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「人生初の寝台列車に乗って、中部の都市フエに向かう」青年海外協力隊になる前、2か月間1人旅した話⑪

↓前回(仲良くなった日本人とハロン湾でカヌー&夜ご飯)

ハノイに来てもう6日が経ってしまった。

食堂で相席になったらほぼ必ず話しかけてくるほどフレンドリーなハノイの人々、ヘルシーで美味しいベトナム料理、各地に散らばる観光名所・・・ハノイが気に入りすぎて、こんなに多くの時間を過ごしてしまった。

私はVISAなしの観光なので、ベトナムに滞在できるのは残り9日だ。(VISAなしの場合、ベトナムに滞在できるのは15日間)


ハノイのあとは、ラオスに抜けるか、それともホーチミン市(ベトナム南部にある首都)まで行ってカンボジアに抜けるかで迷っていた。

調べたところハノイ→ラオスのバス路線はガードレールのない細い山道を行くため危険であることや、夜行バスの冷房がキツい、音楽がガンガンに流れていて眠れない、などの情報がネットでわんさか出てきたので、行くのはやめた。ホーチミン市まで行って、カンボジアに抜けよう。

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それに、私はベトナムを代表する鉄道「統一鉄道」に乗ってみたかった。


ちなみに「統一鉄道」とはハノイ市とホーチミン市を結ぶ鉄道路線の愛称だ。

ベトナムはかつて、22年間にもわたり北緯17度付近にある軍事境界線を境に南ベトナムと北ベトナムに分かれていて、この鉄道も分断されていた。

でも、1975年にベトナム戦争が終わり、1976年にベトナム社会主義共和国ができて、ベトナムの再統一が始まった。

それに伴いこの鉄道もベトナム北部のハノイ市から南部のホーチミン市まで開通し、ベトナムの統一を象徴するもののひとつとなった。


ハノイ市からホーチミン市まで全部統一鉄道で行こうとすると34時間くらいかかるため、私は中部の都市・フエまで行くことにした(それでも13時間以上かかった)。

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午後8時にハノイ駅を出発する。

夜ご飯は駅近くの食堂でブンチャーというベトナム料理を食べた。

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ちなみにブンはお米でできた麺、チャーは炭火焼肉のことらしい(写真は1人分…)。

そうめんのような麺や肉団子、野菜などを甘辛いタレにつけて食べる。

野菜の量も多くてヘルシーだし、この甘辛いタレが箸が止まらないレベルの美味しさだった。


ブンチャーを食べてかなりお腹いっぱいになり「もう動けない・・・」と思いつつも、鉄道に乗り遅れるわけにはいかないので足早に夜のハノイ駅に向かう。


ちなみに私が乗るのは3段ベッド×2の寝台車(つまり6人部屋)、1番上の席。1番上が1番安いから。


車両に乗り込み乗務員の人に切符を見せて、「この席はどこ?」と念のため聞いてみる。

「こっちだ」と案内された席を見て驚いた。


「せまーー!!」

思わず日本語でそう言ってしまった。

本当に寝ることしかできないところだった。

たぶん、身長が高い人や体格のよい人だったら寝そべることもできないと思う。

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「あなた日本人ですか?」

下のベッドの男の子から日本語で声をかけられた。

さっき私が「せまーー!!」と日本語で言ったのを聞いて、私が日本人だと分かったらしい。

彼はどう見ても見た目はベトナム人なのだけれど、日本語で「あなたの名前はなんですか?」とか「よろしくお願いします」とか話しかけてくる。

聞いたところによると、彼はとある日本企業のベトナム支社で働いていて(だから日本語ができるそうだ)、今日はベトナム支社のみんなで社員旅行に来ているらしい。

どうやら私はその社員旅行グループに紛れ込んでしまったようだった。隣の6人部屋も社員旅行グループだった。


この社員さんたちがめちゃくちゃフレンドリーで(というかベトナム人はフレンドリー率高い)、私をトランプに誘ってくれて寝るまで一緒にトランプしたり、ゲームで負けたら容赦なく手首にしっぺしてきたり、ベトナムの文化について教えてくれたり、とても楽しかった。


「ベトナム人はなんでも食べます。犬とか猫も食べるし、ヒナがかえる前の卵も食べます。日本人は、なにかびっくりするもの食べる?」

「ん~・・・あ!私が住んでいたところは、虫食べるよ!これ!(長野県に4年間住んでいた私は、長野県の郷土食・ざざ虫の写真をスマホで見せた)」

「・・・虫食べるなんて、ベトナムでは普通だよ・・・」


これは・・・勝てる気がしない・・・。


そんなこんなで夜は更けていった。



次の日は朝6時くらいに目が覚めた。フエまでまだ3時間もある。


やることもないので、ゆっくりと昇る朝日を車窓から眺めていた。


まだ朝の6時過ぎなのに、水牛をひいて水田を耕している人がいる。

水がはってある水田に、オレンジ色の朝日が映りこむ。

今まで見た朝日の中で一番きれいだと思った。


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