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【化学基礎】化学の基本法則【授業実践備忘録】

これまでの私自身の授業を振り返りのために、2023年度の夏休み開始から不定期で、あるテーマについての私の授業実践の中身を綴っています。
この【授業実践備忘録】は特に授業経験の浅い高校の理科の先生方に向けて綴っています。
私自身、過去の授業実践を振り返ると「あれは効果があった」「あの時にああしとけばよかった」といった思いが何度も繰り返し頭をよぎります。
今思うと、恥ずかしいことをどれだけしでかしてきたかわかりませんが、そういったこともオープンに、かつ改善案も綴って参ります。
この記事をご覧になられている先生方におかれましては、これからの授業づくりで良い意味で参考にしていただけるのはありがたいです。
しかし、先生方によっては「なんだ、こんなものか」「これくらいよりはもっと良い授業ができるわ」と思われるかもしれません。
その際は、この記事内容を踏み台・反面教師にしてよりよい授業づくりにつなげていってください(笑)


化学の基本法則とは

「化学の基本法則」という単元で、高校の化学基礎の教科書にこれらの法則が出てきます。
授業で説明する際、板書で図解すると生徒の頭に入りやすいようです。
(※がついているものは、中学で既に学んでいるものです。)

質量保存の法則※

化学反応の前後で、反応物と生成物の質量の総和は変わらない。

定比例の法則(一定組成の法則)※

同じ化合物を構成する成分元素の質量比は常に一定である。

数研出版『化学基礎』

倍数比例の法則

A・Bの2種類の元素からなる化合物が2種類以上あるとき、一定量のAと結合しているBの質量は、これらの化合物の間では簡単な整数比になる。

数研出版『化学基礎』

ドルトンの原子説※

1.すべての物質はそれ以上分割することができない原子からできている。
2.原子は固有の質量と大きさをもつ。
3.原子は消滅したり、無から生じたりすることはない。

気体反応の法則

気体が関係する反応では、反応に関わる気体の体積の間に、同温・同圧のもとで、簡単な整数比が成り立つ。

第一学習社『高等学校 新化学基礎』

アボガドロの分子説※

1.気体はいくつかの原子が結合した分子からできている。
2.同温・同圧では、気体の種類に関係なく、同じ体積中に同数の分子が含まれる(=アボガドロの法則)
3.分子が反応するときは原子に分かれることができる。

数研出版『化学基礎』

化学の基本法則を学ぶ意義

中学校で学んでいるものもあるからなのか、どの教科書を見ても、これらの法則は化学反応式の単元の後に、「参考」程度に扱われています。
私自身、2018年度までは、原子量→分子量・式量→物質量→化学反応式と授業をし、基本法則は簡単な紹介程度で済ませていました。
しかし、この基本法則を学ぶことには、大きな意味があると思います。
それは・・・

「目に見えない原子や分子の存在を、目に見える量的な関係から解き明かしてきた、人類の知恵の発展をたどる」

ということです。
その中で原子量・分子量・式量・物質量・化学反応式が導入されてきたわけです。
だからこそ、原子量・分子量・式量・物質量・化学反応式については、歴史的な経緯を踏まえ、それらを学ぶ意義を生徒に伝えて理解を深めるようにしています。
そこから、メンデレーエフの周期表や量子化学に繋がっていくわけです。
しかし現実は学習指導要領の関係で、教科書で著されている順番は歴史的な経緯をほとんど無視した状態になっています。
原子量・分子量・式量・化学反応式が生まれた歴史的な経緯を説明すると、生徒にとってはストーリーがあるということで頭に入りやすかったようです。
その上で量的な計算が指導できるように繋げたいところなんですけどね。

留意点

歴史的な経緯をたどりながら説明する際、用語や記号の扱いは注意しなければなりません。
というのは、上に記した法則が唱えられたのは18世紀末から20世紀初頭で、元素記号・化学式・単位などが新しく誕生した時期ということがあります。
私自身も経験したことがありますが、ある法則について説明する際、その時代に元素記号が使われていないことを知らずに、元素記号や化学式を使って説明したことで余計な混乱や間違いを生むことにも繋がります。

ここで一息

今回の記事で綴ったことは、実は某大手予備校の化学の先生が仰っていたことの受け売りなんです。
ただ、化学基礎の教科書で記されている内容は、法則や知識としてまとまるまでの歴史的な経緯がほとんどではないかという気が最近はしています。
また、それらを追体験することが探究にもつながると考えています。

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