詩「冬の家族」

目が疲れた、日曜日は
眼鏡を外しても、世界が
 萎んでいって
それでも眠っている、娘
の、そのほっぺたに触れたいから
わたしはもう少しだけ、自分の行く末に
 耳を立てる。その
夢の中の、あなたの足跡
が大きくなるにつれ、私たち
の中に、さみしさが積み重なって、
だから不幸ですら、きっと甘く
感じるのです。

涙はきみとぼくの共通の言語。
涙はきみとぼくの家族の証明。

赤い星が東に上った、冬
すぐそこまで、雪が
海の湿気を背負いながら
明日は晴れると信じ
ている、無邪気な
 誰かの夢に、
雨を降らせた。

(きみの流した涙は、
いつか海となる)

波の音が聞きたい。私は
 貝殻を耳に当てる
しかし、聞こえてくるのは
 風の音ばかりで
そうか
 …海とは風だったのか
隣で眠るあなたの、素直な寝言と
 あどけない笑顔の、その溶けていく言葉を
つまみに酒でも飲んで、
 冬の降る、木枯らしを眺めては、
心臓の音に、海を
 重ねて
…私は静かに二度寝する。


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