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新米米農家の「土中環境」の探求と環境再生の実践

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実家の米農家を継ぎ、仲間たちと自然の循環を大切にする村づくりに取り組んできた中で「土中環境」というキーワードに出会いました。土木・造園業の視点から土中の環境の大切さ、近年の自然災…
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記事一覧

隗より始めよ。軒下の溝を延長して『土中環境』再生実践

先日、土木造作を行った軒先の雨落ち部分ですが、今回はさらにここの溝を延長し、隣接する畑との境界をリニューアルしていきたいと思います。 今回は、前回の反省も踏まえて…という点と、体力、スケジュールの都合を加味した結果、溝の底や付近に細い竪穴を空ける作業は別日にすることとしました。 予定では、およそ20mほどの長さの溝を掘っていくことになるので、独力でやる分にはそれほど無理しない方が良いだろう、という判断です。 さて。まずは、深さ40cm、幅30cm程の溝を、先日掘った溝か

循環畑体験×ソース原理(Source Principle)@伊賀

2022年8月18日は、私にとって忘れられない1日となりました。 私がこれまで人生を懸けて取り組んできていた、 この3つが集約され、私が主宰する体験プログラムとして実現された日となったためです。 この実現を可能にしてくれた、「じゅんかん(循環/JUNKAN)」をキーワードに集った仲間たちと、『Work with Source』邦訳出版イニシアティブ、家族や友人たちの協力、目に見えない多くの確かな繋がりとご縁、パートナーの支えに心から感謝をしたいです。 記事のタイトルとし

隗より始めよ。軒下の雨落ちを、『土中環境』再生実践

今年に入ってから、兼業米農家としての生業の延長で、「土中環境」についての探究と、現場での実践に取り組んできました。 私にとっての再生の現場は、地元の耕作放棄地であったのですが、ふと自宅を振り返ってみて、ここの環境改善も始めてみようと思いつき、今回は軒下の雨落ちに土木造作をこしらえ、その後の様子を観察することにしました。 こちらが、取り掛かってみることにした軒下の雨落ちです。 畑に接しており、やや水を含んで黒ずんだ土の上に雑草が生えています。 より近づいて見てみると、水を

湿地の土中環境再生:水の流れと土地の役割・摂理を体感する

今回の記録は、地球守代表の高田宏臣さんの千葉のダーチャフィールドにて、耕作放棄地となっていた元・田んぼの湿地の環境を整えるワークショップに参加した時の記録です。 今年4月、私は仲間たちと、藪化した山や森を、土と水、空気が循環していく杜にするための取り組みについて学び、体験しました。 今回の湿地の環境を整えるワークショップは、その第二弾。 より実践的かつ大きな環境の改善の取り組みとなります。 土中環境とは?『土中環境』とは、国内外で造園・土木設計施工、また、環境再生を行っ

土中環境(水と空気、土、微生物たちの営み)の健全な循環から、杜を育てる

今回の記録は、地球守代表の高田宏臣さんの千葉のダーチャフィールドにて、土中環境の循環の健全化と、それによる杜の再生について学んだ時のものです。 「土中環境」と言うテーマについては、以前から学びと実践を深めている最中でした。実家で継いだ兼業米農家の日々から然り、仲間と共に進めている村づくり然り。 健康的に野菜や米が生育していく地中には、大小様々な存在が生きており、そこには空気と水、地下水脈が毛細血管のように張り巡らされ、地上と地下を結び、呼吸しています。 (他方、植物たち

土地の水と空気、土の循環を取り戻す。『土中環境』を整える装備(暫定版)の紹介

今回は、2022年初夏時点の、私なりに揃えた『土中環境』を整えるための装備について紹介していきたいと思います。 『土中環境』とは?『土中環境』とは、国内外で造園・土木設計施工、また、環境再生を行ってきた高田宏臣さんの取り組みがきっかけとなって広まりつつある用語です。 高田さんが環境の健康を左右する土中の環境を意識し始めたのは、30代に入って以降。 当時、裏山を背負った住宅開発の際、急斜面の崖を削り、コンクリートを詰め込み、擁壁を築いて無事に工事を終了させたことがきっかけ

ゼロから始める伊賀の米づくり番外編:3年目。米づくりから、森づくりへ

最近、森づくりに心惹かれています。 どうして、兼業米農家が森づくりなのでしょうか。 私が稲を育てる田んぼの近くの神社は、鎮守の森に守られています。鎮守の森には、その地の本来の植生を尊重した森、太古の森の姿が保存されていると言います。それら高く伸びる木、中くらいの木、根元に繁茂する草木という自然の階層、多様性が、長い長い時間と共に循環する森づくりです。 そのような森づくりを行っていきたいと、最近、考えるようになりました。 先日、父の三回忌を終えましたが、その前後で家の仏

山と海の繋がりを体感する屋久島の旅2.海の動態を知る

実家の米農家を継ぎ、仲間たちと自然の循環を大切にする村づくりに取り組んできた中で実現した、今回の屋久島の旅。 標高2000メートル近くの山と海、それらを繋ぐ川が生み出す豊かな生態系と自然の循環を体感する旅の記録ですが、今回は海での学び編です。 屋久島の旅の拠点•Moss Ocean Houseで目覚めたら、まずは薪用の流木を拾いに、海岸まで出かけます。 ここに滞在する間は、お客さんではなく一人ひとりが生活をつくっていく一員ということで、無理のない範囲で役割を担っていく、

山と海の繋がりを体感する屋久島の旅4.山と海を繋ぐ、水と風

実家の米農家を継ぎ、仲間たちと自然の循環を大切にする村づくりに取り組んできた中で実現した、今回の屋久島の旅。 標高2000メートル近くの山と海、それらを繋ぐ川が生み出す豊かな生態系と自然の循環を体感する旅の記録ですが、これまで海の循環、山と森の循環とそれぞれを見てきました。 今回の記録は、それぞれのはたらきを振り返りつつ、海と山を繋ぐ川や、水と土中環境に焦点を当てて旅全体のまとめとしていきたいと思います。 旅の最中の過ごし方と、その日々で学んだこと屋久島の旅の間は、朝6

山と海の繋がりを体感する屋久島の旅3.山の神秘に触れる

実家の米農家を継ぎ、仲間たちと自然の循環を大切にする村づくりに取り組んできた中で実現した、今回の屋久島の旅。 標高2000メートル近くの山と海、それらを繋ぐ川が生み出す豊かな生態系と自然の循環を体感する旅の記録ですが、前回の海編に引き続き、今回は山編です。 山を体感すると言っても漠然としていますが、今回は旅の仲間が滞在している拠点の近くを流れる川の源流に向かい、その源流と山、そして海の繋がりを1日で体験するという行程です。 めざす源流は写真に見える表岳に隠され、人里から

山と海の繋がりを体感する屋久島の旅1.伊賀の米農家がなぜ屋久島へ?

昨年3月。急遽実家で営んでいた兼業米農家を継ぐことになった私は、いわゆる対人・組織運営支援のお仕事から一転、天候と自然環境・集落の人間関係や風土に向き合う生業に取り組むこととなりました。 また、そのような大きな変化の中で、四季の変化と共に生きること、土地や太陽、自然の恵みによって生かされていること、それら自然環境と集落の相互作用関係の中で人々の文化や風土が生まれてきていること等を日々実感するようになりました。 この学びを新米兼業農家の記録として残すだけではなく、より身近に