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<ラグビー>アイルランド対日本、イタリア対オールブラックス、ウェールズ対南アフリカ、フランス対アルゼンチン、イングランド対トンガ、結果

オータム・ネーションズ・シリーズ(秋季国際大会)ということで,6日,13日,20日の3週にわたって,南北対決を中心にしたテストマッチが開催される。

1.アイルランド60-5日本

2019年RWCプールマッチでは日本が歴史的初勝利。7月のヨーロッパ遠征では,ブリティッシュアイリッシュ・ライオンズのメンバー不在のアイルランドに,日本が惜敗。今回は,日本が2回目の勝利と真のティア1レベルになったことを,確認するための対戦。

 アイルランドは,いつものグリーンに代えてエンジのジャージ。おそらく,第1次世界大戦及び第2次世界大戦戦死者を弔うリメンバーズデーの関係で,ポピーの花に似たカラーにしていると思われる。

 先週のウェールズ対オールブラックス戦で,オールブラックスのジャージを着て闖入したユーチューバーが,この試合でも日本代表のジャージを着て闖入。普通に考えれば,この日のメインイベントは,ウェールズ対南アフリカ戦だと思うが,プリンシパリティースタジアムは既に入れなくなっているため,この試合が選ばれたということだろうか。そうすると,来週はトウィッケナムのイングランド対オーストラリア戦か?

4分,アイルランド11番WTBジェイムズ・ロウがトライ。10番SOジョナサン・セクストンのコンバージョン成功で,7-0。
11分,アイルランド14番WTBアンドリュウ・コンウェイがトライ。セクストンのコンバージョン成功で,14-0。
19分,アイルランド14番WTBコンウェイが2つ目のトライ。セクストンのコンバージョン失敗で,19-0。
22分,セクストンがPG,22-0。
33分,アイルランド9番SHジャミソン・ギブソンパークがトライ。セクストンのコンバージョン成功で,29-0。
42分,アイルランド3番PRタデュク・ファーロングがインゴールに入るが,ノッコン。
44分,日本2番HO坂手淳史が,チーム反則の繰り返しで,シンビン。

前半、アイルランド29(4T3C1P)-日本0

日本は,アイルランドSOジョナサン・セクストンのプレーにやられっぱなし。これではティア1入りしたと言えないような,酷い内容。やはり,ライオンズのメンバーが揃い,しかもホームのアイルランドは強い。後半の巻き返しを期待したい。

48分,アイルランドSOジョナサン・セクストンがトライ&コンバージョン成功で,0-36。
55分,アイルランド12番CTBバンディー・アーキがトライ。セクストンのコンバージョン失敗で,0-41。
57分,日本代表11番WTBシオサイタ・フィフィタがトライ。22番SO松田力也のコンバージョン失敗で,41-5。
70分,アイルランド13番CTBリングローズが2つ目のトライ。22番SOジョエイ・カーベリーのコンバージョン成功で,48-5。
74分,アイルランド14番WTBコンウェイが3つ目のハットトリックとなるトライ。22番カーベリーのコンバージョン失敗で,53-5。
81分,アイルランド17番PRキアン・ヒーリーがトライ。22番カーベリーのコンバージョン成功で,60-5。

後半、アイルランド31(5T3C)-日本5(1T)
合計、アイルランド60(9T6C1P)-日本5(1T)

スタッツは,ポゼッションがアイルランド67%-33%日本,テリトリー(地域)がアイルランド62%-38%日本。ペナルティーは,アイルランド14-11日本で拮抗したものの,走った距離アイルランド530m-218m日本,ボールキャリーは,アイルランド91回-29回日本,パスは,アイルランド207-117日本と,まさに一方的。ディフェンスでも,タックル数がアイルランド97回-139回日本だが,タックルミスが,アイルランド8回-22回日本。これでは,勝負にならない。

