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上司と部下の関係性を表す、LMX(リーダーシップの交換モデル)とは何か?②

前回は、リーダーとフォロワーとの関係の質のばらつきに注目し、リーダーシップをリーダーとフォロワーの相互作用に見出すリーダーシップの交換モデル(LMX; Leader Member Exchange)と呼ばれるアプローチについてまとめました。

「一人のリーダーと複数のメンバー」という関係性ではなく、「一人のリーダーと一人のメンバー」の関係に焦点を当てたのがLMX の特徴です。

今回は、LMXの効果やLMX高めるには?についてまとめたいと思います!

参考文献:
Erdogan & Bauer 「Leader-Member Exchange Theory:リーダーシップに対する関係性からのアプローチ」


LMXの効果

LMXが向上すると、ワーク・エンゲイジメントが高まること(Breevaart,Bakker,Demerouti,&Heuvel,2015)や、組織市民行動との効果的な関係性(Fisk &Friesen,2012)が示されています。

他にも、LMXとフォロワーのパフォーマンスの関係は離職意図や職務満足度と同様に強い相関関係があることもわかっています。(Gerstner,&Day,1997)

そして、高い質のLMXを持つメンバーは、より多くの量のフィードバック探索(Kudisch, Fortunato, & Smith, 2006; Peng, Ngo, Shi, & Wong, 2009)、直接のフィードバック探索(Lee, Park, Lee, & Lee, 2007)、ネガティブフィードバックの探索(Chen et al., 2007)を行うと報告もされています。

LMXを高めることで、組織や人に大きな効果があることがわかります。

LMXが形成されているかの質問項目


Graen and Uhl-Bien(1995)は、「LMXの形成を、対となるメンバーを他人(低い質の関係性)から知人(中程度の質の関係性)へ、知人から成熟した(高い質の関係性)へと変化させるプロセス」と定義しています。LMXが高い時、つまりお互いに信頼し合い、好意的な関係である時にリーダーシップが効果的に発揮されることも実証されています。

LMXが形成されているか測るスケールとして、LMX-7というものがあります。LMX-7は、関係の質を測定するための7つの質問項目から構成されています。(皆さんは、どのように回答しますか?)

➀あなたのリーダーがあなたの仕事にどのくらい満足しているかをいつもわかっていますか
②あなたのリーダーはあなたの仕事の問題と要求をどのくらいよく理解していますか
③あなたのリーダーはあなたの可能性をどれくらい認識していますか
④正式な権限に関係なく、あなたのリーダーがあなたの仕事上の問題を解決するためにリーダー自身の力を使う可能性はどれくらいですか
⑤正式な権限に関係なく、あなたのリーダーが自分のの労力をかけて「あなたを援助する」可能性はどれくらいですか
⑥私はリーダーの決定を擁護し正当化するほどに自分のリーダーを信頼している
⑦あなたのリーダーとの仕事上の関係をどのくらい評価しますか

LMXを高めるには?

では、LMXを高めるにはどうすれば良いのでしょうか。
いくつかの研究では、どんなリーダーがフォロワーとの関係性の質を向上させることができるかを探究しています。

例えば、LMXの発達を信頼構築と考えると、数名の研究者は、リーダーの権限委譲はより高い LMXの質に関係していると明らかにしています(Bauer & Green, 1996; Yukl, O’Donnell, & Taber, 2009)。

他にも、 リーダーは次の行動によって効果的な関係を築く可能性があるともいわれています。

・倫理的であること (Mahsud, Yukl, & Prussia, 2010; Tumasjan, Strobel, & Welpe, 2011; Walumbwa et al., 2011)
・メンバーに共感をあらわすこと(Mahsud et al., 2010)
・LMXの形成に力を尽くすこと(Maslyn & UhlBien, 2001)
・メンバーにとって公平だと認知されるような交流を増やすように行動すること (Erdogan, Liden, & Kraimer, 2006; Masterson, Lewis, Goldman, & Taylor, 2000)
・心理的契約に背かないこと(Restubog, Bordia, & Bordia, 2011)

ここでは、リーダーの行動に着目していますが、もちろん部下側からできることもあると思います。 

LMXが高いと、会社に対する満足感や公正感を得やすく、会社を辞めにくくなる、また、自分の仕事上の役割が明確になるため、複数の役割の間で板挟みになりにくいとも言われています。

日頃の上司もしくは部下との関係性を客観的に捉えつつ、できることを積み重ねていきたいですね。

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