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漠然とした不安とその解消法 〜仏教の視点を交えて〜



1.不安は当たり前


人間には生存本能が備わっています。

私たちが生きているのは、先祖たちが不安を感じやすく、上手く危機を回避してきたからです。

危険を顧みずに何かに挑戦することが美談として語られがちですが、不安を全く感じない状態の方が、ともすれば異常ではないでしょうか。

死の恐怖は誰もが持っているはずです。



2.思考や感情は「私」ではない


思考や感情は、川を流れる水のようなものです。

瞑想をすれば分かりますが、あらゆる思考や感情は現れては消えるだけの、頭の中のうわさ話のようなものです。

「こんな思考をする自分はなんてダメな人間なんだ」などと思う必要はありません。

その思考や感情はただの妄想です。

その妄想はあなたの本性ではありません。



3.神経回路と脳の可塑性


脳には可塑性があることが分かっています。

新たな神経細胞(ニューロン)を形成し、神経回路を何度も作り変えています。

今、ネガティブな不安に取り憑かれていようが、それを無くすことは可能です。



4.あらゆる思考や感情は、他人から見たら強迫観念のようなもの


思考や感情は一瞬のうちに、大量に生成と消滅を繰り返しています。

この無常を理解せずに、特定の思考や感情を特別視することが、苦しみの原因となります。

例えば、「スポーツ選手になりたい」という特定の思考があるとします。

これを特別視しなければ、ただ消えるだけです。

しかし、この思考を特別視し、「絶対にスポーツ選手にならなければならない」、「スポーツ選手になりさえすれば幸せになれる」といったような思考が生まれ、この思考に執着することで苦しみが生まれます。

特定の思考や感情に執着し、何度も繰り返すことで、その神経回路が定着します。

それは、他人から見たら強迫観念のようなものです。

実際には、スポーツ選手になろうがならなかろうが、人間がやっていることと言ったら、食べたり歩いたり、話したり寝たりしているだけです。

外面的なことは、私たちの幸福とは全く関係がありませんし、スポーツ選手になろうがならなかろうが、どちらでも良いことです。

「特定の思考や感情が本当の私である」のような誤ったものの見方が間違いの始まりです。


宗教や思想、世間の言説や常識、あらゆる思考や感情は、ただ概念として人間が考えただけのものです。

それに囚われて執着することは、強迫観念のようなものです。

私たちは、色眼鏡をつけて世界を見ています。

思考や感情は、ただ観察するか、あるいは放っておけば消えていきます。

特定の思考や感情を特別視しなければ、苦しみは生まれません。



5.思考や感情がせき止められることはない


心を無にすることが悟りだと思われがちですが、無にすることはできません。

思考や感情を止めることは不可能です。

不可能だからこそ、今この瞬間にだけを観察し、放っておくのです。



6.具体的な不安の解消法


⑴生活習慣を整える

「食事・睡眠・運動」これが基本です。

食事・・・バランスの良い食事を心がけます。血糖値の急上昇により眠くなるので、野菜から食べたり、甘いものは食後に限定する必要があります。

睡眠・・・人によって必要な睡眠時間は変わりますが、7〜8時間は寝ると良いです。最低でも6時間は寝たいところです。寝る2時間前以降は、スマホやテレビなどの画面を見てはいけません。睡眠の質が下がり、翌日に響きます。寝る90分前くらいに入浴すると、スムーズに眠れるようです。私は、入浴時は風呂場の明かりを消して、夜はなるべく光に当たらないようにしています。昼夜逆転はやめましょう。もしかしたらこれが最も大事なことかもしれません。

運動・・・週に3〜4回、30〜40分程度の有酸素運動(ウォーキング、ジョギングなど)が効果的なようです。筋トレもできるなら尚良いです。いきなりそんなに出来ないという場合は、週に1回、10分からでも大丈夫です。習慣を作ることが何よりも大事なので、負荷は徐々にかけていけば良いです。私の場合、最初は数十分のウォーキングから初めて、今は週に3,4回、5キロのジョギングをしています。早く走る必要は全くありません。息がきれない程度にゆっくり走ると良いです。


⑵瞑想をする

瞑想は脳の筋トレのようなものです。継続することで、徐々に頭の中の霧が晴れ、思考や感情に振り回されることがなくなり、平穏な心が得られます。これも最初は30秒程度、呼吸に意識を向けることからでOKです。詳しい瞑想法についてはいずれ書こうと思います。


⑶ネットは必要な時だけ

ネットは中毒性があります。これは、スマホの開発者たちが意図したところです。いらないアプリはどんどんアンインストールすると良いです。必要のない時は、スマホを目に入らない場所に隠しましょう。


⑷依存傾向があるものを排除する

同様に、アルコールやパチスロ、タバコなどに依存している場合は、徐々に減らしていくと良いです。


⑸信頼できる人との交流

精神的に安定した、信頼できる人との交流が必要です。信頼できる家族や恋人や友人がいれば良いですが、いなければ新たにコミュニティに入るなどして、リアルな人間関係を持つと良いです。

人間が苦手なら犬を飼いましょう。犬と飼い主が見つめ合った時に、オキシトシンという幸せホルモンが分泌されるという論文が、以前発表されました。動物を飼うことは大変ですが、やることがあれば、不安に取り憑かれる暇もなくなり、日常が充実するでしょう。

また、ネットでも人間関係が構築できるという意見があるかもしれませんが、ネットは顔が見えない分、オキシトシンなどによる良い影響があまり期待できないと、個人的には思います。


⑹その他

・朝起きたら、カーテンを開けて日光を浴びる。

・セロトニンを増やすことを意識する。

・暇を作らず、目の前のことに没頭する。


上述したように、何事も習慣化が最も重要なので、できることを一つずつやっていくと、不安を感じることが無くなると思います。日常を変化させることは、誰しも億劫だったり怖いことだったりします。なので、徐々に徐々に変えていくと良いと思います。



<参考文献>​




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