見出し画像

<ラグビー>2024年シーズン(7月第三週)

(どうでもよい「話の枕」です。関心ない方は飛ばしてお読みください。)

〇 多くの老人男性は、なぜ野球帽を被っているのだろう。日除け、寒さ除け、禿げ隠しなどが理由として思いつくが、実は、子供の頃に流行した野球帽を被っていたから、その延長としてのお洒落ではないかと思う。今は、多種多様のスポーツを子供がしているが、今の老人たちの子供時代は野球しかなかった。だから、帽子といったら野球帽というイメージがある。こうした子供時代に染みついたイメージ(特に流行のもの)は、年をとっても変わらない、いや変えられないものだ。それは老女が若い時のままの髪形や化粧をし続けていることでわかる。それが老人男性の野球帽なのだ。こうして、子供時代に刷り込まれたことは、死ぬまで持ち続けることが多く、切り替える人はほんの少数派なのだ。
 
〇 今年4月から朝ドラを見なくなった。音楽で言えば、大音響の重層低音のリズムが単調に繰り返されるなか、バイクの過剰な排気音と金属が擦れ合う高音が交互に響いている、まるで人の神経を狂わせるかのようなドラマツルギーに耐えられなくなってしまったからだが、その影響でニュースもだらだらと長い時間かけて見なくなった。おかげで、成人式の奇抜な衣装デザインを見させられるような不快感はなくなり、また朝の時間に余剰が生じた。
 
 それで、これまでは8時15分以降にやっていた体操・坐禅を7時過ぎには始めることになり、また執筆活動をメインに考えている午前の時間枠がかなり増え、執筆する分量が多くなった。こう考えると、朝ドラを見る習慣は無い方が良いのかも知れないが、一方私にとっては世間の状況(風向き)を感知する機会でもあるので、9月以降は復活させるつもりでいる。なお、世間の風は再び「サボナローラが登場したフィレンツェ」に近づいているのが心配だ。日本にダンテやレオナルドは登場して欲しいが、サボナローラは百害あって一利なしだと、以前に学んだはずなのだが。


1.テストマッチの結果

日本14-42イタリア

 日本は、SH齊藤直人とFL下川甲嗣がジョージア戦のレッドカードにより、斎藤は3試合、下川は1試合のそれぞれ出場停止処分になった。これは、コーチングの深刻な課題と言える。この結果、様々なポジションで軽微な入れ替えがあり、未だコアとなるメンバーが決まっていない不安定さを露呈している。なお、キャプテンのリーチ・マイケルは7番FLでプレーしたが、彼のベストポジションは6番FLである。4番LO桑野詠真が初キャップとなった。

 対するイタリアは、日本相手にベストメンバーを揃えてきた。14番WTBには元ワラビーズSOマイケル・ライナーの長男ルイスが先発する。ルイスはイタリア生まれなので代表資格を得ているが、父はオーストラリア人なので、既に弟のSOトムはワラビーズ入りしている。また、ルイスはイングランドのプレミア―リーグでもプレーしているので、イングランド代表の可能性もあったが、一番弱いイタリアを選択したことに男気を感じる。

 試合は、両チームともにラインアウトを筆頭に未整備な部分が多かったが、より未整備というか、これがコーチングされた国代表チームかという酷いプレーを連発し、その結果自滅したのが日本だった。勝ったイタリアは、特別なプレーをするでもなく、ラグビーの基本に従ってプレーするだけだったが、日本が勝手にミスしてくれるので、それに乗じて得点するという楽な試合だった。また、ディフェンスについては、日本が単純なアタックしかしないため、まじめにラッシュアップしていればトライを防げるという、こんな楽なテストマッチは少なくともシックスネーションズの試合では皆無だろう。

 そうしたイタリアの気のゆるみが前半最後と後半最初に出て、それが日本の二つのトライになっていたが、これはイタリア人気質で仕方ない。なお、イタリアのシンビン三つという反則の多さは、普通ならテストマッチに負ける規律の悪さだが、相手がまるでどこかの学生チームのような低レベルの日本だったので、不思議と勝敗に影響しなかった。日本ではメディアが持ち上げている監督のエディー・ジョーンズだが、海外のメディアが述べる通り、「もう賞味期限が切れている」というのは残酷な現実なのではないか。かつてのフランス人迷監督ジャンピエール・エリサルドの二の舞にならないように、またアメリカの民主党大統領候補のように、早めの手当てをと思うのが、門外漢の戯言である。

