見出し画像

「文學界2018年9月号 」東出昌大インタビューに考えさせられる

ちょっとした機会があって「文學界2018年9月号 」を読み直しているところだけれど、これを最初に読んだ時には気づかなかった発見の嵐でひとつメモがてら。

初めてこの号を読んだときは古市の芥川賞候補作、「平成くん、さようなら」が目当てだった。そしてこのとき私は東出昌大をちゃんと認識していなかった。不倫騒動から名前を知って、これこれこういう人だと把握することになったが、なんでこんなに騒がれるのか、正直言ってよくわからなくって、なんでなんで、不倫してる人って昔からいっぱいいたじゃないですか、そりゃ、妻の立場からしたらひどいよ、ひどいかもしれないけれど、でもここまで騒がれると騒がれすぎて可哀想で、そこまで言われるようなことかね、よその家庭のことがそこまでみんな気になるのってどうかしてる、と思った。

 そのとき考えたのは、もちろん杏のことは同情するけれど、こんなにひどい叩かれ方をしちゃった以上、ちょっとこの東出という人と唐田えりかという人は、世界でたった一人になるかも知れないが、あまのじゃくな私は応援しとこうか、たとえばもし電車でこのふたりのいずれかと隣り合わせるようなことがあったら、いやあ世間の人はいろいろ言いますけどね、みんな、そこまで言えるほど落ち度のない暮らしをしてるんですかね、まあ人生いろいろありますが頑張ってくださいね、くらいのことは言ってねぎらいたいと思った。そのくらいにあの騒ぎは大きかった。

それでですね、話が一向に進まないので本題に戻りますと、映画「寝ても覚めても」では、滝口監督が以前に撮った映画「ハッピーアワー」というので使ったメソッドを再構築しながら俳優たちに教えてくれたというようなことを、東出がインタビューで話しているのですね。ワークショップのようなリハーサルのような時間がとられ、具体的にはまず、次のようなことが行われたらしい。

まず相手の目を30秒見る。
そして相手のほっぺたに30秒触れる。

そういうことを役者どうしで実践したと。俳優同士が「初めまして。ではどうぞ」とお芝居で触れ合ったりキスをするとどうしても人間として当然の違和感が生まれてしまう。それをなるべく少なくするようにと監督はおっしゃっていたと。

監督から15の質問と答えをもらって、俳優陣がお互いにインタビューをしあうというのもあったらしい。たとえば次のような質問があったという。

「あなたには恋人はいますか?」
「愛とは何ですか?」
「セックスは好きですか?」

で、事前に決めたスケジュール以外でも、自発的に開いている時間を見つけてはワークショップを行っていましたと。

まあ、このほかにもいろいろとあるわけですが、読んでて、うわあいいのかこんなことして役者ってどう考えても危険すぎこれ。と思いましたよ。だって、演技のためとはいえ、空き時間に美男美女でこういうことやってたら、そりゃ、もう、ほんとの気持ちなんだか演技のためなんだかわかんなくなって、そりゃ、恋にも落ちるよ。

というわけでこのインタビュー読むと、結果として起きた不倫も、なんか貰い事故に遭っちゃったみたいなもんだなと思った。このメソッドってのが読んでるだけでデートのレッスンみたいにどきんと来る感じで、恋愛にものすごく生かせると確信。誰が悪いという話ではなくてみんなまじめで素直だったんだなと思った。そして悪いということではなくて、不倫した原因という意味では監督にもすごくあると確信。

騒動のときは大根大根と言われまくってた東出ですが、このあとに私は「聖の青春」で羽生役の人だったと知って驚愕しました。このインタビューは初めてちゃんと読んだけど、演技、映画に対する東出の姿勢はすごく誠実に見えて、たいへん好感を持ちました。

「寝ても覚めても」は柴崎友香の小説読んで面白かった―で満足してて映画は不倫騒動のせいで下衆な気がしてみてなかったがこれ読んで見ようって気になりました。最近はひろゆきとabema番組出てるのがめちゃオススメと友達に聞いたとこだった。見よっと。

★つけくわえとくと、不倫はせずに済むならそれに越したことはないと思っておりますよ。戦争も喧嘩も盗みもね。でもただ悪いって断定したくはなくって。なんでそれが起きたか、情状酌量の余地は歩かないかとかは、考えたいところです。

10/11
柴崎友香、漢字間違いしれっと修正。いやだあめちゃ尊敬している人なのにい。というか嫉妬心の潜在意識で生じた誤字か。そうですめちゃ尊敬してて、めちゃ嫉妬もしているのです。友香、私はあなたが羨ましい。

ついでに。この号は柴崎友香VS滝口監督の対談も見ものだったというおぼろげな記憶。読み直します。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?