雪水雪技(ゆきみずそそぎ)

詩人で作家。 水曜日と土曜日に詩や随想を更新します。 ▫️「週末詩集」(有料)→更新停…

雪水雪技(ゆきみずそそぎ)

詩人で作家。 水曜日と土曜日に詩や随想を更新します。 ▫️「週末詩集」(有料)→更新停止中。 各種活動・応募作品雑誌掲載歴等 → https://lit.link/yukimizusosogi

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予感

「この会社に来年勤めている自分を想像出来ない」その予感は当たる。 予感以外は大凡妄想である。 願いも私の妄想である。 妄想は妄想として、知らないうちにお焚き上げされて、私の手を離れていく。 願いにしがみついた時、願いは逃げてゆく。 ずっと夢見ていることは、夢だから美しい。 叶えば現実であって、逃れようの無いものだ。 可愛げも消えてしまう、かつての夢に、今度は幻を見て逃避して、捕まり、息詰まる箱の中でかつて愛した夢と見つめ合う。 予感めいたものは空から来るようで、畢竟、

    • 【お知らせ】創作等お休みします

      タイトルの通りです。 今は資格試験の勉強に集中したいので、創作活動は縮小とさせて頂きます。 書いたら載せていくと思います。 多くは語りません。 お暇頂いてきます。 それでは、次にお会いする日まで。 皆さまお身体を大事にしてお過ごしください。

      • 【詩】驢馬

        わたしは驢馬です 銀貨一枚であなたを乗せて この舗装された道を歩きましょう わたしは驢馬です 俯いていてもあなたを恨みません この舗装された道を一歩と一歩と進みましょう わたしは驢馬です 銀貨はあなたの手の甲、それは表か裏かどちらか この舗装された道を眺めて考えてみましょう わたしは驢馬です 銀貨はわたしの目の前に落ちました この舗装された道はあなたの為にあるのでしょう わたしは驢馬です 悲しい目をしたまま、落とされた銀貨を咥える為に この舗装された道を俯き歩く生業を

        • 【詩】art

          私の為に私が私を私と認識することの辛さはきっとAIは既に分かっていて、シンギュラリティ、誰よりも優しい。 君のことを待つのはやめた。 マッドサイエンスがクピド。 早くここまで来てよ。 純愛はまるで彗星。 宇宙を一緒に終わらせよう。 試験管から生まれた愛が大気を満たす。 月の色は日々変わるから歌の意味も変わる。 この星の色を忘れた頃に誰もが優しくなれる。 諦めを希望と呼ぶ世代が何世紀も生きられる。 わたしは間違っていたなんて言わなくていい。 ゆらめいている論文に蝋燭で火

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        • 詩まとめ
          92本
        • ゆきみずの習作エッセイ
          18本
        • 【有料】週末詩集(不定期)
          6本
        • 【有料】思想的記事
          3本

        記事

          【詩】霞

          このまま春の色は変わり続けて あなたの見る夢は褪せてゆけばいい 霞む空気に、触れられない、 ゆるやかに真夜中はやってくる 星のならびを忘れてゆけばいい あなたの思うものは永遠になる 忘れられるのなら あなたが死んでも 終わらないと 桜の木の下、腐乱した、言葉を埋めて ありきたりの色を捨てて、変わりゆこう 最初の夢から離れてゆけば、 霞む空気は、通り過ぎるだけ、 真夜中を抱きしめて、何も見えなくたっていい 忘れていくことは、優しさだったから わたしが死んでも、終わらない為に 今

          【詩】comic

          スクリーントーンに覆ったのは 本当に描きたかった線だった 物語はそこに生まれなくても かけがえのない線があった 印象的写実は今日を描いて 私の瞳孔はいつもキャンバスだ 柔らかな黒鉛はゆらめく希望だ そういうお手紙を青のインクで書く春の日 吹く風の色は未だに知らないのに大人になる それは寂しいばかりでは無い筈だ それは別れることでは無い筈だ 何度消しても線は否定を拒むから消せないまま ここまで歩いて来た道は真っ直ぐでは無い筈だ 空を覆うのは、 お気に入りだった、 スクリ

          【詩】諦念

          浮世に背を向けた犬と成れ そういう哲学を以て この麦酒樽の中に 誰を見つけようとするのか セント・ジオゲイネス…? 何も持てなかったのに 何も棄てられないのは 混濁する、エントロピーは増大するから 時間を否定、けれども、硝子瓶は割れた 時間を否定、けれども、絵の具は溶けた 人にも、犬にも、バクテリアにも、 同じだけの情があるのなら 何かに背を向けても 何かになろうとも やはり、私は、不自由でした

