沢地すべりC測線模式断面図:林野庁東北森林管理局より

今度は真ん中のC測線の断面図です。
赤線がすべり面。底面はほぼ水平ですよね。

では、七北田ダム地すべりの断面図を見てみましょう!

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スーパー地形(カシミール3D)より抜粋。
なおカシミール3Dは元データとして国土地理院の「電子国土」を使っているそうです(出典:国土地理院ウェブサイト
※トップ画像や以下の地形・地図画像すべて引用もとは同じです。

この方向でスパっ!と行きます♬

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スーパー地形アプリの機能を使って筆者作成

案外とノッペリしていますね。
荒砥沢地すべりの断面では、頭部の崖の落差が大きかったですが。

七北田ダム地すべり_図示04

七北田ダム地すべりの場合、侵食のせいか、真ん中は落差が小さくて、左右は崖が高いんですね。

その違いを承知の上で見てみると・・・

荒砥沢地すべり断面図_C
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上:荒砥沢地すべりC測線断面図、下:七北田ダム地すべり断面図

荒砥沢地すべりの右側の落差の大きい崖以外で比べてみましょう。
けっこう似てますよね・・・。

では、七北田ダム地すべりのすべり面がどういうカタチか?私なりに検討してみます!


地質は?

ですよね!まずは地質ですよ。こういう時は!!

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お手軽なので、最近はスーパー地形でシームレス地質図V2を見てしまいますが・・え?一色ですか(笑)
ここでは新生代中紀中新世(約1500万年前)の、デイサイト・流紋岩の溶岩や火砕岩(火山系の堆積岩:凝灰岩など)だそうです。
コレ、単純に考えると地すべりになりにくい地質ですが、地形的に地すべりなのは明らかです。おそらく一部に細粒の凝灰岩や泥岩など地すべりになりやすい地質があるハズ!

地質図02
20万分の1地質図幅「仙台」:地質調査所より

残念ながら20万分の1しかありませんでした。
赤点線が、七北田ダム地すべりのだいたいの範囲です。
肌色のYtと濃い黄色のStですね。Ytの方が古い(下)の地層ですので、すべり面構成する地質Ytでしょう。
どんな地質??

5万分の1地質図幅「仙台」にも同じ地層があり、その解説書によると、地質は凝灰岩砂岩で、地層の方向は水平もしくは北に10~20度傾斜しているとのこと!!!
七北田ダム地すべりは地形状況から北東に動いたと想定されるので、層理面が北傾斜であれば、十分に辻褄が合います!


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では次回では、この断面図をもとに七北田ダム地すべりの断面形状を想定し、地震で動く地すべりかどうか?検証を進めます!

お読みいただき、ありがとうございました。


参考文献

大沢 穠・三村弘二・久保和也・広島俊男・村田泰章 (1987) 20万分の1地質図幅「仙台」.地質調査所.

北村 信・石井武政・寒川 旭・中川久夫(1986) 仙台地域の地質.地域地質研究報告(5 万分の 1 地質図幅),地質調査所 , 134p.

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