オールブラックス47-5フィジー

 2031年RWCアメリカ大会を盛り上げるためのショウケースとしての、サンディエゴで開催されたテストマッチ。お互いにエンターテイメントなラグビー志向なので、こうしたゲームには最適の組み合わせとなった。オールブラックスは、先発1人、リザーブ6人が初キャップとなるなど大幅に入れ替えた。初キャップとなるのは、13番CTBビリー・プロクター、16番HOジョージ・ベル、18番PRパシリオ・トシ、19番LOサム・ダリー(怪我のパトリック・ツイプロツとの入替)、20番FLワレス・シティティ、21番SHノア・ホッサム(怪我のTJ・ペレナラとの入替)。イングランド戦で活躍したボーデン・バレットがFBで先発し、久々となるイーサン・ブラカッダーが7番FLでプレーした。なお、元オールブラックスのPRノーム・ヒューイットが亡くなったため、追悼を込めたゲームとなった。

 試合は、サモア系のアーディ・サヴェアが初めてハカをリードした。CTBビリー・プロクターとPRジョージ・ベルがそれぞれトライを記録した他、初キャップとなった選手は皆まずまずのプレー振りを見せ、選手層が厚みを増している。特にプロクターの評価は非常に高く、このままリエコ・イオアネから13番の座を奪う可能性が出てきた。SOダミアン・マッケンジーは、アタックのリード及びゴールキックも良く、及第点だった。難点を挙げれば、WTBケイレブ・クラークのディフェンスがあり、FBボーデン・バレットとの連携がうまくいけば、フィジーのキックパスからのトライは防げていたと思う。SHコルティス・ラティマーが脳震盪で交代したが、ザ・ラグビーチャンピオンシップまでには時間があり、またTJ・ペレナラも復帰してくるので、心配なさそうだ。しかし、またSHに欠員が出た場合は、U20代表で活躍したディラン・プレッジャーを推薦したい。彼は、キャメロン・ロイガードに次ぐ良い人材だと思う。

チリ11-52スコットランド

 スコットランドは、先発10人を入れ替えたBチームでティア2チームと対戦した。キャプテンを、7番FLジェイミー・リッチーと12番CTBシオネ・ツイプロツが共同で担った。16番HOパトリック・ハリソンは初キャップとなっている。試合は、スコットランドが、FBカイル・ロウの活躍などで順当に圧勝した。チリのRWCでの健闘が昨年メディアで喧伝されていたが、これは一時的なものであったようだ。

オーストラリア40-29ジョージア

 オーストラリアは、先発10人を代えるなど大幅な選手交代をしてきた。3番PRアラン・アラアラトアが、今シーズン3人目のキャプテン代行となり、11番WTBダービー・ランカスターは初キャップとなった。リザーブ17番PRアレックス・ホッジマンは、元オールブラックスでキャップを持っており、4人目のオールブラックスとワラビーズの両方のキャップを持つ選手となった。

 試合は、オーストラリアが、後半に14番WTBフィリポ・ダウグヌがレッドカードになる数的不利が生じたものの、格下相手に順当に勝利した。反則に対するコーチング不足により負けた日本とは好対象に、エディー・ジョーンズが崩壊させたワラビーズを立て直した名コーチであるジョー・シュミットの手腕が、オーストラリアの好調ぶりにいかんなく発揮されている。両FLロブ・ヴァレティニとフレイザー・マクライトを筆頭に、FW陣が良いプレーを見せたのも、前任者時代との大きな違いになっている。

南アフリカ64-21ポルトガル

 南アフリカは、格下相手に23人中7人を初キャップとなる選手で構成し、66人目となるキャプテン代行に、26歳の4番LOサルマン・モエラットを指名した。試合は、南アフリカが、前半2分に、12番CTBアンドレ・エスターハイゼンがハイタックルでレッドカード(退場)となり、そして33分にもシンビンを出し、ノーサイド直前の74分にもシンビンを出すなど規律の悪さを見せながらも、11番WTBマカゾレ・マピンピのハットトリックなど10トライを奪って実力通りに大勝した。しかし、タックル成功率70%が示すようにディフェンスは反省すべき部分が多かった。大敗したポルトガルだが、強豪相手に3T3Cの21点を取ったのは大健闘といえる。

 なお、南アフリカSOマニー・リボックは、ゴールキックが不調であったことから、現アタックコーチであるトニー・ブラウンだけでなく、元スプリングボクスの名SOにして伝説的なゴールキッカーであるナース・ボタから指導を仰ぐことを、監督のラッシー・エラスムスが言及している。元々名キッカーを輩出する国なので、やがては改善されるだろう。

ウルグアイ5-79アルゼンチン

 格下相手に手抜きをしないアルゼンチンが、14番WTBイグナチオ・メンディのハットトリックなど12トライを挙げて大勝した。SOトマス・アルボルノズは21得点を記録した。南米ではアルゼンチン一強となっており、その他チームとの力の差はかなり大きい。

