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鑑賞する

美術館や博物館に行くのが好きです。

大学進学のために上京して、つるむようになったグループが、上京組半分・地元組半分という構成だったことと、「ぴあ」や創刊されて間もないHanakoなんかで、毎週、情報を得ることが楽しかった時代だったこともあって、仕送りやバイト代をやり繰りして、東京のあちこちを”厳選して”探検していた。

「TOKYO、スゲー」

当時も今も思う。
「やっぱ東京、すげー」(笑)

小学校の修学旅行で訪れた、国立博物館や東京タワーが、思い立ったら割とすぐに行くことができる。
美術館や劇場もあちこちにそれなりに集中、ほどよく点在している。
その劇場では、テレビや映画で活躍している旬の役者さんたちの誰かが、毎日、どこかしらでお芝居をしている。
海外アーティストが来日すれば、ほぼ間違いなくまずは、東京でライブをする。
わたしが初めて海外アーティストを日本で見たのは、静岡へ来たスティービー・ワンダーだった。
静岡へ行くのですら当時はちょっとした遠征だったのに、東京近郊を拠点にしていれば、気軽にいろんなアーティストを見に行くことができる。
「Tokyo」が日本の首都であることを実感する。

ひとり遊びの積み重ね

学生時代は、バイトに費やす時間と比例して、自由に使うことができるお金が増える。
だいたいは飲み会の費用に消えていったのだけど、大学3年以降、美術館や映画にも使うようになった。
きっかけは、めんどくさい男を好きになってしまったから(笑)
わたしもかなり幼かったけど、その彼も相当面倒な男だった。
「東京ラブストーリー」に思いっきり感化されて、リカ並みに全力で彼にぶつかっていた。
うざかったよね。
しかもその彼もまあまあモテていたから、他の女子から声をかけられたらそれはそれで遊びたい。

「会えないからと言って文句ばかり言うのではなく、
その時間を自分がいなくても豊かに過ごせるようになれ」

的なことをもっともらしく言われた。

一緒に行きたいと思っていた展覧会や映画を、これ見よがしにひとりで行くようになった。
ある時は直接本人に、ある時は仲間内の会話の中で聞こえよがしに、厭味ったらしく「こないだ○○を見に行ったんだー」と言うことで仕返しした気になっていた。
最初は、ひとりで行くことが、怖かったり、他人から寂しい人と思われるんじゃないかと気にしすぎたりで、抵抗があった。
でも。

「継続は力なり」

ここで使うのはどうかとも思うけど、慣れてくると、自分のペースで進められることが快適になってくる。

彼氏へのこれ見よがしの抵抗・抗議の気持ちは常にどこかにありつつも、だんだん、わたしは活動範囲を広げていく。
エスカレート?ステップアップ?して、これ見よがしの一人旅にも行く。
旅の目的は、その地の観光名所に追加で、その地にある美術館を訪れることになったりする。
身についていった画家や作品の知識が派生して、数珠繋ぎになるのが嬉しくて楽しくなる。
活動範囲の広がりとともに、国内に限らず、海外に出かけるときも習慣になった。

そしてそれらが積み重なって今に至る。

この彼氏とは、つきあっていた期間の楽しい思い出はほぼ皆無に等しく、ずっと腹を立てていた。
でも唯一、そして相当に感謝すべきは、わたしに美術鑑賞のきっかけを与えてくれたこと、かしら。
この先も、本人には絶対、謝辞は伝えるもんか!だけど(苦笑)

「観賞する」

先人の残してくれた作品の数々。
同じ時代を生きる才能豊かな方々の作品の数々。

わたしが美術館を訪れる理由。
「観賞する」理由。

作品の数々を直接鑑賞することはもちろん、
自分の「好き・嫌い」の感覚を確認・点検すること。

様々な色づかいやイメージ、表現方法を見て、これは好き、これは嫌いを確認していく。
「好き」や「嫌い」に行きつくまでの、何に引っかかったのかも確認する。
年月を経ると、好き→あんまり好きじゃないかも、嫌い→あれ?好きかも、の変化も起きる。
誰を傷つけるでもなく、シンプルに「好き」「嫌い」を確認する時間。
自分のための自分だけの時間。

先入観を入れない、なるべくフラットな状態で鑑賞したいので、キャプションは見ない。
ひとしきり眺めてから、キャプション・文字情報を見る。

年代から、持ち得ている知識を引っ張り出して背景を想像する。
タイトルから、どこにフォーカスがあたっているのか、そのタイトルがつけられた意味はどんなかを想像する。
素材や画材から、表現の手法の意味や、技術を想像する。

好きだと思った作品は、タイトルや作家の名前を脳内で復唱してたたきこむ。
ずっと見ていたい作品は、できるだけ見尽くす。
それほど惹かれない作品は、さらっと。
あまりにも混雑しているときは、ざっと1周して、空いているところから攻める。
空間そのものが素晴らしい場所は、しばし腰かけてぼーっとすることもある。

ピンとこないまま、足早で出てしまうことも、実はある。
「ああ、わたしには合わなかったな」
「わたしは、これ系が好きじゃないってわかったな」

作品や作家に対する発見だけでなく、自分の中の発見もあるから、行ってしまうんだな。

行きたいMuseum!

企画展を目当てに訪れることがほとんどではある。

そんな中で、わたしが改めてまた行きたいのは、ココ!

●MET:メトロポリタン美術館/アメリカ・NY
・・ここは広すぎて、何度行っても足りない!
https://www.metmuseum.org/  

●グッゲンハイム美術館/アメリカ・NY
https://www.guggenheim.org/  

●MOMA:ニューヨーク近代美術館/アメリカ・NY
https://www.moma.org/  

・・・とにかくニューヨークが、好・き・な・ん・デス!!
●ジョージア・オキーフ美術館/アメリカ・サンタフェ
・・・外観・展示・内容、全部好き!
https://www.okeeffemuseum.org/  

●大原美術館(倉敷)
・・・高校の修学旅行で気に入って、初めての一人旅でも再訪。やっぱり好き。
https://www.ohara.or.jp/  

みんぱく:国立民族学博物館 (大阪)・・・ずっといられる(笑)
https://www.minpaku.ac.jp/  

●デンバー美術館・・・ここの仏像のセレクトは超好み!イケメン揃い!
先住民に関する展示も好み!
https://denverartmuseum.org/  

●無言館(長野県上田市)
・・・過去2回訪れたけれども、これからも折に触れて行きたい。
https://mugonkan.jp/  

まだ行ったことがない、死ぬまでに行くのはココ!

●国際民芸博物館:MOIFA(アメリカ・サンタフェ)
・・・アレキサンダー・ジラードの世界に埋もれたい、お買い物しまくりたい!
http://www.moifa.org/  

●ロサンゼルス・カウンティ美術館:LACMA(アメリカ・LA)
・・・ジョー・プライスの若冲のコレクション、見たい!!
https://www.lacma.org/  
※2023年以降改装が終わったら!

不要不急の場所ではある。
でも、絶対になくしちゃいけない場所。
まだまだ知らない美術館・博物館は山ほどある。

美しいものをもっともっと、見たい。

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写真はいつかのジョージア・オキーフ美術館。

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