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資源・エネルギー・環境教育雑記帖(17)〜教科書で扱われている資源・エネルギー・環境(中3理科・ 生態系と食物連鎖)〜

2023年より、資源・エネルギー・環境教育の推進に深く関わってきました。
この分野への興味を抱き、暇を見つけては関連する書籍を読み、研究を重ねています。
同じ関心を持つ仲間たちと立ち上げた研究会では、教育における資源・エネルギー・環境問題の扱いについて積極的に議論を交わしています。
この不定期連載では、教科書に記されていることを踏まえ、中学校及び高校での資源・エネルギー・環境に関する教育内容をご紹介します。
今回の記事では、生態系の成り立ちについて綴っています。


生態系

中学3年生の理科教科書では、特定の場所に生息する生物群とその環境との関係性を「生態系」と定義しています。
ここでの「環境要因」は生物の生活に直接影響を及ぼす非生物的要素を指し、これらは生物群と相互作用を持ちます。
生態系内の生物は、「食べる―食べられる」の関係性を通じて相互に繋がり、この関連性が「食物連鎖」として知られています。
食物連鎖は更に複雑な「食物網」を形成し、生物間での相互依存の網目状構造を示します。

生態系のバランス

生態系のバランスは、「植物→草食動物→肉食動物」という一連の食物連鎖によって維持されます。
この食物連鎖の存在にも関わらず、生物間での個体数は一定のバランスを保っています。

生態系に及ぼしている人間活動の影響

人間による不適切な廃棄物処理は、生態系における生物の個体数バランスに悪影響を及ぼします。
例えば、不適切に捨てられた生ゴミを食べるカラスの数が増え、その結果生態系全体が影響を受けることがあります。

生物濃縮

「生物濃縮」とは、食物連鎖を通じて特定の物質の生体内濃度が環境中の濃度よりも高まる現象です。
毒物がプランクトンに取り込まれ、その後、これらを食べる魚、そして人間がその魚を摂取することで、最終的には人体内での毒物濃度が高くなります。
生物濃縮される物質としては、ヨウ素、DDT(ジクロロジフェニルトリクロロエタン)、PCB(ポリ塩化ビフェニル)などがあります。
これらは特に脂肪組織に蓄積しやすい特性があります。
水俣病は、生物濃縮によりメチル水銀が人体に蓄積したことで引き起こされた公害病の一例です。

食物連鎖と資源・エネルギー・環境教育とのつながり

この記事では、中学3年生の理科で扱われる生態系と食物連鎖に焦点を当てました。
生物間のバランスが保たれることは、生物多様性の保全に不可欠であり、食料生産システムにも深く関わっています。
生物濃縮の話題は、産業活動の負の側面を浮き彫りにし、環境保全や食の安全についての重要な議論を促します。

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