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私の本当の気持ちを伝えたい。読書記録 ステイホーム

読書記録 ステイホーム
木地雅映子(きじ かえこ)先生著
偕成社
2023年




先日行った図書館のヤングコーナーが入り口近くにあり、読みたい本を本棚で探す前に、この本に出会いました。

表紙のイラストを見てかわいい少女の物語のようで、ちょっと読んでみようかな、と思い借りてきました。

そして記録を書いてみて改めて、今小学校高学年のお子さん、そして子育てしているママやパパに読んでほしいとお勧めしたい本です。

あと、学校関係の方、カウンセラーさんとかもぜひ読んでいただきたいです。

◎あらすじ
主人公のるるこは、小学生5年生ももうすぐ終える。

そんな時、学校が急に感染症のために休校になってしまった。

るるこは、一人っ子。しかも母は離婚したばかりで実家に戻ってきた。

母の実家は祖母が亡くなって、祖父は病気療養中で入院している。

だから、るるこは家で1人になってしまう。

それを心配した母が、感染症のため休校になったるるこを会社に連れていけるように会社の許可をもらう。


そして、るるこはドリルやお弁当をもって、母の会社に行った。

母の会社では、知らない子たちと一緒になりるるこは気分を害した。


やっと夕方になり家に帰ると、母の姉の聖子さんが訪ねてきた。

どうやら聖子さんも自分で作ったリフォーム会社がコロナの不況の影響で立ち行かなくなったらしい。



聖子さんの登場でるるこのステイホームは一転することになる。



◎気になった箇所
✳︎

(お母さんと聖子伯母さんと、私の)3人でああだこうだと話し合いながら、ずっとこうだったらいい、とわたしは思う。

世の中はコロナでたいへんで、それでつらい思いをしている人も、もしかしたら、死んでしまう人だっている。

 学校が好きで、行けなくてさみしくて、落ちこんでる人だって、きっといる。

 だから絶対、口にだして言ってはいけないし、それでだれかを不快にさせてもいけない。

 でも、心の奥の、奥のほうでだけ、ちいさな声で、祈ったのだ。
 できるだけ長く、コロナ休校がつづきますように、って。

107ページ


✳︎✳︎

るるこ「まあ、そうだね、(学校)楽しくはないよ。でも言ってらんないじゃん。(中略)どっちみち、行かなきゃいけないものなんだし。」

(聖子伯母さん)「それにしたって、自分の正直な気持ちは、知っておくほうがいいに決まってるよ。きらいなものはきらいって、はっきり自覚しておかないと、逃げるチャンスがあらわれたとき、一瞬でつかめないでしょ。」

114ページ

✳︎✳︎✳︎

(聖子さん)「るるこ、絵を描くのが、うまいね。(中略)こういう設計画的なものを描く才能あると思うよ。」
「、、、ほんとう?」
自分の中になにかの「才能」なんてものがあるといわれて、わたしは、急に胸がドキドキした。

137ページ

◎感想
✳︎休校になって、家ですごす時間が増えてゆっくり考えてみると、自分がどうしたいのか気づいていくことになる。

時間に追われて、やるべきことをこなしているうちは、自分の本当の気持ちに気づかないことも多い。そしてたとえ気づいても周囲を驚かせるようなネガティブな感情は表現することをためらうことは、ありがちだ。

でも、これが本音かもしれない。


✳︎✳︎
そんな、るるこの本音を引き出し、ネガティブであっても自分の感情を自分で知り、受け止めていいと、言ってくれた聖子さんの存在は貴重だ。

親であれば、本音は学校が好きでいてほしいだろうから、
るるこの気持ちを正面から受け止めきれないかもしれない。

その後、聖子さんと一緒にネガティブな感情を充分に出し切る方法をみつけたるるこは、少し強くなったように見えた。


✳︎✳︎✳︎
誰かと一緒に活動する中で、教えてもらったり、褒めてもらったりする経験を積むことは大切な時間だといえるかもしれない。

今、目の前の自分の行動を具体的に褒めてもらうのは、すごく嬉しい。特に自分が好意を持っている人から言ってもらえると、この人とならと信頼関係をきづいていけるかもしれない。

心から信頼できる人がいる、それはその後の人生の礎となるのではないだろうか。


わかりやすいことばで、登場人物のキャラクターも特徴的に描かれていて、読書が好きになる入り口のような本だった。



◎今日も最後までお読みいただきありがとうございました😊

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