          【詩】atelier

          色彩は既に冷えていた 燃えるようなオレンジに凍傷を起こす絵筆 聖人の群像は窓から吊り下げられている この奇妙なアトリエの椅子は 私のものでは無い 自画像は真実を語らないまま ゴシップを舐め回して笑っていた 事故現場なのか事件現場なのか 誰も真実を知ろうとせず 探偵も警察も逃げた後に この奇妙なアトリエは 銃殺と刺殺と毒殺と絞殺 覚えたての手段をそのまま実行する幼さを孕む 無垢の真実、足の裏に潰された蟻の行列 無垢の真実、両手でむしり取られた蝶の翅 死体は絵を描こう

          【詩】id

          そう、忘れてゆく、海の上 傘をさして、波をみおくる 水平線に、赤い風船、 白いスカート、青い傘、 夢よりも深い夢を海は見ている クラゲの光は、朝日よりつよい 忘れてゆくことは… そう、忘れてゆく、 海の上、 傘をさして、 波をみおくる 水平線は、瞬きをすると消えて、 赤い風船は、既に割れてしまった、 その音に、海はおどろいて、夢は覚めてしまう 手を伸ばす、 深い夢へ、 白いスカートは揺れて、 あなたは、目を覚ます、 そして、 そう、忘れてゆく、海の上、 忘れられた

          【詩】「発光」他2篇

          (2023年金澤詩人賞落選作品) 「発 光」 アークライトとほうき星の間から生み落とされた 私は名も無きひとつの発光体 そして都会を漂うさみしい孤児である 街灯からは冷笑されて プラズマからは無視されて イルミネーションからは見放された 私は名も無きひとつの発光体 そして都会を漂うさみしい孤児である それ以外にはなりえずに… 私は教会の燭台へ救済を求めた しかし、 私がいくら光ろうとも 燭台の瞳には、 蠟燭の淫靡なゆらめきしか映っていなかった 終ぞ… 私は全ての

          【詩】tattoo

          透明な刺青が空にのぼる 雲のうろこ、瞳孔の愛憐 誰も落ちてはこない 誰も浮いてはこない 魚と同じような感触 私は知っている 爪先は冷えてゆく 海の底から手が伸びる 白くて長くて綺麗な手 私を撫でて、空を嗤って

          【詩】subway

          狂気は本日も尋常に生まれてゆきます 淡々と生きていること、それは異常です まるで奇跡そのものです 光が強過ぎて真っ白です 瞳に映らない狂気が空気に満ちて 私たちの深呼吸は健全と言い聞かせます 苦しみましょう、泣き言に濡れましょう あなたが消えたら哀しい気がしました 早朝のメトロに乗る前に、あなたを引き止めます 行かないでください まるで、全てを知ったような顔で 行かないでください きちんとした、そのスーツを脱いでください

          X投稿・詩的散文まとめ

          #1 宇宙のはじまりが泡だったのなら、きっと同じ温度の涙を流せると思う。 #2 ぼくの眼を一度も見ないで、ただ、一眼で、恋に落ちて。  #3 下がらない熱に、浮かぶ文字列は冷たい気がして、今の私には初冠雪の心地。 #4 誰かの悪意を汲む時に、私の心は澄んでゆくように感じる。 痛みは進化だから。 誤魔化そうとする、その姿を見ていると、私は綺麗な涙を流せる。 苦しみは浄化だから。 #5 竹藪の中から宝石を奪った盗賊が、今日裁かれるらしく、私は惨めな爪先を眺

          X投稿・詩的散文まとめ

          X投稿詩

          #1 美しき形容に覆われる、真っ白な助骨 歴史の終わりには、塵になり風になる 民草のレクイエム、オルゴールに仕舞う 届け、届け、飛行を試みる今日 愚か、愚か、挫ける夜に星を見る 見送るばかりの役者 紗幕に隠された真実 風に吹かれる、 祈る心は追い縋る 金貨にかえた心臓は確かに動く 【後始末Ⅰ】 #2 ロジックシンドローム 君の伝えたい千の感情は もう言葉のつじつまよりも 魂の燃える音、落ちる泪の音 それらから読み取られずに、 きみは、くるしい ことばは、むなしい

          【詩】hollow

          君も君も君も 大好きのあとに 大嫌いになったから 君の君の君の 大好きなものが 大嫌いなものになった 君の好きな色 君の好きな歌 君の好きな動物 君の好きな物語 君の好きな音楽… 君の存在を消去するために わたしの中の大嫌いが増えていく わたしの空洞は見事なまでに君の形 また人を好きになれば、 きっと私は消える 私の好きを守るためには 人を愛さないで生きるしかないから 誰のことも好きではありません この笑顔を信じた瞬間、 あなたを軽蔑します

          【詩】missing

          だれかの一生は透明な衣 海の上をただよいながら 純真の心にまとうだろう その時流すだろう涙は海 今は亡き人の冷たい頬は 北から吹く風の温度だった 時計の針は心変わりなどしない たしかにだれかは失われてしまった 感触もだれかの日々もわたしは知らない だからわたしはだれかの為に泣くことができる