日本としては,来週のポルトガル戦で良い試合をして,アイルランド同様にリベンジを期す,スコットランド戦に備えたい。


2.イタリア9-47オールブラックス

   通算対戦成績は,1979年以来14戦してオールブラックスが全勝。直近の対戦は,2018年11月24日の,オールブラックス66-3イタリア。

  オールブラックスは,2003年にアルゼンチンが記録した92トライの年間記録に迫る,89トライを記録しており,あと4トライで新記録達成。また,11トライ取れば100トライとなる。年間得点記録も,2007年に南アフリカが記録した658点,2003年にイングランドが記録した644点に迫る,628点を記録している。あと31点で新記録達成となる。怪我から復帰のキャプテン,サム・ケーンのプレー振りが最も注目されている。

27分まで,オールブラックスは攻め込んでもノッコンで自滅するなど,得点できないシーンが続いた。
28分,オールブラックスが,イタリア陣ゴール前5mのイタリアスクラムからでボールにプレッシャーをかけ,21番SHフィンレイ・クリスティーがインゴールに入り,TMOとなるがトライ。10番SOリッチー・モウンガのコンバージョン成功で,0-7。
31分,オールブラックスが,ゴール前ラインアウトからのモールで,2番HOダン・コールズがトライ。モウンガのコンバージョン成功で,0-14。
37分,イタリア10番SOパオロ・ガルビシがPG,3-14。
39分,オールブラックスが,ゴール前ラインアウトからのモールで,HOコールズが2つ目のトライ。モウンガのコンバージョン成功で,3-21。
42分,ガルビシがPG,6-21。

前半、イタリア6(2P)-オールブラックス21(3T3C)
オールブラックスが,27分までイージーエラーの連続で,トライチャンスに得点できずに時間が過ぎる。21番SHフィンレイ・クリスティー(9番SHブラッド・ウェバーの怪我&脳震盪で交代)のトライからリズムに乗り,2番HOダン・コールズのモールからの2トライで,なんとか面目を保ったが,後半に向けて修正が多い状況。

イタリアは,11番WTBモンティ・イオアネが,攻守に奮闘している。またレフェリングに助けられているものの,良くディフェンスしている。

58分,ガルビシがPG,9-21。
63分,オールブラックスが,18番PRオファ・トゥンガファシ→21番SHフィンレイ・クリスティー→14番WTBセヴ・リースとつないで,トライ。モウンガのコンバージョン成功で,9-28。
69分,オールブラックスが,ゴール前ラインアウトからのモールで,16番HOアサフォ・アウムアがトライ。モウンガはドロップキックでコンバージョンを蹴って成功。9-35。
71分,オールブラックスが,SOモウンガ→11番WTBジョージ・ブリッジ→8番NO.8ホスキンス・ソツツとつないで,トライ。モウンガのコンバージョン成功で,9-42。
76分,オールブラックスが,ゴール前ラインアウトからのモールで,16番HOアウムアが2つ目のトライ。モウンガのコンバージョン失敗で,9-47。

後半,イタリア3(1P)-オールブラックス26(4T3C)
合計、イタリア9(3P)-オールブラックス47(7T6C)

オールブラックスは,年間トライ数と得点記録を塗り替えたものの,今シーズン最低のゲームをしてしまった。ハンドリングエラー,不要な反則により,得点チャンスをことごとく逃していた。特に,BKのFBダミアン・マッケンジーはハイボール処理に失敗を繰り返した他,CTBブライドン・エンノー,CTBクイン・ツパエア,LOツポウ・ヴァアイらは,ここにきて経験値の低さを露呈し,首脳陣の期待を裏切るプレーを連続してしまった。

しかし一方では,彼らは非常に良い経験を積めたとも言え,勝ったゲームで反省できるのはオールブラックスの特権かも知れない。彼ら若手は,怪我人が出ないかぎりは,次のアイルランド戦とフランス戦に出場できるチャンスが減ったが,この経験を糧にして練習で良いアピールをして欲しい。

一方,注目されたFLサム・ケーンは,調子を順調に上げており,次のアイルランド戦のメンバー入りする可能性が出てきた。同じくウェールズ戦では不調だったCTBデイヴィット・ハヴィリが,リザーブからのスタートで存在感を発揮していた。MOMに選ばれたHOダン・コールズは,アイルランド戦出場を大きくアピールできた。

