sun-birth

修行中の身の上です。描いて書いて掻いて、これが精神安定剤と気づいたんです。

sun-birth

修行中の身の上です。描いて書いて掻いて、これが精神安定剤と気づいたんです。

最近の記事

「文學界2018年9月号 」東出昌大インタビューに考えさせられる

ちょっとした機会があって「文學界2018年9月号 」を読み直しているところだけれど、これを最初に読んだ時には気づかなかった発見の嵐でひとつメモがてら。 初めてこの号を読んだときは古市の芥川賞候補作、「平成くん、さようなら」が目当てだった。そしてこのとき私は東出昌大をちゃんと認識していなかった。不倫騒動から名前を知って、これこれこういう人だと把握することになったが、なんでこんなに騒がれるのか、正直言ってよくわからなくって、なんでなんで、不倫してる人って昔からいっぱいいたじゃな

    • 「AIアリス」第一話

      ▼あらすじ 井出麻美はアイドルグループのリードボーカル兼ダンサーだった。事務所社長の愛人だった事が表ざたになり芸能界を引退するがオフィスワークになじめず、著名な慈善活動家である山本隆の建てたフィリピンの孤児院、タカシハウスで働いていた。隆が孤児院を利用し違法取引や人身売買で稼いでいたことが明るみに出ると寄付が集まらなくなり資金も底をついてタカシハウスの存続が危ぶまれる。AI技術に強くなった作曲家の剛から提案され、孤児院のトモミを歌わせアリスの映像をつけた動画がバズる。後ろ暗

      • 「AIアリス」第三話

        シーン1 剛の事務所 剛:アリスのビジュアルに使うのは、この子  剛、モニター上にアリスの写真とプロフィールを映し出す。アリス 身長162㎝ 体重45kg メン強 剛:実はもう、オーディションという名目で、フィリピンから招いているんだ。(マイクに向かって)アリス、入りなさい。 入室するアリス。 剛:名前と、年齢と、身長と、体重を言って。 アリス:アリスです。16才です。身長は162㎝、体重は42キロです。 剛:(麻美に向かって)訊いてみたいこと、ある? 麻美:日本語御上手な

        • 「AIアリス」第二話

          シーン1 オフィス―夕方 麻美のスマートフォンの画面「君にアイドルをやってほしい」 麻美(心の声):私はもう40歳。アイドルなんてできる年じゃないし。引退してずいぶん経つのに。剛は、ドラッグで逮捕されて、謹慎してる間に、頭がどうかしてしまったんだろうか。TYS事務所? 麻美、剛からのメッセージに描かれていたTYSを検索する。 麻美(心の声):えっ? この曲も、この曲もTYS作曲ってなってる。めっちゃ活躍してるすっごい売れっ子作曲家ってこと? まさか、剛がTYSってこと? とり

        「文學界2018年9月号 」東出昌大インタビューに考えさせられる

          わたしだけのNewJeans:推し活の恐怖を経て

          (写真もとにしたAI自画像です。実物と違い過ぎて流行るかもねこれ) NewJeansとハッシュタグに入れてる。 が、私はリアルな推し仲間を作ることは諦めている。 世間一般で言われているような「推し活」をする気はハナから持ち合わせていないのだ。 なんでかというと、まあだいたいこんな感じ。 ・はまりやすいので自主規制 ・リアルで推し友にあわせすぎてしまう ・「好き」の箇所が一般と違う ハマりやすいのである、私。 もうすでに痛い思いはさんざしてきた。 亀の甲より年の功。

          わたしだけのNewJeans:推し活の恐怖を経て

          NewJeansになりたい

          NewJeansめちゃくちゃかわいい! ちょびっとだけ、かするだけでも、いい。 人間として、NewJeansに近づきたい。 と思って、年甲斐もなく、真似て踊ってみようとするけど、ぜんぜん踊れなくて、うぎゃーーーーーーー。 いやあんな速いダンス踊れるわけないんだけど。 見てると皆軽々やってるから、ひょっとしてと思ってしまったのである。 でもでも。 何度か「OMG」リピートして、ミンジに焦点定めてやってるうち、ほんの少し、同じ動きをできた、って思えた箇所があっても、鏡を

          NewJeansになりたい

          熱地球

          ■あらすじ 地球温暖化の進んだ世界。池近くで生きる人間集団、シータ、ナカマー、エリトたち。 生きるためになんでもする貧困層シータ1割。金でなんでも解決しようとする富裕層エリト1割。両者を軽蔑する中流層ナカマ―が人類の8割を占める。 シータを教育しようとするナカマーの教師。自分達の生き方を恥ずかしいと思うようになったシータは池で集団自殺する。 シータ、エリトを敵視していたナカマーの青年が皮膚病の感染症テンネをまき散らす。温暖化、紛争、感染症を経て協力し合いワクチンを開発。が、

          熱地球

           地球温暖化が進行し、多くの海は干上がっていった。海よりも、陸の面積が多くなり、川は枯れ、湖も枯れていった。西暦3000年、陸地の7割以上が砂漠と化し、とうとう地球上には巨大な池がひとつ残るだけになってしまった。  他の多くの生物種と同様、人類は池に近い場所に競い合うようにして住んでいる。最初のうち、温暖化の原因について、人々は議論し、研究室を続けていた。温室効果ガスを増加させないための様々な研究もおこなわれたが、暑さ対策の研究に優先順位が切り替えられ、温暖化の研究をする余

