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「ちょっと待って」は多用しない

例えば子どもに
「ねえ、聞いて聞いて〜」
「ママ、これどうやってするの?」
「先生、ここ分からん。教えて~」
などと言われた時、手が離せない or 忙しい大人は、ついつい
「ちょっと待ってね」
って、言ってませんか?

親であれば、子どもに。先生であれば、教え子に。
もしくは、夫に・妻に・親に。あるいはビジネスシーンでも。誰もが多忙な世の中ですもの。
しかしこの【ちょっと待って】は多用しないほうがいいと思う話です。

以前に書いた、否定語は肯定語に言い換えるという話と同様です。↓



①【ちょっと】の感覚は人それぞれ

まず、相手が子どもの場合です。
大人が言う「ちょっと待ってね」のちょっとって、どれぐらいですか?
数十秒?数分?10分?20分?
時間の感覚って、子どもにとってはまだ難しいですよね。

「ちょっと待って」を多用していると、大人がすぐに来てくれた時もあれば、5分の時もあり、15分くらい待たされた時もあれば、はたまた忘れられたこともあった、てなことになりかねません。
それって、同じ【ちょっと】じゃないよね。
だから【ちょっと】という感覚があやふやになって、その言葉に対しての信頼性がなくなってしまうのです。

私の働くこども園では、例えばどこかにぶつけてしまって
氷で冷やす時「この砂時計が全部落ちるまで冷やしてね」
と、視覚的に見て分かるように伝えています。

特に、保育士なんかやってると子ども30人に対して1人の先生、という日常。同時に何人もの子に呼ばれる、なんてことはザラですから。
一般家庭の親でも、複数の子がいたり、家事や仕事が忙しかったり、すぐさま対応するのは難しい場合も多いかと思います。

じゃあ、どうすればいいのでしょう?先生や親などの大人は。
私が思う、少し待ってほしい時の正解の言い方は、

「ここのお掃除が終わるまで待ってね」
「洗濯物たたんでるから、終わったらいくよ」
「今〇〇ちゃんのお手伝いしてるから、その次ね」
「分かった。順番にまわってるから、3番目ね」

などと、具体的に「何」が終わったらなのか、その行為があとどれぐらいで終わるのか、を分かりやすく伝えることです。

そうすると、子どもも大人の行動を見て「そろそろ来てくれそうだ」と予測できるので、ちゃんと待つことができます。大人も、忘れることなく優先順位をつけてちゃんと対応してあげることができます。

このように、抽象的で曖昧な「ちょっと」という言葉は多用せず、具体的な表現に言い換えて伝えるほうが良いと思います。
小学生以上になって時計が読めるようになれば、「あと10分ぐらい待ってね」でもいいですが。

②曖昧や否定を多用すると、自分の信用も失う

これは、ビジネスシーンでも同じです。

上司に「これやっといてくれる?」と言われた時、
まさか「ちょっと待ってください」なんて言ってません?笑
いや、そんな奴おらんやろ!って思うでしょ?
それがね、案外いるんですよ~。世の中には。イマドキの若者なんて言い方はしたくないんですが、それぐらい神経の太さがご立派な人たちが少なからず存在します。

「ちょっと待ってください。今コレやってるんで。」って。

分かっとるわ!そんなもん!
勤務時間内で暇してる人なんておらんはずやし、いや、いたらそれもどうかしてる話やけど、仕事を振られた時に「ちょっと待ってください」と言うことは、イコール【否定】であって、極端な話「私は無能です」と言ってるようなもんだと思うのです。 ←え、私、間違ってますかね??
上司だって馬鹿じゃない。部下たちが今それぞれどの仕事を抱えているかなんて、普通に把握してます。
返答の第一声がよく「でも」や「だって」で始まる人も、私は好きじゃない。それも否定でしょ。

新入社員であれば、「期限はいつまでですか?」とか「優先順位はどちらが先ですか?」ぐらい聞いたって、まあ許そう。
でも何年か勤めているのなら、それもそんくらい自分で考えろや、な話です。本当に自分にはキャパオーバーな仕事だったとしたら、そう伝えればいい。他の有能な人に任せるから。

昔、前職でですけど管理職時代に若い後輩で、指示なしでは何やっていいか分からず動けん男の子がいて、私は逐一「あれやっといてな」「それ終わったら次はこれやってね」って言ってたんですよ。
そんならその度に「ちょっと待ってください」って言うのが続くもんやから、私は思わず
「その、まず否定から入る癖はやめたほうがいいよ。自分の価値を下げてるから。いったん分かりましたって言うて、やってみて、分からんかったり間に合わんかったりしたらまた聞いて。」
と言いました。

そしたら、3年ぐらい続けたあと(結果まあまあ成長した)その男の子は辞めるとき、私に
「前に(↑前述)こう言ってもらったこと、すっごく印象に残ってます。ずっと忘れません。ありがとうございました。」
と言ってくれました。
お~~~!良かった良かった! 一人の若者の、何かしらのキッカケになるような言葉を残せたんだな、と私も嬉しかったのを覚えています。

若い頃って柔軟性があるから、たった一言やキッカケで
ぐんと伸びたり意識が変わったりするもの。
これが年数だけベテランの中堅層だと話はまた変わるけど。


自分が上司で、相手が部下や後輩の場合でも同じことだと思います。
自分が人から信頼される人間になりたいのであれば、何か質問を受けたり教えてほしいと言われた時、なるべく待たせないか・あとでならばどれぐらい待たせるのかをハッキリ伝えるようにするべきです。


③まとめ ~相手の為にも、自分の為にも。

教育関係の仕事を長くやっていると、相手も自分も成長できるものだと改めて思います。
やってて良かったと思える時もあって、やりがいのある仕事だとも思えます。

少し意識するだけで、変わることがあります。
同じ内容を伝えるにしても、肯定的&具体的に言い換えるだけで、相手にとっても自分にとっても為になる場合や良い影響を与える場合があります。

仕事に子育てに家事に、多忙な毎日を送っているママさんやパパさん。本当にお疲れ様です。尊敬に値します。みんな頑張っていて、疲れていて、余裕がないかもしれません。
でも、意識していつもの口癖を少し言い換えてみるだけで、子どもも大人も・相手も自分も、ちょっと良い方向へ変わっていくかもしれませんよ。何事も積み重ねですけどね。
というお話でした。

長文になってしまいましたが、読んでくれた方、ありがとうございました。

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