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食事で良くなったADHD(注意欠陥多動性障害)

その患者さんは、17歳の高校生でした。1年前から精神科にかかっており
難治性頭痛の原因と治療のため私に紹介されてきたのです。
紹介状には、ADHD(注意欠陥多動性障害)で治療中と書かれていました。

頭痛に関しては、私の所にくる3か月前にすでに大学病院でMRI検査を
されており17歳と言う事もあり、脳に異常ある可能性は少ないと
判断して再度のMRI検査はしませんでした。

私は、脳に異常がない脳の異常は、脳の置かれている環境が悪くて
脳が悲鳴をあげている
のだといつも思っています。

そこで、栄養評価と首から下の臓器の異常が無いかどうかを見るために
血液検査だけをさせてもらいました。

1)初診の時の患者さんとお母さんの話

a)患者さんの態度

  椅子に座った患者さんは、落ち着きがなく終始体を揺らし、手も一か所に置いておくことなく、くねるように動かしていました。(多動?)
私が、話す内容をあまり聞いているようではなく、質問にも自分から
答えず、お母さんが代わりにこたえるような状況でした。(注意欠損?)

b)お母さんの話

高校へ入学したころから、症状が出始めたそうで最初は、どこの病院に
行っても「環境が変わり、なじめないストレスから来ている」と
言われていたそうです。
私の頭の中:(医者は、わからない病気や知らない病気に、なるほどと
       思える物語を作ります
。こんな時は要注意です。
       良くできた物語には、必ずウソがあります。)

1年ぐらい前から、学校に行けなくなり自宅で引きこもってしまった
ようです。その後精神科にかかりADHDと診断されクスリを処方
されましたが、改善の兆しは見られず、
夜間は、眠れないのか家の中を動き回り、じっとしていられないと
お母さんは、嘆いておられました。「夜だけでも眠ってじっと
してくれれば助かるんだけど」と。

私:「それ以外に何か気になる症状は、ありませんか?」
お母さん:「食事のあと、時々吐き気がするというので、内科にも
     かかったのですが、異常は指摘されませんでした。
     どこに行っても、
     そもそもADHDで治療しているというとまともに相手に
     してくれません。」

私の頭の中:(消化管に異常が無くて吐き気がすると言う事は、きっと
      糖質過多の食事で、消化管の動きが悪くなっているに
      違いない。食べたものが逆流しているな。)

私:「お母さん。彼は、甘いものが好きなのではありませんか?
   例えば、コーラとか甘い清涼飲料水を常飲していませんか?
   そして、ポテトチップスやクッキー、パン、チョコレートを
  いつも食べていませんか?」

するとお母さんの顔が急に私に何かを期待するような顔に変わった。

お母さん:「はい、いつも甘いジュースを飲んで、チョコレートや
      ポテトチップスを食べています。パンが大好きで
      ご飯は、あまり食べず、パンにジャムをたくさん載せて
      食べるのが好きなんです。」と口早に言った。

私:「食べた後、咳をしていますね。」

お母さんは、不思議そうな顔をして、「なぜわかるんですか?」と
      尋ねてきた。
私:「食べたものが逆流すると、胃液のペプシンという酵素も逆流するため
   咳が出るのですよ」

お母さん;「食後によくせき込むので、心配して肺の検査も受けたの
      ですが、異常が無いと言われていたんです。」

私の頭の中:(パンが好きで常食していると言う事は、きっと
       リキーガット症候群を起こしている可能性があるぞ。
       何かのアレルギーがあり、腸の調子も悪いはずだ。)

私:「花粉症はありませんか?そして、便秘や下痢をしていませんか?」

お母さん:「花粉症も耳鼻科でクスリをもらっていますが、あまりよく
      なりません。便秘をしたり下痢をしたりして、腹痛を訴える
      事があるので、大学病院で検査を受けましたが、
      異常はないとのことでした。」

私の頭の中:(自閉症やADHDの患者さんは、腸内細菌の異常が原因という
       医者がいる。特に小さい頃に抗生物質を内服して、腸内細菌  
       のバランスを崩した人が多いともいわれているなあ。聞いて
       みよう。)

私:「息子さんは、子供の頃、抗生物質を飲んでいませんでしたか?」

お母さん:「小学校5,6年生の時副鼻腔炎で抗生物質を半年ぐらい飲んで 
       いました。どうしてわかるのですか?」

ここまでくると、良く当たる占い師を信用してしまうように、お母さんは、
私を信頼してしまい、救世主を見るような目で、また「助けてください。
お代官様
」というようなすがる目で私を見始めました。

c)血液検査

血液検査は、正常値から低くなるとブルーで高くなるとレッドで異常が
示されますが、患者さんの血液検査は、ブルーもレッドもなく異常が
ない事が示されていました。

多くのお医者さんは、血液検査で栄養状態を見る習慣も知識もないため
大丈夫ですよ。異常はありません。」の一言で終わります。
患者さんが異常を訴えているにも関わらず。