イタリアは,最後に得点差が開いたものの,戦前の予想を覆す奮闘ができたことを誇れる結果となった。南アフリカがオールブラックスにやったような,キック中心の連続してハイボールを蹴る戦術が,意外と効果的だった。また,ラッシュアップディフェンスも機能して,ラインアタックからのトライを防いでいた。年明けのシックスネーションズに向けて,チーム力の強化につながったと思われる。


3.イングランド41(7T3C)-3(1P)トンガ

 イングランドのエディ・ジョーンズ監督は,先発SOに選んだオウウェン・ファレルがCOVID19検査で陽性となり,メンバー構成で大慌てとなった。この結果,リザーブに入ってた本来FBのジョージ・ファーバンクが10番に入り,23番には初キャップとなるCTBマーク・アトキンソン,31歳が入った。期待の新人マーカス・スミスは先発入りが期待されたが,リザーブ22番に止まった。キャプテンは,LOコートニー・ロウズが代行する。

 トンガのトウタイ・ケフ監督は,2023年RWCに向けて,ワラビーズ,オールブラックス,イングランドの代表としてプレーしていた選手が,代表から退いて3年経過することで,母国のトンガ代表に入れることを期待している。これが実現すれば,FBイズラエル・フォラウ,CTBマラカイ・フェキトア,PRマコ・ヴニポラ,NO.8ヴィリー・ヴニポラらが,トンガ代表に入ることとなり,チーム力がかなり増すことは間違いない。

 イングランドのトライは,14番WTBアダム・ラドワン,HOジェイミー・ジョージ,11番WTBジョニー・メイが2つ,4番LOマロ・イトジェ,SHベン・ヤングスが2つ。コンバージョンは,13番CTBヘンリー・スレードが2つ,22番SOマーカス・スミス。トンガのPGはSHテイン・タクルア。イングランドの選手選考に多少のトラブルがあったものの,トンガとの力の差があるため,イングランドが大過なく勝利した。それだけのゲーム。


4.ウェールズ18-23南アフリカ

 ウェールズのウェイン・ピヴァク監督は,キャプテンのLOアルンウィン・ジョーンズを怪我で失い,CTBジョナサン・デイヴィスがキャプテン代行となる。SOには,ベストのダン・ビガーが戻り,ガレス・アンスコムは,怪我から復帰のFBリアム・ウィリアムスとともに,リザーブに入った。また,リザーブには16番HOブラッドレイ・ロバーツ,18番PRウィルグリフ・ジョンの2人の初キャップが入っている。6番FLエリス・ジェンキンズは,怪我による欠場で3年振りのテストマッチとなった。

 南アフリカのジャック・ニーナバー監督は,FBにダミアン・ウィルムゼ,SHにハースケル・ヤンチースを入れてきた。他は今季のベストメンバーを揃えている。また,カーディフの宿舎近くのクラブで騒ぎがあり,朝4時に宿舎から避難するアクシデントがあった。

通算対戦成績は,29戦,ウェールズ6勝,南アフリカ23勝。ただし南アフリカは,ウェールズのホームでは相性が悪く,2013年以来プリンシパリティースタジアムで勝利を得られず,直近4試合ではウェールズが全勝している。

 COVID19のため,プリンシパリティースタジアムの屋根は開けられており,そのためボールが濡れてパス&ランニングに不向きな状況。両チームともに,キッキングゲーム中心のゲームとなった。

10分,ウェールズ10番SOダン・ビガーがPG,3-0。
12分,南アフリカ10番SOハンドレ・ポラードがPG,3-3。
14分,ビガーがPG,6-6。
17分,ポラードがPG,6-6。
27分,ビガーがPG,9-6。
30分,南アフリカ1番PRオックス・ノッチェが,ウェールズ12番CTBニック・トンプキンにタックルした際にトンプキンの頭に腕を当てて,TMO。ノッチェのプレーはPK相当のみとなったが,南アフリカがブレイクダウンで継続して反則をしたため,シンビンになった。
32分,ビガーがPG,12-6。
35分,ウェールズ1番PRリーズ・カルレがモールのオフサイドでシンビン。
40分,ポラードがPG,12-9。

