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隗より始めよ。軒下の溝を延長して『土中環境』再生実践

先日、土木造作を行った軒先の雨落ち部分ですが、今回はさらにここの溝を延長し、隣接する畑との境界をリニューアルしていきたいと思います。

先日施した土木造作。軒下に溝を掘り、水と空気が循環するよう促した

今回は、前回の反省も踏まえて…という点と、体力、スケジュールの都合を加味した結果、溝の底や付近に細い竪穴を空ける作業は別日にすることとしました。

予定では、およそ20mほどの長さの溝を掘っていくことになるので、独力でやる分にはそれほど無理しない方が良いだろう、という判断です。

さて。まずは、深さ40cm、幅30cm程の溝を、先日掘った溝から延長していきます。

溝を掘り、伸ばしていく。およそ20mほど

石の土台でスコップが入らず掘れない部分は避けて通る形となり、鉤状にカーブする部分が造られることになりました。

石板が埋め込まれたスペースは、鉤状に溝を掘り進めた

スコップでまず竪穴を掘り、そこに鍬を持ってきて溝の底や壁面を平らにしていきます。

側面については、平らに垂直にしておかないと、雨などの水分を吸った時に崩落の危険性が高まってしまいます。

垂直が最も縦の圧力を耐えることができる構造のため、丁寧に作業を進めます。

また、溝を掘る過程で掘り出した土は、足場を補強する擁壁になってもらうことにしました。

地表部の野草が生えているのもそのままにしておき、やがて野草が根を伸ばせば積んだばかりの擁壁も根によって固定され、頑丈になるだろう、という狙いです。

溝掘りで出た土は、しがらみ状にして積んでいき、足場を新たに作ることに。

しかし、こうして掘り続けていると不意に『なんで自分はこんなことをしているのだろう?』と自問自答に陥ります。

そもそもは、自宅の土地をどう有効活用していくか?というところが始まりでした。

大工の祖父、趣味で畑をしていた祖母、建築家の父…彼らの姿を見てきた中で、自分が担えるのはどんな形だろうか?

問い直した結果、今後もこの土地が生態系も豊かに、畑の作物も豊かになっていくための土中環境をつくり、後の世代に遺していこう。

そんな願いから始めたのでした。

尤も、いざ夢中になって土と道具に向き合っていると、案外そんなことは考えず只々充実感も感じている自分も居たりします。

自分の腕を振り下ろして、鍬が土を掻く感覚。

スコップを持ち、体重をかけて土に踏み込み、スコップが土に深々と入っていく刹那。

土を掘り起こし、その土を脇に避けるために腕や腰、背中の筋肉が緊張します。

その一瞬一瞬に学習が起こり、無理のない身体の使い方や道具の扱い方が洗練されていき、いつしか息も切らさず作業を延々と続けている。

そんな時に、自分の身体と道具、土が一体になったような感覚を感じ、この感覚に病みつきになってしまうのです。

そうこうしているうちに、予定していた部分まで溝を延長することができました。

溝を掘り進めた後

ここへ、籾殻、米糠、稲藁、落ち葉といった有機物を入れていきます。いずれも、やがて微生物たちの棲家となり、豊かな水と空気の循環を生んでくれることを期待します。

掘り進めた溝に、籾殻、落ち葉、米糠、藁を敷き詰めていく

掘り進めてきた方向へ向かって有機物を入れていきます。

鉤状のカーブ地点も抜かりなく有機物を敷き詰める

カーブする地点にもきっちり有機物を入れました。

先日の土木造作をして以降、明らかに生育のよくなった里芋まで到達

今回の造作作りの終点地点近くには、以前の造作の影響で大きく成長しつつある里芋が植わっています。

と、この有機物をいれる作業中に夕立が降ってきました。恵みの雨です。雨を経て、環境が馴染んでくれれば良いのですが。

翌朝。昨日の作業中に降った雨により、有機物が溝に馴染んだように見える

晴れ上がった翌朝、溝の様子を確認します。雨に濡れ、昨日までよりも馴染んだ様子が見えます。これからどうなることやら。変化を眺めつつ、じっくり付き合うことで、自然も人も喜べる環境づくりを行っていければと思います。

晴れ渡った翌日。土木造作付近の花が咲き、里芋の葉もグンと高く上を向いている

こうして見ると、前回の雨落ちの造作は本当によく変化を生んでくれました。この先も、身近な場所から土地が豊かになる方法を模索しながら、長く付き合っていきたいと思います。


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