私は、自分の息子が命を懸けて私に教えてくれたこと。「食べるもので
病気になる事」「栄養不足で病気になる事」
を知っています。

そこで、入念に患者さんの血液検査を見てみました。

(※検査値の単位を省略しています。)

BUN(尿素窒素)=9.0と低値でした。尿素窒素は、食事で食べている
タンパク質のカスの量を示しており、10を切るような人は、
みんな体を作るタンパク質や身体を動かすタンパク質が足りておらず、
神経伝達物質だって不足している可能性がありました。
私の経験では、検査値に異常が無くて体調不良を訴える人たちは、
たいてい、タンパク質不足になっています。

赤血球の数もヘモグロビンの数値も正常で、いわゆる貧血ではありません
でしたが、MCV(平均赤血球容積)が85と男性にしては、赤血球の大きさが
小さく、鉄欠乏症かあるいは、慢性炎症により鉄が利用できない状態が
疑われました。赤血球の大きさが小さくなると酸素運搬能が低下するためか
動悸を訴えることが多いので、お母さんに聞いてみました。

私:「胸がドキドキすると言いませんか?」すると突然患者さんが
「ドキドキする。ドキドキする。」と初めてしゃべって
くれました。

話しは少しそれますが、女の子に多いパニック障害や過換気症候群で
運ばれてくる患者さんも血液検査で貧血は無いのですが、平均赤血球容積が
小さく、日頃動悸がしていることが多いようです。でも、貧血が無いと
教科書しか勉強しない多くの医者は、異常に気付くことはない
でしょうし
治療することもできていないのが現状です。
私は、「鉄欠乏症」だと思っています。だから、パニック障害や
過換気症候群は、生理のある若い女性に多いのです。
鉄が満たされると症状は起こらなくなります。

通常の炎症をみる検査では、白血球の数も増えておらず、
CRP(C反応性タンパク)炎症の際肝臓で作られるタンパク質も0.02と
正常値でした。

ところが、フェリチン(貯蔵鉄)が380と異常な高値を示しており
体に慢性炎症が起きていて、鉄を体が使わせなくなっていると思いました。
鉄が使えないと神経伝達物質も作られなくなり、体がエネルギーを
生み出せなくなります。以上の結果から、

2)私の治療

私:「お母さん!心の病気にされているADHDのような病気がクスリで
   容易に治らないことは理解していますね。私だって治せるか
   どうかわかりません。3か月だけ私にだまされる覚悟は
   ありますか?

お母さん:「先生お願いします。なんでもします。この子に少しでも 
      良くなってもらいたいんです。」

私の頭の中:(この気持ちは、私の息子が死にかかって打つ手がなかった
      時に私が感じていたものと同じだ。苦しんでいる。
      治らないまでも少しでも良くしてあげたい。)

私:「まず、食べるものを変えてあげてください。パンは、腸を
   傷つけている可能性があり、禁止です。できれば麺類を
   含め小麦でできた食品を禁止します。それと、食べるものは、
   野菜と果物、それから足りていないタンパク質(肉 魚、卵、豆類)
   は、満足するまで食べさせなさい。その代わりご飯などの炭水化物を
   減らしてください。糖質が含まれている清涼飲料水やお菓子、砂糖の
  多い食べ物もしばらく禁止します。できますか?」

私の頭の中;「小麦は、グルテンがリーキーガット症候群を起こしている
      可能性があり禁止。糖質は、消化管の動きを悪くし吐き気の
      原因になるし、悪玉菌やカンジダなどの真菌のエサに
      なりやすいため禁止とする。)


小麦に含まれるグルテンや糖質を好む細菌、真菌で起きてきます。



お母さん:「やります。やってみます。」

私;「タンパク質がこの子には、足りていません。吐き気がして
   食べられないというのであれば、ホエイプロテインなどの
   タンパク質製剤でとってもらいますよ。」

お母さん:「はい。」と言いながらメモをしている。

私:「それから、腸で起きている慢性炎症を治療するために、油を
   変えてもらいます。まず、炎症を促進する油(オメガ6)の植物油
   いわゆる天ぷら油やサラダ油を中止して、家で使う油は、エクストラ
   バージン・オリーブオイル(オメガ9)にしてください。
   
   そして、炎症を抑える油(オメガ3)、これは、毎日青魚を食べるの
   は無理でしょうから、EPA・DHAのサプリメントを買って飲ませて
   ください。

   そして、悪玉菌や真菌だけを殺す油、エクストラバージン・
   ココナッツオイルをみそ汁やコーヒー、お茶に入れてみてください。
   副作用は、下痢だけですから下痢をするなら少量小さじ1杯から
   始めてくださいね。」
お母さん:「はい、わかりました」と言いながら必死でメモっていた。

