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外国語を勉強したのは、本をもっと読み、もっと深く理解したかったから📚【全文公開】

今日はいただいた質問にお答えします。

ユリさんは英語を含めて数か国語を操られるようですが、外国語を勉強するきっかけになった出来事や、学習のモチベーションを維持できた理由はありますか?

そうですね。今まで学校に通うなどして正式に学習してきた外国語は、英語、フランス語、イタリア語、インドネシア語、ドイツ語、標準中国語です。まあ、ふつうの方よりは多めかもしれません。中には仕事上の必要性で…というものもありますが(ドイツ語)、ほとんどは自分で「よっしゃ」と決めて勉強してきました。

しかし、学習したと言っても当然各言語の習熟度はまちまちです。わたしは個人的には、言語の習熟度にはざっくりと以下のようなレベルがあると考えています。

「その国で何とか一人旅ができる(初級)」
「日常会話がさほど問題なくできる(中級)」
「ビジネスの場で運用できる(ビジネスレベル)」
「高度な議論や文学作品が楽しめる(上級)」

そして、わたしの場合、上級レベルまで持って行けたのは、英語、フランス語、インドネシア語のみです。あとは旅行なら何とかなるとか、基本的な文法や発音を理解しているとか、その程度。すなわち上のカテゴリーで言う初級止まり(一般的な語学学校のレベル分けなら「中級」)。

上級と言われるレベルまで数か国語を勉強した理由、それは…。本をもっと読み、もっと深く理解したかったから(目キラキラ)。今でもさらに英語力を磨きたいと思っているモチベーションは、英語の本をもっとすらすら読んで、深く深く理解したいから。だって本が好きだから(両手を高く掲げて)。そして小説をバリバリ読むには上級の語学力が必須だからです。

翻訳の仕事ができるとか、外国語でライティングの取材ができるとか、外国人の友達がいっぱいできるとかは、まあそこにくっついてきたオマケなんですよね。良いおまけだという自覚はあります😆でも、それだけが目標だったらきっとわたしはここまで外国語を熱心には学べなかったでしょう(もちろん、各国語自体の面白さも大きなモチベーションにはなりました)。

今回は、わたしが英語、フランス語、インドネシア語でそれぞれ読みたかった小説や、「もっとこの言語で読んでみたい」と思わせてくれた小説をご紹介したいと思います。

英語

英語は、皆さまと同じく、日本の義務教育に含まれているので否応なしに勉強する必要がありました。しかし、そんな漫然と学んでいたわたしの意識を変えた1冊がこちら。日本語版はすでに読んでいたのですが、高2のときに授業をさぼって(良い子は真似をしないでね☆)図書館で原語の『The Catcher in the Rye』を読み、雷に打たれたような衝撃を受けたのです。

「え…。日本語でも面白い本だとは思ったけど、英語の方が100倍面白いじゃん!!」とびっくり。主人公の独特の言い回しが生き生きしていること!笑いどころや泣きどころも英語版の方が豊富に感じられ、「ええええ、英語をもうちょっと勉強しようかな」(それまでも得意科目ではあった)と思わせてくれたのです。サリンジャーには本当に感謝ですね☺️

フランス語

それでもまあ、大学で外国語を専攻しようとまでは思っていなかったのですが、高3のときに出会ったのがデュラスのこの小説でした。読んでいると、なんだかすごくモヤモヤする…。非常に美しい文章であることはわかるのですが、たとえるならそれは御簾越しにうっすらと見える美女の姿のよう。翻訳を通すことで、原語の詩的な表現がぼんやりしているのですよね。あああああ、歯がゆいっ!!!

その美しい(はずの)表現をもっとダイレクトにビシバシと感じたかったこと、そして当時のフランスとインドシナの関係などについても詳しく学びたかったことから、「大学ではフランス語を専攻しよう」と決めたのでした。上智大学外国語学部の入試の最終面接でも「ラマンが原語で読みたい一心です」と臆せず伝え、教授陣がちょっと驚いていたのを覚えています🤣

インドネシア語

バリ島を旅行してその自然の美しさと奥深い文化に魅せられ、インドネシア語を学び始めた大学時代(一般教養科目)。言語自体の面白さや先生方の素晴らしい情熱に後押しされ、気づけば上級クラスまで進んでいたのでした。

その上級クラスで、講読授業のテキストとして村井吉敬教授が選んでくださったのが、プラムディヤの「Gadis Pantai(海辺の少女)」でした。これまた、椅子から転がり落ちるほどの衝撃!!正直、東南アジアにそれほど卓越した文学作品が存在するとは知らなかったのです。プラムディヤがノーベル文学賞を獲得していないことは、文学ファンなら皆不満に思うでしょう。

「Gadis Pantai」はおそらくいまだに日本語訳が出ていないようですが、上のめこん社の選集を含め、彼の小説はいずれも超一級品。原語で読むと、さらにひれ伏したくなるほどの水もしたたる美しさです(内容は悲惨なのよ)😍

まとめ:翻訳書から始めるのはとてもおすすめ

わたしの上記の例を見てもおわかりかと思いますが、まずは翻訳書から読み始めるのは非常に良いと思います。誤解を招きたくないのではっきりと書きますが、上にご紹介した本の翻訳者さんはいずれも本当に素晴らしい技能の持ち主です。わたし自身、それ以上の良い訳文が生み出せる気がしません。そしてそのレベルで満足される方がおそらく95%以上でしょう。

しかしそれでも、原語の持つパワーというのはそれはもう計り知れないものです。翻訳書ではなんだか物足りない、むずむずする…という文学マニアの方は、多少時間がかかっても上級になるまで外国語を学ぶ価値は十二分にあると思います。少なくともわたしには一片の後悔もありません✨

晴れて十分な語学力を身につけ、気になっていた本を自由に読めるようになったときの喜びはたとえようもありません。まさに「本懐を遂げる」といった感じ。わたしたちはその時こそ、御簾越しにぼんやりと姿を見るだけだった美女・美男をこの腕に抱き、そのぬくもりを味わいながら、素晴らしい髪や肌を存分に愛でるのです。ハァハァ。今日もそんな感じで英語の読書を楽しんでいます。イエーーー!!

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