高校理科の問題集

この時期になると、私が勤務している学校では次年度用の副教材(問題集や資料集)の見本が送られてくる。
そういった副教材を学校の授業で使用したり、テスト作成の参考にしたりしている。
そこで、副教材の選定でお悩みの先生方のために、私が気になっている高校理科の問題集についての私見を記事を綴る予定でいる。
その前置きということで、高校理科の問題集の大まかな特徴をこの記事で綴ることにする。
これから綴る記事は私の独断と偏見に満ち溢れることになるだろうが、ほんのわずかでも高校の理科の先生のお役に立てば申し分ない。


問題集のタイプ

1.B5版書き込みノート型

それぞれの章において、ポイントまとめの文や図を読みとりながら語句を入れ、基本的な問題を解き、その解法や解答を空欄に書き込んでいく形式になっている。
例えばこんなシリーズが該当する。

  • ネオパルノート(第一学習社)

  • プログレス(第一学習社)

  • 必修整理ノート(文英堂)

  • リードLightノート(数研出版)

  • ゼミナール(浜島書店)

  • ステップノート(浜島書店)

  • 短期集中セミナー(浜島書店)

  • アクセスノート(実教出版)

  • エッセンスノート(啓林館)

  • ニューアチーブ(東京書籍)

  • Let's Try Note(東京書籍)

他に挙げたらキリがないのでここまでにとどめておくが、基本的といっても簡単なものばかりでなく、じっくり考えなければ解けないような骨のある良問もかなり含まれている。
情けない話、ノート形式の問題集は簡単で受験には対応しないという偏見が私の中にあった。
しかし、よく見ると、1冊すべての問題を完璧に解けるようになれば、大学受験でも十分対応できるものもある。
ただ、このB5版の問題集は「〇〇基礎」とついた科目しか出版されていないことが多い。
また、ノート形式の問題集は答えを一度書き込んでしまうと、それを暗記してしまうことになりがち。
私が授業を担当している生徒にも見られるが、最初から色ペンで答えを書き込み、赤い下敷きを当てながら暗記用に使われているのを見かける。
本当にガッツリ問題を解き、徹底的に理解しようと思うのであれば、最初は別にノートを用意して、間違えたところだけ書き込みながら繰り返すという使用法も考えられる。

2.B5版ドリル型

特に物理・化学で計算や作図が必要な問題については、反復演習を行わないと理解できないということもある。
そういった反復練習に特化したドリルも出版されている。
例えばこんなシリーズが該当する。

  • アプローチドリル(第一学習社)

  • フォローアップドリル(数研出版)

3.A5版教科書傍用型

それぞれの章の冒頭に簡単なポイントまとめがあり、一問一答形式の問題→例題→基本問題→発展問題→総合問題というように、段階を踏んだ構成がなされている。
特に発展問題・総合問題は大学入試の過去問がほとんどで、これらが完璧に解ければ大学の一般入試にも対応できるようになる。
問題を解くときは、答えを書くためのノートを各自で準備しなければならない。
例えばこんなシリーズが該当する。

  • セミナー(第一学習社)

  • リードα(数研出版)

  • センサー(啓林館)

  • アクセス(浜島書店)

  • エクセル(実教出版)

  • ニューグローバル(東京書籍)

ただ、教科書会社が出版している問題集については、問題テーマがその会社の教科書の構成に沿った順番になっていることがほとんど。
それで、自分が使っている教科書とは違う出版社の問題集を使う時に、言葉の使い方や問題テーマの順番の違いが出てきて、理解に支障をきたすこともある。
答えを見ずに何回も繰り返して解くという点では良い構成。

4.受験対策特化型

先程の3のタイプの問題集でいえば、発展問題と総合問題レベルの問題を集約し、大学入試の過去問から構成されている。
まず、大学入学共通テスト対策としてはこんなシリーズがある。

  • チェック&演習(数研出版)

  • ビーライン(第一学習社)

  • つかむ〇〇(浜島書店)

次に、国公立2次試験や私大一般入試対策用にはこんなシリーズがある。

  • 重要問題集(数研出版)

  • 基礎問題精講(旺文社)

  • 標準問題精講(旺文社)

基本的なことは理解できていることを前提としているので、初学者がいきなり取り組むのは難しい。

私の問題集選定

問題集の選定については、学校の教育目標・カリキュラムや生徒の状況によって異なるので、これから私が綴る文章には当てはまらないところもあるかあもしれないので、あくまでもご参考までに。

私は表向き化学を専門として教員を続けていて、これまで勤めてきた学校では化学の問題集の選定に携わった。
その中でも特に、国公立大学進学者が学年の10%にいくかいかないかの中堅校で勤めた時期が長かった。
この学校のカリキュラムでは1年生で化学基礎、さらに理系の生徒については2〜3年生の夏で化学の教科書を一通り終えることになっていた。
この間はB5版の書き込み式ノート型問題集を副教材として指定し、基礎的な知識や考え方の徹底をしてきた。
教科書の範囲を一通り終えると、通常の授業では重要問題集のA問題を扱い、放課後や夏休みの補習ではチェック&演習を使った。
(重要問題集のB問題については個別対応)
文系の化学基礎受験者については、3年生でチェック&演習の化学基礎を使った。
理系・文系のどちらにしても、重要問題集やチェック&演習の問題でつまずいたとき、基本がわかっていないと思われたので1・2年で使った問題集に立ち返るよう、生徒にはくどく伝えてきた。
実際にそれを忠実に行い、底力をつけたことで、旧帝大に合格した者もいる。

これとは別に、とある進学校で勤めていた頃は、受験対策に繋がるA5版の教書傍用問題集を使い、総合問題までテスト範囲にしていた。
この学校の生徒は大手予備校に通っている者も多く、その1冊と予備校のテキストを完璧に解けるまで何回も繰り返し、旧帝大・防衛大・早慶に進学している者もいる。

どちらの場合でもいえることだが、問題集は1回解いてやりっぱなしで終わらず、すべての問題に取り組み、完璧に解けるまで何回も繰り返すことで、底力を築くことにも繋がるのだろう。

今後綴る紹介記事

2022年度より高校の新課程が始まり、旧課程で学ぶ現在の3年生が今年度で卒業を迎える。
それを踏まえ、新課程に準拠した問題集について私見を綴ることにする。
生徒のタイプも多様化している中、個々の生徒に適した教材が渡り、学力向上につながるよう願いを込めて。

ひょっとしたら、教材を出版されている会社の方もこの記事をご覧になっているかもしれません。
そういったことも踏まえ、記事作成の際は、著作権の侵害や営業妨害にはならないよう心がけていきます。
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