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ベルリンから1時間半、裸足公園冒険記 廃墟つき

今回は友達親子とベルリン郊外にある裸足の公園に行き、魂が震えるほど楽しんできたのでまとめてみたいと思う。初めて海外在住者らしい記事になりそう。

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1 ベルリン中央駅から快速電車で向かう

ここ2〜3週間でドイツの規制緩和が緩んだこともあり、友達親子に「Barfußpark」(バルフースパーク)=裸足公園に誘われた。

特に下調べもせず弁当と着替えを詰めたリュックを背負いベルリン中央駅に11時に集合した。

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ベルリン中央駅(Berlin Hauptbahnhofベルリンハウプトバーンホフ)とは普段暮らしている街中からは少し外れた場所にあるが遠出する際の長距離電車の発着駅として使われる駅で、この駅に集合するだけでピクニック気分が盛り上がる。しばらく規制で遠方の行き来も減り寂しかった駅だが、大きなスーツケースを引いた人がちらほら増え、構内の店も再開していた。

ちなみに2019年の秋にベルリンに初めて降り立った際、今は無きテーゲル空港(翌年10月末にブランデンブルク新空港に移設)からバスでベルリン市内に降りた時に利用した駅でもあり、思い出深い場所でもある。

この14番ホームから乗り込む。

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今回は普段の電車とは違い快速列車に乗るので、乗る駅と目的地が指定されたチケットの24時間有効券を9.40€で購入する。未だに切符のシステムは決まりが多くよく分かっていない。

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ドイツの交通機関は改札がなく自分で適切な切符を買い、自分で乗車日時と時間と場所が打刻される機械(日本のタイムカードの打刻機械に似てる)に差し込み乗り込むのみなので、何かを間違えるとランダムで現れる車両内の見回りに捕まり即罰金、他の国よりかなり難易度が高いと感じる。

私も6年前にヨーロッパバックパック1人旅行で初めてドイツに降り立った際、長距離電車の切符は買っていたものの電車内の見回りに切符を見せたら首を振られ、訳もわからず罰金を6000円ほど請求された。英語でゴネても言葉が通じず、目的駅の個室に連れて行かれ別のスタッフになんとか説明し今日だけ特別だと罰金は免れることができた。ルールが絶対のドイツで罰金免除はかなり貴重な体験である。今思い返せばあれは打刻をせずに乗車したことが原因だったのだろうと思う。改札がない分、打刻をしないと何回でも乗れることになってしまう。

真っ赤な車体が現れ、快速電車RE(レギオナルエクスプレス)に乗り込む。

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綺麗な車内、座席自由、トイレ付。ドイツでは大問題の「トイレどこ行ってもない問題」が解決されるのは大変助かる。

公共機関では未だにFFP2規格のマスクが着用義務化されている(子供は免除)ので、少し暑い。快速電車の加速と共に私の乗り物酔いも加速する。

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炭酸水は乗り物酔いの強い味方。

ここで気付く人もいるだろう、今回一緒に行く子は先日2人で半日過ごし、冬にはプッシャーのはびこるエリアでかくれんぼした、私と髪型の似ている友達だ。


2 「Beelitz-Heilstätten」駅到着

集合住宅しかないベルリンを出るとレンガ作りの一軒家がポツポツと見えてきて、次第に木と川のみの光景が広がる。ブランデンブルク州に入りポツダム宣言で有名なポツダムを通り過ぎ、ベルリンから1時間半、目的地で降りる。

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目的地バルフースパークの最寄駅は「Beelitz-heilstätten 」(ベーリッツ ハイルシュテッテン)。

廃墟マニアは知ってる人もいるかもしれないが、ベーリッツとい地域は昔療養施設が数多く建てられていた地域で、ハイルシュテッテンというのは昔ヒトラーも怪我の治療で入院したという巨大な廃病院。我々が向かうバルフースパークは、このハイルシュテッテンの敷地のすぐ横に作られた広場だった。

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入り口からすでに物々しい廃墟がかっこよく佇む。

そんな有名な廃病院がある事も知らなかった我々は廃墟の横にバルフースパークの看板があるのを見つけ、すぐそこのKasse(カッセ=レジ)でチケットを買おうとする。

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ここで注意だが、ここのチケット売り場は廃病院ハイルシュテッテンとその周辺巡りの「Baum&Zeit」(バウム &ツァイト=木と時間)という施設のチケットなのでバルフースパークに行きたい人は間違えて買わないように。
廃墟巡りがしたい人はこちら

もっと奥にバルフースパークがあると言われ、緑の看板を目印に進む。

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その間に隣接した廃病院もフェンス越しに楽しむ事が出来る。

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フェンスの向こうで廃墟観光中のご隠居に声をかけて、この建物は何か聞いてみると、かつて療養病院だったが第二次世界大戦の際攻撃を受け破損した物だと知る。

