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【本】リーダーシップの理論-理論と持論は何が違う?-

リーダーシップ、と聞いてどんなことを思い浮かべますか?
率先して前に動く人、とかカリスマ性がある人、などが思い浮かんだりするのではないでしょうか。

ちなみに、リーダーシップの定義は以下です。

職場やチームの目標を達成するために他のメンバーに及ぼす影響力(2022,石川)

『リーダーシップの理論』

この定義から見てわかるように、実はリーダーシップとは特殊な能力や特別な人が持っているものだけではなく、誰でも持つことのできるものなのです。

私は現在立教大学大学院リーダーシップ開発コース(以下、LDC)の修士2年生です。LDCでリーダーシップといえば、石川淳先生。実は、入学試験の面接も石川先生でした。石川先生はとってもチャーミングなのですが、初対面の面接はかなり緊張しました….(笑)

今回はリーダーシップ理論と持論の違いについて石川先生が書いた、下記の本を参考にまとめていきたいと思います。

目次

  1. 理論とは?

  2. 持論とは?

  3. 持論のバージョンアップに理論が役立つ!?


理論とは?

「もう少し理論的に説明してほしい」なんてことを誰かに言ったことはありませんか?そもそも理論、とはなんでしょうか。

この本ではこう述べています。

多くの人に、ある程度の時間・空間を超えて適切であると認められた概念間の因果関係
※概念とは、ある事物の概括的で大まかな意味内容のこと

『リーダーシップの理論』

リーダーシップと効果に置き換えてみると下記の図になります。

この図は、リーダーシップという概念が原因で、その結果として生じるフォロワーの満足という概念が結果であることを示しています。

この関係を「多くの人が、だいたいの場合(時間を超えて)だいたいの国において(空間を超えて)適切である」と考えるのであれば、これも理論、ということになります。

理論と認められるには、提示された概念間の因果関係を多くの人に適切であると認識されること、場所が異なっていても、年月が変わったとしても成り立つ因果関係であることなどの条件があります。

持論とは?

持論とは、他人の同意が得られるかどうかとか、別の状況でも適切かどうかに関係なく、自らの経験と勘に基づいて適切であると信じられている因果関係のことを言います。

この本では、自らの行動に関わるメンタルモデルである、とも述べています。

持論によって想定された因果関係は、その人に当てはまる可能性はあるものの、それを他の人や他の状況に当てはめることが困難な場合が多い、とこの本では述べています。

例えば、私のリーダーシップ持論は「メンバーの欠点も、ユーモアを持って受け入ることで信頼関係を築くことができる」。

これは人によってはもしかしたら、「バカにされている!」と思うかもしれませんし、他人の同意が得られるかどうかとか、別の状況でも適切かどうかといわれたら首を傾げるところがありますよね。

でも、私にとっては大切なリーダーシップの持論で、持論があるからこそ仕事に対して信念を持つことができると思っています。

持論のバージョンアップに理論が役立つ!?

私の持論を例として紹介しましたが、持論のバージョンアップは実は難しいと言われています。

その理由は、持論に対する過剰な自信と、どのように変えれば良いかが分かりにくい、ということ。

私の持論は、自分の成功体験からきています。この成功体験が強固であればあるほど「これで上手くいくに違いない!」としがみついてしまうことにもなります。一方で、じゃあ持論をどう変えれば良いかと問われると、別のやり方を試しても上手くいかない….なんてこともあります。

そんな時に、理論が持論のバージョンアップに役にたつと言われています。

その際に重要なことは、持論の明示化とPDCAサイクル
PDCAサイクルを回すことで、今持っている持論の課題や改善点を明確化し、これを克服し、より効果的な持論のバージョンアップのための改善策が検討できます。

そして理論が、持論を整理する、持論を補足する、持論を新しい環境に合わせることで役に立ちます。

詳しい説明は下記です。

持論を整理する
持論は、自分の経験がそのまま言葉になっているものが多いため、「こういうときはこうした方が良い」など上手く整理されていないものも多かったりします。明確でなければ、PDCAも回せません。一方で理論は、暗黙的もしくは断片的な持論を整理するフレームワークを提供することができるため、持論を整理することに役立ちます。結果、整理された持論のPDCAを回すことができます。

持論を補足する
持論は、自分にとって関心のない概念はすっぽり抜け落ちている可能性があります。そんなときに、理論を知ることで、持論から抜け落ちている概念を知ったり、それを持論に付け足したりすることができます。

持論を新しい環境に合わせる
リーダーシップ研究者によって次々と新しい理論が生み出されています。これまでの時代に適応していた理論が新しい時代に合わなくなる、不十分な効果しか生み出せなくなることはよくあること。これまでの理論の流れを知ることができれば、今後必要になるリーダーシップ持論を考えるヒントを得ることもできます。リーダーシップの理論の流れを知れば、環境の変化に合わせて適切なリーダーシップがどのように変化するのかの予想がつきます。その変化に合わせて必要な持論を考えることができるようになります。

『リーダーシップの理論』

以上、読んでいただいたらわかるように、リーダーシップの理論と持論、どちらも持っておくことが重要です。

自己流のリーダーシップ持論だけではなく、理論もしっかりと頭に入れておくことでより効果的になります。

理論と持論、両輪持ちましょう!

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