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天才スピヴェットを観て

海外から来た人(特にアメリカやヨーロッパ)が写真に撮る日本の風景って、日本に住む人が撮るそれとちょっと違うように感じることがある。

たとえば桜。「桜 写真」で検索するのと、「cherryblossom photo」では出てくる写真がかなり違う。ざっくり言って、前者は淡く儚げな色。後者は華やかなピンクや、ネオンカラーに近いような夜空とのグラデーション。テーマは同じでも、色や光の写し取り方が自分とは全然違うから面白い。

美意識、と言うと堅い表現だけど。その土地に住む人にしか見えない美しさがあれば、外から来た人だからこそ発見できる美しさもあるもんだなぁと思う。

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そんな、「外から」の視点がすごく好きだった映画が、「天才スピヴェット」。かわいいフランス映画の代名詞「アメリ」の監督が、アメリカを舞台に撮った作品です。

天才と呼ばれる少年が、ある目的を達するために貨物列車でワシントンD.C .を目指す物語。その道中の映像がとにかく良いのです。

フランス人の監督が描くアメリカ。「外国人」の目から見た、理想のアメリカ。観終わるのがもったいないくらい、かわいくて素敵な光と色使い。

貨物列車の窓の外に流れる大自然や、街並み、夜の工場なんかが、いちいち温かくてきらきらしてる。ああ、旅する人間の視点だなって思う。

観終わる頃には、電車でのんびりできる旅に行きたくなっていた。大事なガラクタを、リュックに詰めて。

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