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【詩】砂糖は溶けて、無情は蔓延る
友情は砕かれた氷砂糖のように
寝かしつけられた果物酒の中に
(私の寂寞は、日の出に明け渡した)
いつの光を浴びて
氷の中にそそがれる
その味に何を思い出す
僅かながらの心残りも
今夜のひとくちに消えて
薄情な心は明日に向かう
今年の果物酒も深く眠る
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【詩】夕暮れに消えた息
震える指で動かすスマホ
突き刺す寒さと夕暮れが
こわくてこわくてバスを待つ
なにもなにも追っては来ない
それをゆるさない自分の手は
背中にナイフを突き立てて
早く進めと唸っている
安寧に近いところで
危機をつくりだして
脅しながら生きている
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【詩】銀杏並木に遊んで
秋の空へ向かう
靴音は、高く、高く、
銀杏並木には思い出が
枯れ果てる頃には郷愁が
高く高く天高く山々を眺めて
深い深い口笛の音が
後ろに見る濡れ落ち葉を這う
秋風は吹く、地に伏せながらの
冷たい空気を、鳴らして、鳴らして、
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2022年発
【詩】雨天汽笛が鳴る日には
遠くで汽笛が鳴るから明日は雨です
呆然と青い駅に佇む私です
車窓に女の影が見えています
何処へ行くのですか
心のゆくところです
俯いておられますが
ただの影絵ですから
霧雨に走り出す汽車
呆然の青年は私です
遠くで汽笛が鳴るから明日は雨です
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【詩】誰の目をうたう
祖母の平家に似た
打ち壊され障子も襖も
全てを張り替えていた
もう誰も
そこにいないのに
生活の痕跡を見る
何を見ている
私の目はどこにある
思い出を夢に見ている
秋の夜長に
何処にも
そんな思い出はないのに
伽藍堂に、何を見ている
私の目はどこにある
感傷を風景に見ている
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