お片づけは『家族の信頼関係』を築く?!
昨日、偶然見つけたNetflixの番組。
近藤麻理恵さんが、家を訪問して、お片づけを伝授する。
私は彼女のことをまったく知らなかったが、「お片づけコンサルタント」として活躍されているらしく、かなり有名なようだ。
こんまりと呼ばれ、本も多く出版している。
この番組内で繰り広げられる人間模様、パートナーシップ、家族の絆がとても興味深い。
こんまりさんの持つ独特のキャラクターに、「こいつ何者?」という依頼者たちの感情なんてもろともせず、どんどん不思議空間に導いていく。
私たち夫婦はドイツに来る前、スーツケースひとつずつ抱えてどこへでも行けるような状態で暮らしていた。
ふたりともモノを多く持つことが苦手である。
しかし、結婚し、子どもが増えたことにより、モノが増えていった。
なるべく減らそうと努力し、ebayなどで売ったりしているが、なかなかスッキリ感は戻らない…
家族が4人になったことで、モノに対しての価値観も2通りから4通りになった。
子どもは私たちと違い、大きくなっていく。それにつれて、洋服や靴のサイズも変化していく。
どうしてもモノが増えてしまう環境にある。
モノに対しての価値観は人それぞれ。
わが義理母との出会いが、その価値観の違いに気づくきっかけになった。
義理母の家はモノであふれかえっている。
地上3階、地下1階の家に夫婦ふたり暮らしなのに、まったくもって空いている場所が存在しない。
キッチンで雪崩のように落ちてくる大小異なる笊たち。
なにかが引っかかりスムーズに開けられない引出し。
微塵の余裕もなく押し込んであるタオル類は取りだしに苦労する。
台所とは別に地下には、大きな冷蔵庫と大きな冷凍庫が置いてある。
賞味期限が切れているのではないかと思うほどの食材や調味料。
そして、彼女の山のようにあるコレクション。
エンジェルや象の置物、各地名が入った指抜き、ビールのグラス、植物などなど数えきれないコレクション品が1ミリのすき間も許すことなく並んでいる。
地下の戸棚で探しものをしていたときに偶然見てしまった靴の山。
ギュウギュウに押しつぶされた可愛そうな靴たち。
あんな状態になってしまった靴に、彼女が足を入れることは永遠にないだろうと思った。
モノの少ない時代に育ったからだろうと、旦那さんはいうが、私はそうは思わない。
彼女と3歳しか離れていない彼女の妹(義叔母)は、180度正反対だからだ。
ある日、義叔母の家を訪ねたときのこと。
私はそのスッキリ感たっぷりの家に心が弾んでいた。
キッチンの引きだしは楽々開けられる。
地下にある戸棚には、きれいに整頓されたファイル類が並んでいる。
そのきちんと整理されたモノたちを見ているだけで癒されていた。
義理母の家とは雲泥の差。
私はその研ぎ澄まされた空間を楽しんでいたのだ。
その瞬間、義理母のひと言で我に返った。
「なんて居心地が悪い家なんでしょう?そう思わない、ゆうこ?」
「こんなに空いてるスペースがあるなんて信じられない」
「私だったら、モノをたくさん置きたいわ!」
私は、彼女の言葉に耳を疑った。
それは私にとって、とても心地よい空間だったから。
人の価値観はさまざまだ。
たとえ同じ血の通った家族であったとしても。
ひとり暮らしの人は別だが、家族、ルームメイト、同居人がいる人はその異なるモノに対する価値観の中で、お互いに心地よいと感じる空間を共有していく必要がある。
娘の大事にしているスライム。
臭いがきついし、気持ち悪いし、私にとってはゴミ同然。
でも彼女にとっては、ある意味宝である。
同じように、私が大切にしている思い出の品などは、彼女にとってガラクタだと思うかもしれない。
そこで必要になってくるのが、やはり家族の信頼関係なのではないだろうか。
それぞれの価値観を認めながら、今の自分に必要なモノと必要でないモノを選別していく。
その過程を家族で行うことで、よりお互いの理解も深まってくるのではないかと感じた。
自分にとってどうでもいいと感じるモノでも、相手が深い思い入れを持っているということを知ることで、相手への愛情が増してくることもある。
自分が知らなかった、愛おしい相手の一面に遭遇するかもしれない。
こんまりさんの番組の中でも、最初モノを捨てることに抵抗のあった家族が、それぞれに自分のモノに真剣に向き合うことで、まず今の自分に合ったモノを選ぶ作業から始まる。
「いるか」「いらないか」を決めるのは他人にはできない。
自分が自分に問いていかなくてはならない。
人生はすべて選択の連続。
お片づけも同じである。
忘れてはいけないのは、他人の決断に口を挟まないこと。
各々、自分のモノとだけ向き合う。
「いるか」「いらないか」は必ず自分で決める。
そして、その作業を家族ですることにより、相手にとっての今大切なモノを発見することもできる。
長く一緒に暮らしていると、自分だけでなく、家族にも少なからず変化があるはずだ。
変化を受け入れ、選別の決断を下す家族を見守ることも、家族の一員として大事なことなのではないだろうか。
最近、家族のコミュニケーションが少ないなと感じている人がいるならば、一度一緒にお片づけをしてみてはどうだろうか。
間違っても、「こんなのいらないんじゃない?」と自分の意見を出さないように気をつけながら。
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