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「結婚は人生の墓場」なら、楽しいお墓にしようよ

「結婚は人生の墓場」って、そんなに悪いことばだろうか?

10代のわたしがこのことばを聞いたとき、「墓場なんて思うような人なら結婚しなければいいのに。」と思った。昔ほど結婚は社会のステータスでもないので、ちゃんと自分にふさわしい相手か見極めて、墓場に入らない道を探るべきだと思っていた。

あれから10年ほどたった。わたしはいつの間にか、結婚へと向かっている。結婚する相手は一緒にいて楽しいし、話も合うし、愛想笑いが下手なわたしも自然に笑える。一緒にいたらずっと幸せかもな、と思う。でも付き合って2年もたっていないし、付き合ってからずっと遠距離で過ごしてきた。人生何があるか分からない。だからわたしたちは、お互いにとんでもない隠し玉を持っているかもしれないのだ。

結婚は人生の墓場。ひょっとしたら、わたしはとんでもない勘違いをしていて、すでに墓場に片足を踏み入れているかもしれない。恋人だって、すでに墓場にいるから何も感じないだけかもしれない。「自分たちは大丈夫」と思っている人こそ危ないとよく言われる。本当に大丈夫なんだろうか?見えない未来に、ちょっと不安になっていた。

だけど、ふと思った。人生の墓場ってそんなに悪い場所なのだろうか。

墓場に行ったことない人が恐れているだけで、案外悪くない場所かもしれない。静かな空間のなかで、愛を誓った人と2人で墓場にもぐりこむ。中はしっとりした土で、涼しかったり暖かかったり。時々土が口に入るのがうざったいけど、包まれる感覚にリラックスできるかも。

それに地上の空気は変えられないけど、土は自由に形を変える。せっかく墓場に入るなら、どんどん土を地下へと掘り進めて、新しい世界を作ってもいい。毎朝お世話になっているJR横須賀線の東京駅よりずっとずっと深くまで進めば、「なんだ、思ったよりも墓場って自由じゃないか」ってなるかもしれない。

この先結婚して、「あー人生の墓場だ」と感じるときが来る可能性がある。そのときは無理やり上を向くんじゃなくて、下へ下へ、自由自在な土をざくざくと掘っていきたい。「せっかくなら楽しいお墓にしようね」って言いあえるくらい、自由な関係で生きていけるのが私の理想だ。

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