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襲撃を受けていなければ今頃現役だったのだろうか。

3 Barfußpark バルフースパーク到着

10分ほど廃墟の周りを歩くとBarfußparkが見えてくる。

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こちらがチケット売り場

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大人7,50€を払い、軽い説明を受け中に入る。スタッフものびのびしていている。
ひとまず真ん中のカフェテリアのテーブルで腹ごしらえを済まし、ロッカーに不要な荷物と靴を入れ、完全に裸足になる。

この敷地内では裸足がマジョリティで靴を履いている方がマイノリティ。ヌーディストビーチで服を着るのが恥ずかしいのと同様に、ここでは靴を今すぐ脱ぎたくなる、まさにBarfuß(裸足の)park(公園)なのだ。

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裸足になるというと「ガラス落ちてない?」と聞く彼、ベルリンの特に荒んだノイケルンで生まれ育つと、地面には割れたビンの破片が落ちているのが当たり前になってしまうらしい。

地図を片手に作戦を練る。

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要約するとこう

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4 赤 クナイプ自然療法コース

まずは初心者向けの赤コースから。

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いろんな種類の石の上を歩く。

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研磨されたガラスは冷や冷やするけど綺麗。

冷たい水で神経系を刺激、いい感じの石の上で足をグリグリしているうちに、足が軽くなるのを感じる。さすがクナイプ療法。この時点で大人はもうバルフースパークに魅了されている。

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泥ゾーンは他のコースにも何回か登場し、合わせて3種類もある。しかも泥の濃度が違うという気合の入り用。
肥溜めみたいだと言おうとしたが、子供がドンびいて入らなくなるのも嫌なので心の中で肥溜めだと思いこみながら歩いてみたらかなり面白い体験になった。
泥の感触は小学生の頃学級で行った田植えの作業を思い出させた。

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松ぼっくりはかなり痛かったが、足の裏の感覚を殺せば普通に歩けることに気付く。「心頭滅却すれば火もまた涼し」を松ぼっくりから学ぶ。

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赤コースが終わる地点で黄色コースと交わる。

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廃棄された床材を水とミネラル塩で研磨し再利用しているらしい。バルフースパークの優しそうな守り神にセイハロー。

5 黄色 自然の音やバランス感覚コース

一旦ロッカーに置いてきた水を飲み、黄色コースへ突入。
いい具合に戻ってきて休憩できるのもよくできている。

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バックに広がるハイルシュテッテンと

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音が楽しめる系の黄色コース

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反対側から叩いたり引っ掻いたりすると音が伝わってくる

黄色が終わりおやつタイムを挟み、物々しい青コースへ。

6 青+水色 針葉樹広がる禅コース

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綺麗に並ぶ針葉樹林のなかを歩く。コースは全て常に柔らかい土で整備されているので、道をそれることもなく安心。

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時刻は4時半、落ち着いてきた陽の光が斜めの刺し込み、鳥の声のみが響く。

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赤や黄色と比べると大人向けに感じるが、子供も楽しめる。

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木でできたハンモックから見上げる空。森の音が聞こえ、木がゆらゆら揺れているのが見える。

そして水色の静寂コースに差し掛かり、私が一番楽しみにしていた「Zen-Garten」(禅の庭)ポイントに差し掛かった。

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瞑想的なものを期待していたが、コンセプト的には枯山水を模していて、中学の頃の修学旅行で見た龍安寺(たぶん)の庭園を思い出させた。

最後には積み石ポイント。いい重さの石が集められていて、深呼吸をして石そのものが持つバランスを探ると、ある一点で重なりが見つかる。

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昔読んだ地獄先生ぬ〜べ〜で、賽の河原で積み石をぶち壊す化け物の話を思い出した。

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時刻は17時過ぎ、ようやく全てのコース、全てのポイントを3人+リスのぬいぐるみ(入園時彼が欲しがって買ってもらっていた)と共に周りきった。

中心地に戻る途中で野生のリスと対峙した。

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7 帰宅

足洗い場がロッカーの前に数箇所あり、ホースとブラシでこびりつき固まった泥を洗い流していく。

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体全体が心地いい疲労感に包まれているのに足は軽い、靴履きたくないなぁと思った。そして本当に楽しかった、限りなく自然と一体になりながら遊ぶことで、体が喜び、それが心(主に神経やホルモン)にも大きな影響を与えるように感じた。

アミューズメントパークのように細部まで人工的に作られた場所とは違い、割と放任で各々楽しめるスタイルは対自然と自分の解釈の幅を大いに与えてくれる。

ドイツは自然を愛し質素を好む傾向があるが、自然と娯楽が本気で融合するとここまで面白くなるのだと体験できたのはとてもいい経験だった。

多分また行くと思う。あなたも興味があればぜひ。

Der Barfußpark  Beelitz-Heilstätten


5月〜9月 毎日営業 
平日10:00〜18:00 週末10:00〜19:00

オフシーズン 4月と10月の営業時間はサイトをチェック
11月〜3月閉園

行き方
車 A 9 Beelitz-Heilstätten 出口
電車 RE7 Berlin Potsdam経由 Beelitz-Heilstätten駅から徒歩1,2 km

住所 Fichtenwalde 13, 14547, Beelitz

Tel 0162-290-9999