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何度でも

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一度だけでなく、何度も何度も読みたいnoteをまとめています。
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文字に浮かぶ砂金

もともと住んでいたシカゴ郊外を離れて、数ヶ月ちょっと経つ。二度目となるアメリカ内の引っ越し。新天地で生活を始める前に、いったん日本へ戻ってきた。その背景や経緯を書き留める予定だったけど、しっくりくる言葉に落とし込めないまま折り返しの時期にきている。 今朝は、高校時代の友人と喫茶店へモーニングを食べに行った。こうこうこんなわけで、しばらく地元にいてさぁ。途切れることなくしゃべって、コーヒーをお代わりして、ランチまで注文して、結局4時間ぐらい居座った。 今の心境や身の回りにつ

「教育」とは対話である

「教育」について考えています。 礼儀、知識、技術を教え育てること。親と子ども、先生と生徒、上司と部下、師匠と弟子……「教育」から発想できる関係性はいくつかあります。ただ、関係性によってそのニュアンスは異なります。たとえば、“先生と生徒”と“師匠と弟子”はよく似ているけれど、どこか違う。この微かな差は何でしょうか。 わたしは「学ぶ側の“積極性”の違い」だと考えます。“生徒”よりも、“弟子”の方が学習に対して積極的な気がします。あるいは、“先生”には教える責任がありそうですが

アド、バイス

たとえば、誰彼構わずアドバイスを求める人がいる。 受け取ったことばそれぞれを丸飲みにして、最終的になんだかよくわからない状態となる。行動に移すことは重要。だけど、“吟味”もまた同じように重要だと思うのだ。 そういう意味では、信頼のおける人物を見つけることが大切で。先日、とある人から「Clubhouseが失速した理由」を聴かせてもらった。その方は、現役のClubhouseユーザーで、ご自身でもClubを作成して1万人を超えるメンバーを集めて運営している。招待制によるデメリッ

獲得する、自分のことば

自分のことばを手に入れる。 それが大事だと思うのです。人と話して、本を読んで、わたしたちはことばを獲得してゆく。でも、きっとそれは他人のことば。では、“自分のことば”とは、何だろう。 たとえば、「美しい」とはどういうことか。辞書を引いて、意味を調べる。そこ書かれたことばではなく、自分なりに解釈をしてみる。調和のとれた色、形、音。だけでなく、夕飯の後に妻がそっと差し出してくれたとうもろこし茶。怪我をした一匹の犬に、静かに寄り添うもう一匹の犬の姿。精度を高めるために妥協を許さ

この人と一緒に、働きたいと思った。

2012年3月、ぼくは米国シアトルにいた。数週間後の帰国を控え、留学先の大学の期末試験を片手に、もう一方の手には新卒向けのエントリーシートを抱えていた。現地で会ったかけがえのない友人たちと過ごす時間だけは守りたいと必死になって。 無謀なスケジュールで組んだ8か月間の留学は、新卒採用の面接が一斉に始まる4月を目前に終わりを迎えることになっていた。 日本から持ってきたガラケーに連日かかってくる非通知着信。時差が時差なだけに取り逃したものは少なくなかった。就活仲間もろくにいない

[戯言戯言日記]種まきと収穫

 先日「呑みながら書きました」でインプットの話を書いた。  これを書いたのをきっかけに、インプットについて考えている。本稿では上記のnote よりも上層、上位レイヤのインプット、いわゆる一般にインプットと言ったときに想定されるような本を読んだりコンテンツを享受したりすることについて考えてみる。「本稿」などと言うとご大層な雰囲気が出てすばらしいが戯言であり戯言である日記なので、呑みながら書いたものと大差ない。  さて、インプットを栽培に例えてみる。例えば家庭菜園でトマトを育

見てるようで、見てない

「見てないようで見てる」とかつて歌ったのはTHE YELLOW MONKEYでしたが、逆のお話(?)。 これまで何度か書いたけれど、アメリカに旅立つと決めたとき、わたしは29歳だった。 仕事をしていたこともあって、準備はひっそりと進めてきた。ほとんど誰にも話さずに。両親にすら打ち明けたのはインターンシップ先が決まってからだった。 なぜ内密に計画を進めたかというと、もともと自分がやりたいことに関して人に相談するタイプじゃないのもあるし、やっぱり反応が怖かったというのが本音

