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僕はLGBT。女から男に戸籍を変えて生きているFTMトランスジェンダーの鈴木優希。

仕事は、地元名古屋で同じFTMの子を主に雇用したBAR Venusを経営して16年目を迎えた。今回はそのVenusのお客様との話を書いていこうと思う。

女子会プラン

この言葉、よく見かけますよね。通常価格より少しお値打ちだったり、誕生日プレートのデザートがついてきたりする女性のお客様同士限定のプラン。

先日「同伴」(※スタッフと外でご飯を食べてから一緒に店に入ること)にVenusのスタッフを誘ってくれたお客様がいる。その人はお値打ちで美味しい店を探すのが好きなおばさまでVenusとはもう長いお付き合いをしてもらっている常連さん。

もちろんオナベバーという事も理解してくれているが、何より「お得」がお好きな方。悪気はなく女子会プランで予約したんだろう。
そして今回誘ってくれたメンバーは身体を何もいじっていない。体型はぽっちゃりで男性ホルモンは投与していたりしていなかったりだけど、戸籍上は間違いなく「女」身分証の名前だってまだ親がつけてくれた可愛いまま。

女子会プラン違反?!

何も思わずに食事を楽しんでいたこのお客様とスタッフ。
会計の時に事件が起きた。

謎の2000円の追加が。
「?」と思い店員に尋ねると・・・
「女子会プランのご予約に、男のお客様が見えますので」とのこと。

このおばさまは負けない(笑)
「この子、オナベちゃんよ」と伝えたらしいが、理解出来なかったのか
「いえ、当店のスタッフが男性のお手洗いをご使用している所を確認しておりますので」とあちらも負けない。

お得が大好きなお客様だけど、このお客様も立派な社会人である。常識は持ち合わせた方。
ここまできたらお金の問題ではない。その言い方がかなり失礼だったらしくとても怒っていた。

トイレ問題

これは度々取り上げているが、難しい問題だ。
自分達は心の性別、FTMなら「男トイレ」を利用したい。でも要は「見た目」がどちらに見えるのか?という所が重要視される。
心の性別も大事だが、僕たち当事者も周りの目、混乱を避けたいのが1番であり、
自分の為にも周りの方の為にもリスクが少ない方を選んで利用する。

今回のメンバーも、ガタイが良く男っぽい。きっと女トイレに入った方が違和感があるだろう。お風呂ならば、入ってきたとき「?」と思っても、すぐに脱いで裸を見せたら納得される。トイレは個室だからそれは無理なこと。
だからこそ、出来るだけ見た目から入るのに自然な男トイレを利用したに過ぎない。

戸籍を変えた僕は「男」に入るし入らなければいけないが、立ちしょんが出来るわけではないから、不便があり、多目的トイレがあれば状況を見てそちらに入ることも多い。

要は用を足したいだけなのだから。。(笑)

これだけLGBT容認の世の中になってきて僕たち当事者も「触れられない領域」の扱いに慣れてしまったのかもしれない。いざ、今回の様に、このセクシャリティが原因で揉めるということが何だか新鮮にさえ思えた。

考えてみた時に、
この女子会プランとやらのボーダーラインが
心の性別重視か?戸籍上の性別を重視か?ということだ。

よくある男女料金のボーダーライン

女子会プランだけでなく、男料金女料金に分かれているところがある。

例えば、飲み屋さん。
席料を男と女で分けているお店のママに「僕はどっち?」と聞いたら「男料金」
男になりたいんでしょ!と一蹴された(笑)
ちなみに、ニューハーフさんは「女」らしい。ゲイはどうなのか?・・・うん。それは今度聞いておこう。

男と女で料金を分けたり、女子会といって性別を限定するのは僕からするとめんどくさいなーとも思うけど、その店のルールだから、その店が決めればいい。
見た目なのか?戸籍なのか?その店の経営者の独断だっていい。
それがイヤなら利用しなければいいだけの話。店は沢山あるんだから。

今回の居酒屋の様に「トイレがどうこう」そんな事をわざわざ後をつけて確認する前に本人ないし予約の代表者に言い方を考えて確認をしてくれたらこんなことにならなかったと思う。

僕らを女子として連れて行く方にも問題があるのかもしれないけれど、戸籍上はなんの問題ない。

こんな場合にどう対応するのか?

先ほどの飲み屋のママの様に自分の観点でも勝手でも何でもいいから決めておくことだと思う。

2000円を巡る攻防。

僕たちの商売は、ネタで笑い話になるけど、状況が違えば、お金では済まない心の傷になりかねない。

少数派の対応なんて考えても、取り越し苦労になるかもしれないが、性別で商売にとっての大切な「金額」を分けているなら、
どこで分けるのか?考えておくことをお勧めする。

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