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イングランドが2度目のロックダウンへ突入~イギリス人のStiff upper lipとは?💂~【全文無料】

すでに各メディアで報じられている通り、イングランドが約1か月間(2020年11月5日~12月2日)のロックダウンに入ることが決まりました。当初予想されていたよりも2週間遅れのスタートで、当初予想されていたよりも長期間のロックダウンです。

政府も国民もロックダウンはもちろんしたくない…。けれど、せずにはいられないところまで追い詰められたというべきでしょう。ジョンソン首相は10月31日の16時からテレビ発表を行う予定でしたが、それが17時からになり…と何度も時間が変更されて、結局3時間近く遅れてのスタート。わたしも日本時間の午前4時前まで起きて待っていました😅

まずは政府の科学顧問が、イングランドにおけるコロナの感染状況をグラフなどを用いて解説。感染が急速に拡大していること、このまま行けばNHS(国民保健サービス)が近々逼迫する(地域によってはすでにコロナ患者用の病床がいっぱいになっている)ことなどが発表されました。

そしてジョンソン首相から国民へ向けて、4週間のロックダウンが伝えられます。一般のショップや飲食店は営業不可(テイクアウトを除く)。自宅勤務できない場合の通勤や、食料や必需品の買い物、運動などを除いては外出不可。ただし、春に始まったロックダウンとは異なり、他の世帯の人1名と公園などの屋外で会うことは許可され、また、学校・大学は閉鎖しません。

人々が注目していたのは、ロックダウン中の財政支援についてです。従業員向けの一時帰休制度(給与の80%を補償)は11月末まで延長されることが決まりました。わたしのような自営業者は2021年4月まで通常年度の収入の40%が補償されることが決定済みでしたが、これももっと手厚くなる可能性があると報じられています。

大多数のイギリス人にとって大事な年末のイベントがクリスマスです。例年、イギリス人は早ければ8月くらいからクリスマスプレゼントを買い始めるのですが、今年はどうなるのかよくわかりません。ジョンソン首相は以下のような言葉で濁していますが…🎅

「今年のクリスマスは例年とは様子が違うものになる。かなり様変わりするかもしれない。けれども現時点で厳しい行動をとることで国中の家族が再会できるよう、私は心から願っている」と述べた。

収入と並ぶもう1つの懸念点は「本当に4週間で終わるの?」という点でしょう。ジョンソン首相は「4週間でロックダウンは終わって、元の地域ごとのティアシステムに戻る」と発言していましたが、他の閣僚は「状況次第では12月2日以降も続く可能性はありますね」とハッキリ述べています。

わたしは個人的にこのロックダウンは延長される可能性が高いと見ています。というのも、前回のロックダウンのときに感染者数や死者数は本当にじりじりとしか減少しなかったからです。前回よりも甘い内容の4週間のロックダウンで劇的な変化が見られるとは、残念ながらあまり思えません。

また、イギリスの複数の研究機関の予想によると、1日の死者数は12月中にピークに達します。ですから、少なくとも年内はロックダウンを続けた方が医療崩壊を防げる可能性が高まるだろうと。4週間で解除になればもちろん国民は嬉しいでしょうが、なかなかむずかしそうなのが現状…。

「え、もしもロックダウンが延長になったらクリスマスは…?」🎅💦

という質問には、答えがもうわりと公式に出ています。警察は昨日、「30~40人以上で集まって明らかに規則違反をしているのではない限り、クリスマスパーティを厳しく取り締まろうとは考えていない」と発言。仮に公式な制限緩和がなくても、クリスマスに家族で集まって過ごすことはお目こぼしされる確率が極めて高そうです。

イギリスの11月~12月はハッピーでマジカルな時期。誰もが家族や他人に対して優しくなります。見知らぬ人同士で「メリークリスマス!」と言い合う、あのうきうきとした気分ときたら…!クリスマスデーにはお目こぼしがありそうだとは言え、クリスマスが近づいて陽気であるはずの時期にこのような事態になったことが悲しく(わたしは今日本にいるにもかかわらず)涙を抑えきれなかったほど。

「イギリスのクリスマスってそんなに楽しいの?」と思われる方は、ちょっと古いですが有名な映画「ラブ・アクチュアリー」をご覧ください。ロンドンを主な舞台にしたロマンチックコメディーで、クリスマス時期の人々のそわそわ・わくわくした感じがとってもリアル✨

また、この映画をご覧になると、イギリス人が内面をいかに隠したがる人たちかというのもお知りいただけるかと。イギリス人は「a stiff upper lip(固い上唇)」を持っていると言われています。怒りも悲しみも自制し、きりりと口元を引き締めて耐えるという比喩表現です。

今の若いイギリス人は感情をよく表現するようになった…と言われますが、わたしから見ると、若くてもイギリス人はやはりこの傾向をもった人が多い。日本人から見てイギリス人が冷静沈着に思えるのもこれによるものかもしれません。何かあってもぎゃーぎゃーと泣き叫ぶのは、いかにもイギリス人らしくないというわけです。

そんなわけで、2度目のロックダウンが決まってわたしが勝手に日本で涙を流している中(笑)イングランド人の友人たちはほとんど騒いだり嘆いたりしていません。ごく一部の騒いでいる子も自分のことや愚痴ではなく、「この分だと年末にかけてフードバンク利用者が増えるから、ちょっと今から寄付してくる!!」というような騒ぎ方。なんてエエ子や😭

またロックダウンになって大変だね、とわたしが友人たちに水を向けたところで、返ってくる言葉は容易に予想がつきます。「Here we go again!(ほーら、また始まるよ)」「Oh dear(おや、まあ)」「Oh well(やれやれ)」。きっとそんなところ。そして気の利いたロックダウンジョークをひとつかふたつ。

しかしそんな反応だからと言って、彼らがまったく落ち込んだり傷ついたりしないわけではもちろんありません。その本音の部分を理解して思いやり、場合によってはうまく吐き出させるのも、イギリス人と付き合う上で大事なことかも💓

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近くにいたらきっとハグをする。お茶を淹れてあげる。でも、それができないのならっていうことで、わたしは今年ジャパニーズ・サンタになって、日本のお菓子やら本やらをイギリスの友人たちに送ろうと思うのです。あ、わたしは仏教徒なんですけどね(笑)。箱を開けたときに彼女たちが目を輝かせて「Oh, Yuri!!」と叫ぶところも、見えないけれどばっちり見えるから😉

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