娘からの質問状

「 相談したいことがあるんだけど、いい? 」 いつも突然やってくる、娘からの質問。 娘は昨年契約社員から正社員に変わり、後輩たちの指導にも携わる。もちろん自分の業務も遂行しながらなので新しい人が入った直後は目も回る忙しさだ。リモートワークだけでは伝えきれない細かい指導は週3回の出社時にできる限り効率よくしなければならない。 質問は、最近入った契約社員の女性の言葉遣いをどうしたら直せるか、ということ。聞くところによると、彼女の言葉は全て『学生の話し言葉』で、仕事で遣う言葉

「好き」最強論

結論、好きなことは最強だということで。 これはもうイニシエから連綿と語り継がれてきたことですが、「好き」という感情には敵わないという話です。寝ても覚めても、そのことしか考えられない。それは恋のように瑞々しく刺激的で、愛のようにあたたかくまろやかに。「好き」になった瞬間、「努力」という概念は消えます。呼吸するように思考し、ただただ打ち込む。遊びの延長線上にあるモノゴトで生活できると楽しいですよね。 世の中には、それを実現している人がいます。ぼくがインタビューをさせていただく

言葉の色

言葉の色ってあるよな、と思う。主語が小さい言葉は色が濃くて、大きい言葉は色が薄い。 「クラスのみんなが持ってるんだよ」 長男が四年生のとき、Nintendo Switchが大ブームになった。ひとり、ふたりと買ってもらえた子が増えてきて、Switchを持ってる子同士で遊ぶことも多くなった。「みんなって、何人が持ってるの?」。長男から返ってきた答えは、クラスの1/4程度のお友だちの名前。主語を大きくして説得力を持たせたいのは、大人も子供も変わらないのかも。 - オリンピック

記号のようなもの

 生物学的な性別を、実感する瞬間がある。  それは、月に1度のはずだった。  スマートフォンとは誠に便利なもので、わざわざ手帳につけた三日月マークとにらめっこしなくても、アプリで「まもなくです。準備しておきましょう」なんて、お知らせしてくれる。  先ほど「月に1度のはずだった」と書いたのは、妊娠・授乳期を除いて中学生以来ずっと固定だった28日周期が、この2年ほど揺らいでいるからだ。  不思議なもので、妊娠中のつわりに似たような、どことなく気持ちが悪いような感覚があったり、気

自分の考えを持つ、ということ。たとえば、代々木公園の五輪ライブサイト設営のお話について。

ある物事について、いったいどこまで情報を仕入れたなら。もしくはどれだけ自分の経験として消化したなら。それを自分の考えとして、堂々と表明できるのだろう。 そんなことを延々考えているから、ぼくはいつも間に合わないんです。 考えを、意思を。しっかりと自分の中で持つことが、遅くなってしまう。 ...みたいに、悩むことがあります。 というお話です。 ◇ 5月31日。仕事の前に、代々木公園に寄りました。この日までに行っておきたかった理由がありました。それは、公園内の中央広場に生えて

よくある言葉を「自分らしい文章」に変えるには?

オンラインサロン「心をつかむ文章ラボ」の月に1度の勉強会。 今回のテーマは、「よくある表現をどう言い換えるか」。 ありふれた慣用句や、 ワクワク・ドキドキ、モヤモヤ・イライラなどのオノマトペを使わずに、どう書くか? を練習しました。 なぜか、「ズバッと短くまとめなきゃ」と思い込んでいる人は多い。 ワクワクとか、モヤモヤと書けば伝わる、と信じ込んでいる人もいる。 でも、そんな言葉では深い共感は生まれない。 「首を長くして待っていました」をどう言い換える? 「今日のセミナ

「ことばの日」、ぼくらにできること。

夜の深いところからこんばんは。だいすーけです。 日付変わって18日。今日は、「ことばの日」ということで。 ことばの日は、「ことば」を大切にする日。 いつも「ことば」を大切にしている人は、いつも以上に。 あまり意識してこなかったなぁ、という人は、できる範囲で。 今日は一日、大切にしてみませんか。ぼくらそれぞれの、内側から湧いてくる「ことば」のこと。 ◇ たとえばあなたには柔らかそうなまあるいボールに見える言葉が、となりにいるだれかには、ぬらりと妖しい光を放つ刀に見えて