前半,ウェールズ12(4P)-南アフリカ9(3P)

 南アフリカのペースとなるPG合戦だが,北半球のチームであるウェールズは,この種のゲームには慣れている。ファンとしては,トライを取り合うゲームを期待したいが・・・。
ウェールズ14番WTBルイズ・リーザミットが,トライラインに迫る良いランニングをたびたび見せている。
南アフリカは,反則が多く,ノッチェのシンビンに加え,NO.8デュアン・ファルミューレンもシンビン相当の反則が多い。

51分,ビガーがPG,15-9。
54分,南アフリカ23番FBフランス・ステインが,54mのPG成功,15-12。
60分,ポラードがPG,15-15。
63分,ウェールズ23番WTBリアム・ウィリアムスがトライしそうになったが,スタジアムへの闖入者があって,プレー中断。ウェールズは勝ち越しとなったトライを逃してしまう。
65分,ビガーがPG,18-15。
67分,南アフリカ11番WTBマカゾレ・マピンピがインゴールに入るが,TMOの結果,南アフリカがキックした選手からオフサイドの位置にある選手が,相手選手がボールを受ける周囲10mへ先に到達する反則(10mサークルオフサイド)をしていてノートライ。
74分,南アフリカがゴール前ラインアウトのモールから16番HOマルコム・マルクスがトライ。22番SOエルトン・ヤンチースのコンバージョン失敗で,18-20。
80分,エルトン・ヤンチースがPG,18-23。

後半,ウェールズ6(2P)-南アフリカ14(1T3P)
合計,ウェールズ18(6P)-南アフリカ23(1T6P)

南アフリカのFW1列は,先発よりリザーブの方がレベルは上になっており,後半に勝負をかけるゲームプランを想定している。そしてその通りに,後半最後の時間帯に逆転した。ウェールズは,着実にPGでリードしてきたものの,トライを取れなければ勝利は遠くなる。

この試合振りから見れば,ウェールズはシックスネーションズで優勝したチームであることを証明できたと思う。次のフィジー戦,そして最後のオーストラリア戦は,それぞれ良いゲームが期待できそうだ。

南アフリカは,まず相性が悪かったアウェイでウェールズに勝利できたことで,自信を深められたと思う。次のスコットランド戦,最後のイングランド戦が楽しみになってきた。負ける可能性があるとすれば,最後のイングランド戦か?


5.フランス29(2T2T5P)-20(2T2C2P)アルゼンチン

 フランスのファビアン・ガルティエ監督は,SOが2人いることから,ロメイン・ヌタマックを12番CTBにし,マチュウ・ジャリベールを10番SOにした。FBは好キッカーのメルヴィン・ジャミネ。キャプテンは,今シーズン絶好調のSHアントワーヌ・デュポンが務める。

 アルゼンチンのマリオ・レデスマ監督は,10番SOは若手のサンチャゴ・カレーラスを先発させる一方,ベテランのニコラス・サンチェスを22番に入れた他,12番CTBにも,ベテランのフェロニモ・デラフエンテを入れて万全の体制としている。キャプテンは,2番HOフリアン・モントーヤ。

 フランスのトライは,4番LOティバウド・フラメン,16番HOペアト・マウヴァカ。コンバージョン及びPGは,全て15番FBメルヴィン・ジャミネ。
 アルゼンチンのトライは,9番SHトマス・クベリ,10番SOサンチャゴ・カレーラス。コンバージョンは,15番FBエミアーノ・ボッフェリと22番SOニコラス・サンチェス。PGは全てボッフェリ。

 9点差はPGの差。アウェイながら相性の良いフランス相手に,アルゼンチンは存在感を発揮した。2023年RWCで,フランスにとって嫌な相手になるが,組み合わせの妙により,対戦は避けられそうだ。

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