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詩 短編

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心情を詩に表わしました。 辛い気持ちを抱える方に。 勇気と笑いを持ちたい方に。
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#適当

理系による理系のための情緒のない詩

理系による理系のための情緒のない詩

白衣な人生が送りたかった。

でも、来ている白衣なんて、白くない。

三角ビーカー洗ってて、振り洗いしてたら、角を当てて割った。
底でうずまく水を見てたら、深紅じゃなくて、シンクの位置を見誤った。

ああ、フラスコでなくてよかった。
ああ、基質溶解中でなくてよかった。
自分を慰める言葉がこんなことしか出ない。

フラスコもやっぱり割っちゃった。
必要ないけど、栓が捨てられないの。
だって、すり合わ

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山ペンギン 16 ブレスレット

山ペンギン 16 ブレスレット

イマドが最近、数珠をつくるのにはまっている。

いや、数珠とは言わないか。

パワーストーンをブレスレットにしている。

ご想像のとおり、しょっちゅう身につけても落としているが、
最近はバッテン、よく言えばクロスにして、ブレスレットをつけている。。

「運勢がくるんだって。」

そういうイマドは主にルチルクォーツを中心にしたブレスレットを組む。
金運しか望んでないだろ、お前。

オレもマネして作り

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山ペンギン 13 こんびに再

山ペンギン 13 こんびに再

売れない商品はやっばりできる。

厳選して陳列しているのがコンビニストアではあるのだが。

最近はそういう商品を買い込んで、

オレの部屋に主任が飲みに来ることが多くなった。

イマド目当てなのか、オレ目当てなのか、不良在庫の処理目当てなのかは分からないが、

居酒屋などに行けないことも一つの理由だろう。

「オレくん、これ飲みなさい!!」

もう出来上がっている。

「大体さーー。コンビニなんて

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山ペンギン 12 しりあす

山ペンギン 12 しりあす

イマドが悩んでいる。

見た目には分かりにくいが、よく見ると額にしわが寄っている。

何考えてんだ?

どうでもいいので放置している。

買ってきた魚

普段なら3匹くらいするっと呑み込むのだが、

めずらしく、さばいて刺し身にし、

さらにはオレにも食えと言う。

さすがに心配になり、

何を悩んでるんだ?

と聞いてみたら

シリアスな顔で

尻とas○は同じ意味だよね?と言いやがったので、

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山ペンギン 11 ふるさと

山ペンギン 11 ふるさと

イマドとイマドに出逢った山に来た。

捨てに来たわけじゃない。

主任も今回同行している。

「イマドくんのふるさとって、本当はどこなのかしらねー。」

イマドはふるさとの意味が今ひとつピンと来ないようだ。

「生まれた場所って言われても、生まれたときの記憶なんてないでしょう?」

そりゃそうだな。

でも、お前にも親ってものがいるんじゃないのか…?

ただトリだからな…

卵で移動してきてたら分

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山ペンギン 9 すりやけど

山ペンギン 9 すりやけど

イマドの腹に火傷を負った。

前日、どうしても山女か岩魚が喰いたいと言い出し、腹が立ったので

イマドの腹の毛を多めにむしったあと、毛バリにした。

その後奴がアルバイトに出掛け、ホバークラフト掃除をした結果、

羽毛が薄くなっていた腹に火傷を負って帰ってきた。

痛そうかというとそうでもない。ただ、「見苦しい」感じがする。

そもそもいつぞや感電して全身が焼けたときだって本人(鳥)は平気だった。

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山ペンギン 7 池の女神

山ペンギン 7 池の女神

突然だが、オレは主任とイマドと共に山のぼりをしている。

「オレ君って、山のぼりするの結構得意なの?」

得意というわけではなかったが、主任とでかけたいオレは一もニもなく飛びついた。

「はい!山のことなら任せてください!」

何を言ってるのか自分でもわからない。

「そう。あのね、私ね?」

「はい、どうしました。」

「海より山の方が好きなの。」

それだけの理由かい、と思ったが、口には出さな

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山ペンギン 6 傘がない日の雨

主任とオレは同じ時間に退勤になった。

大した距離じゃないが、同方向だ。
「オレ君、今日もありがとう。」

オレのセリフだ。

「あ・・。」

雨が降ってきた。天気予報ではせいぜい曇りだったんだが・・。

傘がない。

「オレ君、折りたたみ傘なんで、濡れちゃうかもしれないけど、入ってく?」

え・・相合傘・・

「あ、じゃあ、オレ、傘持ちま・・」

イマドがこっちに近づいている。

ただ近づいてく

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