ブラックファーンズ62-0ワラルーズ

 男子同様のタスマン海を挟んだライバルに対して、ブラックファーンズは10トライの猛攻で圧勝した。ハカのリードをした11番WTBカテリン・ヴァハコロは、4トライを記録している。彼女は、伝説的トライゲッターであるポーシャ・ウッドマンウィックリフの後継者は無理としても、ブラックファーンズのトライゲッターとして活躍するステイシー・ワアカやルビー・ツイの後継者になれるだろう。

2.U20世界大会結果(準決勝・決勝・順位決定戦)


準決勝
 イングランド31-20アイルランド
 NZ31-55フランス
 NZはやることなすことミスが続いた上に、レッドカードで20分間数的不利となったこともあり、最後まで勝機は見えなかった。

決勝
 イングランド21-13フランス
3位決定戦
 アイルランド24-38NZ

 NZは、いきなり0-12とリードされる展開となったが、その後はスリリングなパス回しで逆転した。勝利が確定したノーサイド前に、アイルランドから連続トライの逆襲を受けたが、残り時間を上手く使って試合を終えた。最終的に3位となってどうにか面目を保ったが、再び頂点に立つための反省点が多々見つかった大会となった。

5位決定戦
 オーストラリア6-14アルゼンチン
7位決定戦
 ウェールズ31-47南アフリカ
9位決定戦
 イタリア13-24ジョージア
11位決定戦
 スペイン24-19フィジー

 下部大会のU20トロフィーでスコットランドが優勝したので、来年はフィジーと入れ替わる。
 

3.その他のニュースなど 

(1)ラグビーをやっていた芸能人等

 「オールブラックス.コム」が、興味ある特集を組んでいたので、紹介したい。
(ア)ロバート・パトリック
 『ターミネーター2』の俳優であるロバート・パトリックは、オハイオ州立大学でFLをしていた。ラグビーの経験がアクション関係の演技に生かされているとコメントしている。
(イ)ドウェイン“ザ・ロック”ジョンソン
 “ザ・ロック”は、元プロレスラーでハリウッドのアクションスターだが、1970年代にプロレスラーである父ロッキー“ソウルマン”ジョンソンとともにNZに住み、ラグビーをプレーしていた。ラグビーの経験は現在の肉体を作る基礎になったという。
(ウ)ハビエール・バルデム
 スペインの俳優ハビエール・バルデムは、『スカイホール』などに出演しているが、元スペイン代表のプレヤーであり、ラグビーの経験が映画作りのチームワークなどに生きているという。
(エ)クリス・ファーレイ
 『サタディナイトライブ』に出演するコメディアンであるクリス・ファーレイは、1986年に卒業したマルケット大学でラグビーをプレーしていた。ラグビーで培ったアスリート性が優れたエンターテイメントを支えている。
(オ)タイカ・ワイティティ
 アカデミー賞受賞歴のある、監督・俳優・脚本家であるタイカ・ワイティティは、ウェリントン州のポネーケ・クラブでプレーしていた。ラグビーは映画作りの参考になっているそうだ。
(カ)マット・デーモン
 マット・デーモンは、実際にラグビーをプレーしていたわけではないが、2009年の『インヴィクタス』で、1995年RWCで優勝したスプリングボクスのキャプテン、フランソワ・ピナール役を好演した。またデーモンは、2006年にマーティン・スコセージ監督の『ザ・デパーテッド(故人)』で、ボストン警察ラグビー部の選手を演じており、ラグビーとの縁がある。

(2)ウェールズ36-35レッズ

 テストマッチの無いウェールズが、スーパーラグビーの中堅チームであるレッズ(しかもワラビーズの選手抜き)と対戦したが、1点差の辛勝だった。リーグから移籍した11番WTBリーガン・グレイスが良いプレーを見せた。アメリカンフットボールに移籍してしまったルイス・リーザミットの後継者になれそうだ。

(3)アーディ・サヴェアが、2027年までNZ協会と契約延長、そしてモアナパシフィカへ移籍

 オールブラックス及びハリケーンズのFW3列として、世界最高峰の選手の一人であるアーディ・サヴェアは、NZ協会との契約を2027年まで延長した。また、長年ホームとしてきたハリケーンズから、サモア系及びトンガ系出身者で構成されるモアナパシフィカへ移籍することを発表した。モアナの監督である同じハリケーンズつながりのあるタナ・ウマガによる影響とともに、アーディは、以前からリーグのサモア代表入りの希望を述べていたことも背景にある。また、モアラには兄ジュリアンが既にプレーしているので、兄弟での活躍が見られそうだ。アーディとしては、おそらく2027年RWCでオールブラックスから引退し、多くのサモア系元オールブラックス選手同様に、その後はサモア代表入りすると見られる。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?