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小説は「読んでも意味がない」からこそ最高に面白い。

「実用書しか読まない」と言う人がちょっと苦手だ。

読書が好きだと話す人に会うと、5回に1回くらいは「実用書やビジネス書しか読まないんだよね」と言われる。そのうち一部の人は小説を一切読まず、理由は「小説は読んでも意味がないから」らしい。

小説好きとして、すごく否定したい。ただ残念ながら「小説読んでも意味がない」は正しい。小説を読んだところで、実生活の役に立つケースはほとんどない。残業を減らせるわけでもなければ、家事や育児が楽になるわけではない。ほとんどの小説はただ読み、読み終わって「おもしろかったー」「普通だったなぁ」「イマイチだなぁ」と感じて、それで終了だ。すごく面白い小説だったとしても、noteやTwitterに感想書くくらい。だから「小説読んでも意味がないですよね??」と聞かれれば、悲しいけれど、私は「・・・はい」としか言えない。

だけど私は、小説に意味なんていらないと思う。いや、小説は読んでも意味がないからこそ面白い

小説は、自分の生活とは一切関係ない人の世界に近づく。殺人犯やインサイダー取引に手を出した人、足が速い人気者の小学生、戦略家の武士、幽霊に取りつかれた人、北朝鮮の工作員、天才的な音楽少年……。どの人生も、自分とは無関係だ。知ったところで、何の意味もない。だからこそ、自分の人生とは切り離した「無意味なもの」として純粋に楽しめる。どんなに転んでも自分が体験できない人生を、小説を通してのぞき込める。小説を通せば、実生活で絶対になりたくない犯罪者や悪人の人生にも触れられる。意味はないけど、面白い。物語ほど、役に立たないけど面白い世界と触れ合える場所はないんじゃないだろうか?

もし小説に意味があるとしたら、「意味を考える時間を忘れられる」ではないだろうか。子どもの時に遊んだドッチボールみたいに、役には立たなくても楽しいなーと思える時間。そんな幸福は、実用書やビジネス書以上に味わえる世界なんじゃないかと思う。

実用書やビジネス書しか読まない方を否定するわけではないけれど、もし「小説は意味がない」と思っているのであれば、たまには小説の無意味さを味わってみてはどうだろうか??

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せっかくなので、個人的に好きな小説を紹介したい。

「スピーチっていいよね」って思える感動系小説

スピーチの原稿を書くスピーチライターの話。感動的なスピーチが多く、人前で話すのが苦手な人でも「スピーチしてみたい」と思えるはず。

非現実的なオフィスコメディ

名作ってほどではないけど、軽く読める短編小説。オフィスが舞台の小説で、内容は基本非現実的。どんな費用も経費で落とそうとする営業マンが、最終的に殺人を犯したり。笑 気楽に小説を読みたい時におすすめ。

アルツハイマー病で記憶が徐々に奪われる男性の小説。感動系

読んでいて悲しい気持ちになる系(でも感動)の小説。広告代理店の部長をする男性が、アルツハイマー病にかかって記憶が徐々に失われていく話。当たり前のようにできていた仕事ができなくなり、大事な思い出も消えていき、人として当たり前のこともできなくなる、、、。普通に生きるって幸せなんだなぁ、、と感動できる。

もし北朝鮮工作員が日本を支配したら…

北朝鮮でメチャクチャ強い特殊工作員が、日本を占領しようとする話。北朝鮮が攻めてきているのに、すぐに対応できない政府、流されるように占領されてしまう日本の人たち、、、なんか「ありえそう」な感じが恐ろしい。そして悪としか思ってなかった北朝鮮の人たちの生き方が描かれていて、とても面白い。


やっぱり小説って、意味がなくてもいいよね。

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