雪水雪技(ゆきみずそそぎ)

詩人。随想など。 ▫️「週末詩集」(有料)→更新停止中。 各種活動・応募作品雑誌掲載…

雪水雪技(ゆきみずそそぎ)

詩人。随想など。 ▫️「週末詩集」(有料)→更新停止中。 各種活動・応募作品雑誌掲載歴等 → https://lit.link/yukimizusosogi

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【Kindle】新刊出版しました!

はじめに Kindle出版の詳しいやり方は、丁寧に解説している記事やHPが沢山あるので、そちらをご参照ください…! 個人的な体験としてお読みいただけるとありがたいです。 ⚪︎新刊について NEW →2024年7月出版詩集 『つかれた、ワンルーム』 本日出版となりました! 多くの方に興味を持って頂けたら幸いです。 ⚪︎販売時間指定が出来なかった件について 販売が何時に反映されるかがわからなかったので、最初は下記の通りお知らせしておりました。 結果としては、7月2

    • 【詩】電話線の明晰夢

      なにかを間違えた少女たちは、 指先から風化したと、風の噂 だれかに、伝えたいことがあった所為で 必死に受話器に手を伸ばす、少女たち 保留音のあいだ、 少女のたちの眼は たしかに、 光る、 瑠璃、 で あった 電話は、いつだってつながらない、 誰もいない、通信先 連絡網は、迷宮入り 憐れむこころ、 それを憎めと、 拡声器 そのせいで、 聞こえなかった、 着信音 きっと通話を望んでいたのは、 少女たちの瞳孔そのもの いつでも、 言葉を待つのは、 澄みつづける 無垢の消

      • 【詩】はじまりのまじない

        ぬるくなってゆく夕日を見上げて わたしはひとりで溶けてゆくことを決めた ○ 今朝、割った、卵、 その、殻、から、酸、 煙、肌、奥、一人称、 穢れ、精錬、魔、 女、声 ◯ 夕日は 凧上げの様相を 眺める為に生きていた ◯ 今朝までは、 人の形をしていた、 固体、気体、液体 ◯ 幾つかの言葉は、 つまらない呪文、 聞こえるだけ、 嘘だらけ、 呵呵大笑、 ◯ 太陽を操りたかった、 瀕死の人類の創る、 計算式、 ◯ 窓、灯、燭台、 金貨、 十字キー、 尊厳、低俗、 理解、無為、風、

        • 【詩集】8月ラストオーダー

          No.16 熱帯魚と同じ色にしたかったペディキュア 匂いも知らないまま置きっぱなしの香水 すべてが、散らかったまま それでも、頭は冴えていた 思い出す、一言一言 思い出す、影と形 いつも、思い出してばかりいたから 目の前の、水槽は真っ暗になっていた すべての生命に、本当は同調出来ていなくて 口先だけのごめんなさいを繰り返して 口先だけのはずかしいを繰り返して すべてが、散らかったまま その度に、思い出は増えた 思い出す、思い出す、 綺麗なブルーを塗っていた 澄んだ匂い

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          【詩集】憂う装飾

          No.11 曇りのあとには青い煙 飛行機は白いままの線 空港に、から、の、スーツケース 重力の消えた日には、みんな靴を捨てた 逆さまになっても、指さきで土をさわっても、 起きたまま、相かわらず、 夢のなかを歩いている人類、 自由は雲、青く塗りつぶされた、白い雲 【無我夢中、旅をする】 No.12 ふしぎだけを見つめていたい時、 わたしは、現実を、なにとこころえる? ふしぎは、鏡みたいな、宇宙であって これからも、観測されつづける、事実である。 わたしの現実は、羽衣み

          【詩集】千夜一夜の虚構たち

          No.6 うそつきだけの怪談に背筋をこおらせて ついたうその数だけ消えていく蝋燭に怯えて うそつきと言った瞬間じぶんの影を疑って 違和感だけがうしろをつきまとうから 教室を抜け出したあとも日常は戻らない なにの味もわからなくなって、青空はうそみたい こんなに鮮明なら記憶に違いない どこにも、僕は認識しながら存在しない 違和感がうしろから這い出て、 背中をとおりすぎて 自分より前へと歩いていくのをただ、 見送る夕暮れ 僕の言葉が落ちてゆくだけの怪奇現象 どの怪談も、季節

          【詩集】千夜一夜の虚構たち

          【詩集】のこされた夕日は琥珀を透す

          No.1 ペットボトルの底で居残りをしている 昨日の宿題の答えをおしえてと振り返る だれのことを信じていたのか、もう忘れた 放課後のチャイムが鳴るとき、 琥珀色した飲みのこしを透す 無関心に立ち尽くして、たまに、歩いては 見上げた先にあるもの、 だれのことを信じていたのか、 片手でつぶしたプラゴミがすこしささる 「いたい」、そうつぶやく時、うつろになる 昨日の宿題の答えは知っている 明日のこと、 100年後のこと、 ぜんぶ、ぜんぶ、知っているけれども だれのことを信

          【詩集】のこされた夕日は琥珀を透す

          【詩集】7月ラストオーダー

          No.42 絶滅したのは、激しく生きたから 苛烈を極めて、その存在はひかり 誰の脳にも、焼きついているはず それでも、人々はおぼえてはない たしかに、絶滅してしまったのだ だれの目にも、見えていた存在が きっとあった、名前ごと消え失せ 地球に生まれた空席に疑問は無い どの図鑑を開いてもいなくなって たしかに生きていたものが絶滅し わたしたちは、それを忘れている 絶滅した何かの、空席はそのまま 徹底的に、消えることに成功して わたしたちは、生き続け腰掛ける だれにも、自分の席

