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イギリスのコロナ事情:コロナとの共生へ向けて規制撤廃へ。人々の生活はこんなに変わった!【全文無料】

全国的に感染者数の減少が確認されているイギリス。イングランド政府はこの状況を受け、来週木曜日(1月27日)にプランBの撤廃に踏み切ります。プランBは先月、オミクロン株の急増を受けて導入されていたもの。具体的には以下の通りで、これらの規制がなくなる1月27日以降は実質的にほぼ制限のない社会に。つまりオミクロン騒動以前の状況に戻るというわけです。

・可能な場合は自宅勤務(※1月19日に撤廃済み)
・公共交通機関や屋内でのマスク着用
・セカンダリースクール(中学校&高校)でのマスク着用
・ナイトクラブや大型イベントでのワクチンパスポート提示

ロンドンは先月に医療機関の逼迫に基づいて「重大事件宣言」を発令したものの、現在、ロンドンの感染者数は大幅な減少を見せていることから、昨日この宣言は取り下げられました。ただし、1月27日の変更後もロンドンの公共交通機関ではマスク着用義務は残ります。

昨日、アメリカ疾病予防管理センターがブースター接種によって入院のリスクが90%下がるという報告を出しました。イギリスでオミクロン株による重症者や死亡者が低く抑えられているのは、高いブースター接種率(12歳以上の63.9%)にも支えられているのでしょう。

また、「イギリスがパンデミックを最も早く脱出する国」と言われているのは、抗体保有率がイギリスの全人口の96~97%を占めているという事実にも関係しているかもしれません。

この高い数字が達成された一番の理由は、ワクチン接種を他国に先駆けて進めてきたこと。そしてもうひとつの理由は、ある程度状況が落ち着いた昨春からは規制をどんどん撤廃し、さらにはオミクロン株が急増してからも厳しい規制の再導入を行わなかったこと。つまり、この半年間は自然感染で抗体を得る人も非常に多かったのです。

このアプローチが良いともわるいとも言い難いのですが、上記記事の通り、ともかく日本政府のアプローチとは大きく異なります。そのため、両国の入国規制も大きく異なり(日本は今もガチガチの水際対策、イギリスはほぼ無規制)、両国を行き来する人は「感染状況はそんなに変わらないのにまるで別世界」という不思議な気持ちになるようです。

一方で、コロナ感染者が増えたことによる人手不足はまだ続いています。各地の列車の間引き運転により、通勤に不便を感じている人も…。

そして、試験官と指導官が不足しているために、運転免許がなかなか取得できないという人も。中には10か月間も待っている人もいるそう。

1月17日から、イングランドでは感染後の自主隔離期間が5日間に短縮されました。それでも上記のようなさまざまなセクターで人手不足が続いていることから、イングランド政府は3月24日までにコロナ感染後の自主隔離の撤廃を目指しています。つまり、本当に風邪やインフルエンザと同様の扱いにしていくのですね。

ただし、さすがにそれはリスク高すぎでしょう…という不安の声も、とくに介護業界からは上がっています。

さて、イギリスではパンデミックが人々の考え方やライフスタイルにさまざまな影響を与えました。たとえば、もともと酒量の多かった人はロックダウン中にはさらに酒量が増え、とくに貧しい地域ではその傾向が顕著でした。これはネガティブな変化ですが、まあ、わからないでもないですよね💦

他方でポジティブな変化も。肥満や喫煙が新型コロナの重症化リスク要因であると判明したことから、パンデミック中にダイエットや運動、禁煙に励んだ人も実に多かったのです。わたしの周りでも、ひさびさに会って「わー、10キロ以上は痩せただろうな~!!」と思った人が何人も。

また、今までもイングランドではGP(かかりつけ医)が肥満の人にはさまざまな指導を行ってきましたが、これからは街の薬局からも、BMIが30以上の人をNHS(国民保健サービス)のオンラインサービスに招待できるように。なお、アジア系、アフリカ系などのマイノリティは2型糖尿病のリスクが高いためBMI 27.5以上が対象となります。

パンデミックの間に住環境を見直した人も多く、ロンドンから地方や他国へ引っ越しした友人を何人も見て来ました。昨年には「初めてフラットや一軒家を買った」という人も急増。前年比で35%の上昇となりました。

一因となったのはやはり「スペースの確保」で、住み心地の良いように家を改装するDIYも一大ブームに。また、イギリスでは不動産価格が上昇の一途をたどっていることから、投資目的あるいは投資も兼ねて購入した人も多数。ステイホームでお金を使うあてがなく、これはチャンスと節約して頭金を貯めた友人もいました。

さらにイギリス政府が不動産の新規購入を後押しするため、2021年3月末までに引き渡しを終える物件を対象に、2020年7月からは不動産購入時にかかる印紙税を減額もしくは無料に。「数十万円単位の節約ができる」と大喜びで飛びついた購入者も多かったのです。

なお、こちらではロンドンのあるイングランドのニュースを中心にお届けしていますが、ウェールズやスコットランド、北アイルランドでもイングランドに続いて規制緩和が進行中。

パンデミック中にプラスの変化を起こせた人もそうでもない人も、また少しずつ街に戻り、以前とはちょっと違う日常をあらためて築いていくのでしょう。この1か月間はほぼ引きこもり生活を続けてきたわたしもそろそろロンドンの街へ戻り、その様子をまたお伝えして参ります😄

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