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韓国映画=社会問題がテーマな重い作品ばかり、は間違いでした。『チャンシルさんには福が多いね』

「手放してこそ新しいものが入ってくる」というセリフが刺さった。ただただ捨てなさいということではなく、本当に捨てたくないものが何か判断しなさいということだったのかも。
 
韓国映画といえば、社会問題などの重めなテーマが多いというイメージがあるのでは。それはそれで心に残る作品ばかりなのだけれど。日常を切り取ったインディーズ映画にも良い作品は多い。とはいえ、もちろんハラハラドキドキな展開があるわけではない。ただ、登場人物が放つ言葉が、リアルな自分にグサッときたりするのです。

『チャンシルさんには福が多いね』(韓国/2019年製作/96分)

あらすじ

ずっとプロデューサーとして支えてきた映画監督が打ち上げ宴会中に急死。これを機に失職して、何もかも失ってしまったチャンシルさん。映画だけに捧げてきた人生、気がつけば男も子供も家もなし、もちろん青春なんていまいずこ。そんな八方塞がり、アラフォー女子のチャンシルさんに、ある日突然、思わぬ恋の予感が…。
Filmarks映画情報|URL:https://filmarks.com/movies/86836

絶望的な状況だけど重すぎない

チャンシルさんは決して笑える状況ではない。が、周りの人間が魅力的すぎてクスッと笑えるコメディに。大笑いはしない。お気楽能天気な女優(売れているのか売れていないのか分からない)や名言を残していく新しい家の大家さん。なぜかレスリー・チャンの幽霊がチャンシルさんを励ましてくる。この幽霊は謎すぎたが、きっと映画好きなチャンシルさんの妄想なのだろう。香港出身のはずなのに韓国語ペラペラだし。彼も彼女が立ち直るためには重要な人物。レスリー・チャンの幽霊とは言うものの、レスリー・チャンに似ているかというと別にそうでもない。こういうツッコミどころが結構ある。だから安心してチャンシルさんを見守ることができる。

痛々しいけど愛おしい

チャンシルさんはときにイタい。共感性羞恥というか、なんとなく目を塞ぎたくなる場面がある。例えば、好きな人ができて一人で色々と勘違いしてしまうところ。今まで仕事一筋だったように、好きなものに対して突っ走ってしまう性格のようだ。そして後悔する。でも、彼女と同じ感情を味わったことが誰にでもあるんじゃないかと思う。両想いかと思ってかまをかけてみたら、「実は○○のこと好きなんだよね」と全く違う人の名前を出されるとか。そういうイタさも人間味があって良い。

まとめ

何も上手くいかない。振り返った時に今まで何をしていたのだろうと惨めな気持ちになる。これから歳を重ねていくなかで、そういう感情になるときが訪れるのかもしれないし訪れないのかもしれない。訪れちゃったら、こういう映画で一旦泣くのもいいんじゃないかと思います。

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