          「ASIAN KUNG-FU GENERATION」の後藤正文かっこいい

          傷ついている人のことを寄ってたかってみんなでさらに傷つける。 落ち込んでる人のことを批判してさらに落ち込ませる。 って、見ててつらいな、いじめそのものじゃん。 と思うんだけど、これは、もしかして、本能なのかな。 鳥とか獣とか虫とか群れで、怪我したのが一匹出たら、どうするんだろう。 もっと傷だらけにして殺しちゃうのかな。 人間は、傷ついた人や、困った人がいたら、助ける生きものかなあと思っていたのだけれど、そうでもないのかね。 それとも私が勝手に、彼は傷ついているだろうと

          「ASIAN KUNG-FU GENERATION」の後藤正文かっこいい

          過疎の災害

          田舎で田畑や山や家を持ってる、それもそこそこ広かったり大きかったりする人って、みんな、どうしているのかな。それも、先祖代々、守り抜いてきた、みたいなシチュエーションの人。 と、いうのは実は、自分のことです。上京以前の。 周囲からは羨ましがられるのだけれどまったくうれしくなかった。 まったく、困ったものだ、何とかしなくてはまずいぞこれは、と、かなり幼い頃から思っていました。 大農場のやり手農家ってのはどのくらいあるんでしょうか。 うちはぜんぜんそうでなかった。なので、祖父と

          過疎の災害

          『兄の終い』分析

          すごいな! と思いました。バツ2シンパパ状態の疎遠だった嫌な兄が急死して、遺体を焼いてゴミ屋敷状態になってた住まいを片づけ、甥っ子を転校させて実の母親に戻す! という、まあ、それなりに起承転結はあるにせよ誰にでも起こりそうなわりと普通の話。なのに、すごいと思ってしまうのはなぜ。というのを、内容以上に考えてみたくなった。 実話だから、ノンフィクションを読んでる訳なのですが、いい小説の読後感。こういう、普通に書いてるだけみたいに見えるのに小説、の人、いますよねー。というか下手な

          『兄の終い』分析

          私の「推し、燃ゆ」

          今回の、宇佐美りん『推し、燃ゆ』とは、(私の心情としてはたいへん関連しておりますが)関係ないものとしてお読みいただくのがいいかと。小説『推し、燃ゆ』についてはいつかぜひ取り上げたいと思っております。 ええと男性ミュージシャンの、不倫という報道がありまして。 私はかつてこの人を激しく推していた。というか、今もまあ、自分にとって、推しといえばこの人。で、いちおう情報を追う。 それで今まさに自分にとって『推し、燃ゆ』状態なのですが、現実世界では『推し、燃ゆ』のように、きれいさっ

          私の「推し、燃ゆ」

          リリー・フランキーについての紆余曲折

          リリー・フランキーって面白いんだよ、会ったことあるよ、などと、まわりの人たちがごちゃごちゃ言ってるなあと思ったのはもう25年くらい前だろうか。いろいろな噂を聞いてなんとなく影響を受けるのが怖くてずっと避けてきた。リリーが登場するイベント面白いんだよ! 本笑えるよ! などと、聞くたび、んーでもなんか変な名前だし―本業かよくわからない人ってちょっとなー、などと、見ぬよう触れぬようにして来た。 今から思うと自分自身が何が本業かというような人間になってしまうのが怖くて、ああいうのは

          リリー・フランキーについての紆余曲折

          『アナーキック・エンパシー 他者の靴を履くための考察』連載第十回を読んで

          『文学界』2021年3月号を入手したのは、李琴峰『彼岸花が咲く島』を、読もうとしてのことでした。 なんですが、「アナーキック・エンパシー」なる語を見つけて、なんじゃそりゃと思い、書いてるのブレイディみかこと気づく。『僕はブルーで……』をはじめとするエッセイいくつか読んでてまあ彼女の書くのなら面白いだろうと思いつつ、むずかしい言葉が並んでるっぽいし、やめとくか、しかし、あまりに気になる固有名詞が次から次へと並んでるなと眺めてるうち、つい読んでしまった。 連載途中の一回ぶんっ

          『アナーキック・エンパシー 他者の靴を履くための考察』連載第十回を読んで

          『「小児性愛」という病――それは、愛ではない』読んで思ったことなど

          ええと、まず。記憶を掘り起こしてみます。 最初はですね、この件、実は口にするのも、いや、という感じでして。 幼い頃はそこまででもなく、いまもそこまででもなく。小児性愛の人たち死ね。全滅せよ。と思ってたのは、二十歳からの数年かな。 ただし当時から、程度によるよなあというのもあって。 やたら触ることで知られる先生、目付きいやらしいだけの先生、どうやら同じ教師仲間にセクハラしてるらしい先生、絶対に許されないレベルのことをしでかしてる先生など、色々いるというのを、小学校の時から

          『「小児性愛」という病――それは、愛ではない』読んで思ったことなど

          梁 石日『闇の子供たち』 (幻冬舎文庫)から欲望について考えたこと

          すごく若い頃の私は、本当の自分はもっと趣味がよくて、ルックスもいいんだけど、お金がないせいでいい服買えないし、メイクにお金かけられないし、エステいけないからこうなってるのだと思ってました。 モデルさんが、何十万円もするような服を着た女性誌を見て、私だって、お金があれば、こんな服を着て素敵になれるだろう、本当の私はもっといけてる。と、思ってて。 で。 今って、そんなにお金なくても、容姿とかは努力と気合で、昔より、かなりどこまでも美しくなりたいだけなるの、簡単になってると思う

          梁 石日『闇の子供たち』 (幻冬舎文庫)から欲望について考えたこと