          【詩集】7月ラストオーダー

          【詩集】新色テスター絶滅ネイル

          『汚染された旋律を繰り返し』  No.21 なんだかつまらないけれども それらしいものが並んでいて ランドセル置き場はもやついている 先生、連絡ノートを書く時間に、 カセットテープを流さないで、 憂鬱になる、大人になっても、 あの夕暮れ時を思うと、 なんだかつまらないけれども それらしいものが並んでいて みんな上手ってとってつけて 本当は優劣がちゃんとあって それをはっきり言わないで カセットテープに巻き込んで うやむやにしてみんなを帰すから 空になったランドセル置き場に

          【詩集】新色テスター絶滅ネイル

          【Kindle】詩集出版について

          2年ぶりのKindle詩集を出版決定🎉 発売日:7月29日(午前9:00) 価 格:480円 🌟Kindle Unlimitedの方は無料で読めます🌟 ⚪︎エゴと孤独をテーマにした、あらゆる「わたし」を歌った詩集です。 「ひとり」、その答えは出ないけど、その感傷は、きっと言葉になる。 詳細はリンクからご覧ください。 https://amzn.asia/d/00IURdis 【補足】販売時間指定が出来ない件について ※KDP公式の購入可能のタイムゾーンに「午前 0

          【Kindle】詩集出版について

          【詩集】北極では誰かが大人になる

          『遠距離という季節』 No.11 誰かの恋慕のために泣いてくれ 夕暮れから聲が出て、そう言われた 涼しい風が吹くから、誰かが泣いたとわかる そのために流すために、わたしには涙腺がある そのために、わたしは、泣けるのだろうか 夜がくる前に、わたしの、瞳は答えをださなければ 漂うだけの、曖昧な、かなしみを、ただ見ていたら 雷が追いかけてくるような気がした 【隣人の向こうのために】 No.12 夕立にて、わたしと雨は、分離されていることに 気がつくのならば、夏は遠くなっ

          【詩集】北極では誰かが大人になる

          【詩集】夜景のために死んだものたち

          『夜景のために死んだものたち』 No.1 このよるが暗いのは、わたしの正気が失せたから 冷汗をながして、よるのわたるたびに、くりかえす 電飾に死す、わたしのただしさ、わびしさ 豪華絢爛のイルミネーションの為に死んだ蛍 指先を灯した、蝋燭、いつかの街灯 このよるは、暗い、まぶしくて、暗い 消灯、わたしのまぶたのうらに、ちらつく 失せし正気 電飾に死す わたしのよる、暗く、暗く、 【夜景のために死んだものたち】 No.2 この窓に結露するのは、いつの涙だろう 天の河には

          【詩集】夜景のために死んだものたち

          【詩集】6月ラストオーダー

          『6月、ラストオーダー』 No.201 ひるさがり、 見知らぬ子供の泣き声が響いている 団地の隅に、咲いている名前を知らない草花 せつないのは、 誰も知らないことを知ってしまうこと 何も見ないままで消えていけたのならば 正午に、ひとつひとつを知ってゆくこと それは、刻々とさみしさをつのらせること 青空を、ただ眺められていたころ 人の声を、ただ聞いていられたころ 【ラウンドスケープ正午】 No.202 遊園地に行くと、不安であった 動物園に行くと、不安であった

          【詩集】6月ラストオーダー

          【詩集】呼び止められず蝉時雨

          『るゝのテキスト』 No.192 惜しみのないほどに瑠璃の涙を流して ただいちめんに、海のような心象をうつして 蒼風にはからめて、ひねくれたままのうたうたえ わたしが瓶の底で酸欠に苦しんでも その瓶は迷わず流してほしい 誰にも届かない手紙ほどうれしいものはない 瓶は割れた、破片は海の中に、 互いを忘れながら、ゆられていて、 だれかの瑠璃のような涙に溺れている 【るゝのテキスト】 No.193 船に積んだガラクタが、 どこかの島では宝になる 骨董にかくれた誰かの地

          【詩集】呼び止められず蝉時雨

          【詩集】汝の幸福をささげよ

          No.182 神経は擦り切れ わたしは摩耗した身体を よこたえながら 知らない人を思って、泣いている そうして、 わたしの不幸のために 皆が、幸福になれたのならば 世界はいっとう、おだやかになり わたしはきっと、成仏できる きっと天の国は、ゆるしてくれる そうじゃなければ、なにが善でなにが悪か だれも裁けないではないか 【汝の幸福をささげよ】 No.183 蝉は泣いている気がした いのちの日数をかぞえられるのなら それは偶数だろうか、奇数だろうか 偶数生まれのわたしは

          【詩集】汝の幸福をささげよ

          【詩集】傘をさして、青空を諦め

          『傘をさして、青空を諦めて』 No.169 わたしは恐怖と共に心中をはかる しかし恐怖の生命力はゆるさない とてもつよい力でわたしを抱き上げる とてもつよい力でわたしを突き飛ばす わたしを苦しめている恐怖が わたしをこの世にとどめている 今日なにも書けなくなったのなら、終わり 今日なにも書けなくなったのなら、出掛けよう 煙草を吸いながら、相合傘なんていいとおもう おまえを生んだわたしはおまえと手を繋ぐ わたしにはその権利がある おまえはわたしに付き合わねばならない 終わり

          【詩集】傘をさして、青空を諦め