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山と海の繋がりを体感する屋久島の旅2.海の動態を知る

実家の米農家を継ぎ、仲間たちと自然の循環を大切にする村づくりに取り組んできた中で実現した、今回の屋久島の旅。

標高2000メートル近くの山と海、それらを繋ぐ川が生み出す豊かな生態系と自然の循環を体感する旅の記録ですが、今回は海での学び編です。

屋久島の旅の拠点•Moss Ocean Houseで目覚めたら、まずは薪用の流木を拾いに、海岸まで出かけます。

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ここに滞在する間は、お客さんではなく一人ひとりが生活をつくっていく一員ということで、無理のない範囲で役割を担っていく、という流儀のようです。

『郷に入れば郷に従え』は、地元の先輩たち(60歳以上)に米づくりを学んだ際にも大事にしていたポイントです。

せっかくの屋久島の旅。心地よい朝の時間は、散歩がてら流木拾いをしながら身体をほぐし、朝食の準備に備えることにしました。

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朝6時前に目覚め、海岸を歩いていくと日の出が見えてきました。

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足元は水流によって丸く削られた石であり、決して歩きやすい場所ではありません。
丹田を前に押し出し、膝をゆるく曲げながら、足裏の感覚を頼りに進んでいきます。

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すると、このように小枝サイズの流木から、丸太のような流木まで大小様々なサイズが転がっており、背中に背負った籠に入れていきました。

籠がいっぱいになれば、朝食用の薪の準備はバッチリです。

屋久島を構成する二種類の岩

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屋久島を構成する岩は、二種類あると言います。

一つは、堆積岩。川を流れ、積もり積もった砂等が圧によって永い時間をかけて固められた岩です。屋久島本来の素材、とも言えるものだそうです。

もう一つは、花崗岩。火山の活動により噴き出した溶岩が固まった岩です。

海岸には巨石がいくつもゴロゴロと転がっているのですが、この堆積岩と花崗岩が混じり合うように転がっていました。

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屋久島という島が、水の流れによる堆積に加えて火山活動や地殻変動を伴いながら形成されてきたことが物語られるようです。

旅の途中、『滝之川の一枚岩』と言う場所を訪れました。

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そこは標高で言えば500メートル付近だったかと思うのですが、山の森の中に突然このような平らな岩場が現れるのです。

これはかつて海の底にあった堆積岩の名残なのだそうですが、水が流れる川の周囲だけこの岩場が残り、河の両脇は森に侵食されたことでこのような場所が残ったのだと言います。

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数万年かけて海底が隆起し、このような山の中にその名残を残している…と言うのが、何か厳かな気持ちにさせられました。

また、なぜ堆積岩のような巨石が海岸や森のあちこちで転がっているかと言えば、さながら鉄砲水のように流れる暴れ川等の流れにより、島の奥深くから流されたりしてきたものだそうです。

雨が多く、豊富な水量を誇る為、川によっては氾濫したり強い水圧で巨石すら運んでくる、ということもあったようです。

このように、森と海の繋がりを強く感じさせる場所が、屋久島には多くありました。

海と山の水が交わり、生命が育まれる場所

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再び場面を海岸近くに転じてみましょう。
波打ち際の近くには岩と岩に挟まれた浅瀬があることが確認できます。

ここは、山から流れてきた淡水が湧き水として地中から出てくる場所であり、海水と混じり合うことで「汽水域」と呼ばれる浅い海です。

このエリアは水温も安定しており、このエリアに適応するプランクトン、エビ類等もいるそうで、この汽水域から山へ戻って海のミネラルを届けにいくもの、海水に適応して海へ還るもの等、小さな生き物たちの保育園と呼べる場所だと教わりました。詳しくは上記のMossの記事をご覧ください。

たしかに、このような入り組んだ場所には外敵もやっては来ません。

また、小さな生き物たちが海と山の水が入り混じるこの場所で育まれ、山や海へ還ることで生態系へ循環していく様をありありと体感することもできました。


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