私の頭の中:(クスリで炎症を抑える方法は、解熱鎮痛薬、ステロイド、
       免疫抑制剤しかないが、長期に使用すると副作用がある。
      私の方法は、確立されていない治療だし、食べ物の変更だけ
      だから、たとえ治癒しなくても恨まれることはないだろう。 
    
      この方法で、アトピー、喘息、関節リュウマチ、潰瘍性大腸炎
     などは、少なくとも良くなった。IgG腎症で死にかかった息子も
     死の淵から回復した、必ず脳の炎症にも効果があるはずだ。)

私:「お母さん。息子さんは、ひきこもりだからあまり太陽にあたって
   いませんね。」

お母さん:「ええ、いつも家の中で過ごしています。」

私:「それなら、体が作る最強のステロイドホルモン、
  ビタミンD
が欠乏しています。
  ビタミンD3のサプリメントを買って、1日2000IU(国際単位)
  飲ませてください。そして、腸内細菌のエサ、野菜となんでも
  いいですから発酵食品
を意識して与えてください。」

私:「最後に信じられないでしょうが、腸を良くすることが脳の機能を
   良くすることに繋がります。
とにかくしばらくは、腸を良くする
   ことに専念してくださいね。じゃあ、3週間後に来てください。」


現代医学臓器別専門家医療では、解決しない。



お母さん;「今まで、どこを受診しても息子の病気にまともに向き
     合ってくれるところはありませんでした。今日は、希望が見えて
     きました。本当に来てよかった。ありがとうございました。」

私:「効果があれば良いのですが、調子が良くなければいつでも
   来てくださいね。」


次回受診は、3週間後であったが、親子は、2週間後に来院された。
私:「どうですか?」
お母さん:「少しは、夜眠れるようになってきていますが、頭痛は取れず、
      下痢がひどくなり、困っています。」

私の頭の中:(人生でもなんでもそうだが、物事が達成する前には、
      必ず大きな壁が立ちはだかる
。2週間ぐらいであきらめては、
      いけない。ここは、継続させることが一番大切だ。

私:「下痢はね。おそらく悪玉菌が体の外に出ているためと思うよ。
   好転反応じゃないだろうか?」

私:「今日は、じゃあ善玉菌のお友達の、ビフィズス菌と宮入菌の
   整腸剤を処方してみよう。これで下痢が止まるかどうか見てほしい。
   とにかく今までの治療をやめてはいけないよ。何とか継続して
   ほしいんです。
じゃあ、3週間後においで。」と。
これは、私が自信を持って考えていたことでなく、とっさに心の声の
ようなものが聞こえたような気がして、つい口走ってしまった根拠のない
物語です。後でなんであんなことを言ってしまったのだろうと
後悔しました。😂

そして、また3週間たたず、2週間目に親子がやってきた。
私の頭の中:(やはり、効果が無かったか。悪い事をしてしまったな。)🤣

親子が入ってくるなり、お母さんが、私に抱き着いてきた。
お母さん:「先生、治りました。学校に行けるようになったんです。」と。
美人のお母さんに抱きつかれ、(何年ぶりだろう。この気持ちよい感覚。)と妄想する間もなく、お母さんを見ると涙を流していました。
だから、すぐ離れました。

息子:「先生、下痢が治まり、頭痛もしなくなりました。」
息子さんを見るとまるで別人のように、体をゆすったり、くねくね
上肢を動かすこともなく、きちんと椅子に座っていました。

落ち着き払っていました。
そして、はっきりとした声で、私に話しかけてくれたのです。😁

お母さん:「夜もよく眠れるようになり、便も下痢でなく、形のあるのが
    毎日出るようになりました。そして、通学できるように
    なったんです。
本当にありがとうございました。
    まるで夢のようです。」と。😁

私の方が信じられなかった。受診してわずか1か月で良くなるなんて。
精神科のADHDという診断は、正しかったのだろうか?
でも、腸が良くなることで脳の働きが良くなるのは、間違いない。

えーい!理屈なんてどうでもい。とにかく患者さんは、治癒して
学校に行けるようになったのだから。
臨床医は、患者を良くしてなんぼのもんじゃ。😠

私は、また息子に教えられた治療で、ひとりの患者、ひとつの家族を
救うことが出来ました。神様に感謝です。
現代医学で良くできない病気は、たくさんあります。
でも、あきらめないでください。必ずどこかに良くする方法を知っている
人がいます。時期が来れば出会えます。私のようなバカな医者に。😶‍🌫️
だから、決してあきらめないでください。

                     ありがとう。😍















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