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リアル生イギリス英語vol. 9<イギリス学校閉鎖、家庭学習のススメと関連用語>


「なんであんな頑張ってんだろうね。さっさと閉鎖しちゃえばいいのに。」

と、世界からも白い目で見られていたのではないでしょうか。あれだけ東アジア圏からの入国者を恐れいていたのが今は昔、イギリスの新型肺炎感染者と死者数はあっという間に日本を数倍もの勢いで抜いてしまいました。

「流行のピークをいかにして遅らせるかが最も大事。それまでは学校など通常の生活を閉ざすのは時期尚早。」と繰り返し声明を出していたイギリス政府も、他国に追従して3月23日からついに全国一斉

school closure 学校閉鎖

という事態に相成りました。

家庭学習の綿密な時間割表

他校の状況は知りませんが、我が子が通う学校ではイースター休暇まで2週間を残した現在、それまでの学習を補う形で大量の課題が出されました。

remote learning 遠隔学習

の始まりです。home schoolと言ったりもしています。日本では少し早い春休み、といった感じで特に課題などが出されている様子は見られませんでしたが(その後オンライン講座など活発になっているようですね。)イギリスでは他国とのタイムラグで多少時間の余裕があったせいか、我が子の学校の場合、自宅でも学校の時間割 timetable に沿った科目をやるよう細かく指示が出されました。

課題内容

実際出された課題とは、問題が書かれた印刷物の山、毎週行われるスペリング・テスト(漢字テストのようなもの)用の新単語帳、読書用の本数冊で、これに遠隔教室としてgoogle classroomを使ったオンライン授業があります。

国語、算数といった基礎教科の他に地理や歴史社会、コンピューターに道徳、図工に体育、音楽と、本当に全科目が網羅されています。学校でなら用意されているであろう、理科の実験まで材料をこちらで準備しなければならなかったり、スペイン語に至っては生涯一度も学んだことのない親にどうやって指導すれば良いのかと?!

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普段から私自身も苦手にしているのは、こちらの歴史。海外にいると、例えばある一つの戦争を取り上げるにしても、国によって物事を見る視点が異なるなーと感じるのですが、学習するとなると尚更私が日本でこれまで習ってきた範囲と全く違い、教えるどころか私まで「へー、イギリスではこういう価値観なんだ」と新たに学ぶ始末。

歴史上の人物もナイチンゲールぐらいなら知っていますが、それすら彼女がイギリス人だったとは知らなかったという低いレベル。文字通り、子供と一緒になって頭を突き合わせ解答する日々です。

親にのしかかる負担

下の子には更に身体的な手間がかかります。プリントを渡して「ハイどうぞ」ではできないので、何をするかの指示出しから始まり、読み書きの確認やら切ったり貼ったり小麦粘土を小麦から作らせて期間中は毎日それで「手作業の発育」を促したり・・

本来なら学校で教師の指導の下に進められていたはずの授業内容を、家で代わりに行わなければならない=学校時間中の親の時間はない。という図式が出来上がってしまうのです。

もちろん、100パーセント子供だけに時間を割ける親などいないでしょうから、家事なり在宅仕事なりをしながらの同時進行になるはずですが、それはつまり、普段の仕事に数倍の時間がかかる、という意味になります。

上の子は上の子で、勉強の難易度が下の子より高いので「できない」「わかーんな〜い」と言い出すのは目に見えています。すると質問に答えるためには私も問題を一から読み、子供がつまずく箇所はバラバラなので、つまり結局は子供と同じように全範囲の問題を一緒に解く羽目になるわけです。

そもそも、毎日の課題プリントやらテキストを日にちごとにまとめておく作業だけでも膨大な時間がかかりました。そんな単純作業・・と思われるかもしれませんが、両面印刷で裏面に翌週分の課題が印刷されていたり、毎日違う科目なのでそれを大量の資料の中から見つけ出して日ごとに揃えておくという作業は思いのほか時間が取られます。

子供2人だけでもこの手間なので、兄弟の多い家庭では想像を絶する事態になっているのではないでしょうか。実際初日を迎え、普段通りの時間に起床したものの家事は予想通り一切できず、途中子供の昼食を用意したり、私自身が食べ物を口に出来たのは午後3時のオヤツの時間でした。

空前の異常事態を皆で乗り切る

unprecedented 先例のない、 空前の、前代未聞

の状況 circumstances と、こちらではよく目にします。学校閉鎖までの1週間で

self-isolation 自主隔離
quarantine (伝染病予防のために) 隔離する

しなければならない基準が日ごとに厳格化され、閉鎖直前には生徒数は既に半減していました。多くの親は日本と同じように

work from home (wfmと略すことも) 在宅勤務

が始まり、食料調達には朝一で入場制限のかかったスーパーに並ぶなど、あらゆる事が非常事態化しています。

そんな心身余裕のない時だからこそ、保護者たちはクラスのSNSグループチャットでお互い励まし合ったり情報交換をして結束を強めており、学校側もそれを推奨しています。学校閉鎖は

until further notice 追って通知があるまで

という先行き不安な今後も見据えて、今は各家庭で出来得る範囲のサポートを子供にしなければならない状況にあります。初日を終え、最近頻繁にある校長から、この日はかつてない長い長〜いメールが届いており、読むのに苦労しました。曰く、各家庭子供の管理など、親の手に余る事態が多数起こったかと思うが、ここは忍耐

‘cut some slack’ 大目にみる、気楽にノンビリやる

ことが最も大事だと、繰り返し述べていました。

‘cut them (children) some slack’と、子供だけでなく

‘cut yourselves some slack’ tooと、親自身もユルく

どーんと構えるべし、と校長先生は仰っています。

Keep Calm and Do Home School

早くも「どうやったら(子供が)言うこと聞くの?!課題全然やらないで放棄なんだけど!」と、悲痛な訴えをしていたお母さんもいましたが、自宅学習はまだまだ始まったばかり。新しい生活習慣に順応できるまで、しばらく時間がかかるはずです。イギリスには

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Keep Calm and Carry On 平静を保ち、普段の生活を続けよ

という有名なキャッチフレーズがあります。これはイギリス政府が第二次世界大戦の直前に、国民の士気を維持するために作成した宣伝ポスターですが、現代ではこれをモチーフにした小物や衣服といった物が多数商品化されています。

また、これをパロディ化したスローガンも商用私用問わず広く使われています。(商用ではこういった形で購入する必要が特にあると思います。)世界中で、今こそこのスローガンがピッタリな時ではないでしょうか。


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