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小説まとめ

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#短編

【再録】2月14日の靴箱【短編】

二月十四日。バレンタインデイ。
それは乙女にとっての一年に一回の戦いの日とも言える。なんてったって世間の同調圧力と周りの雰囲気により好意が滅多に突っぱねられない日なのだ。
内気で引っ込み思案のA子にとっては今日を逃せば一生内に秘めて終わるだけの恋心を発散させる日なんて存在しないようなものだった。
それに今相手は高校三年生。大学生を目指すA子と就職してしまうS郎。進路が離れ離れになってしまうS郎とは

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【再録】空が溶ける【SS】

そらが、とけている。
段々とずり落ちていく水色を見ながら、僕は首を傾げた。

いつから「そう」なっていたのかはわからない。
ふと、上を向いたら。まるでとろみがある液体の乗った板を立てかけた時のように青が下がっていたのだ。それは未だに何時間も何日もの時間をかけてゆっくりとずれ続けている。本来鮮やかに着色されるべきはずの場所は今は真っ黒に染まっていて、きっと下に隠れていたはずの宇宙が見えてしまっている

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【小説】六月の精霊【再録】

針谷恵、三十歳。無職。
死因、バイク走行中に水たまりで滑った事による頭部への打撃。
六月二十日、死去。
「ーーって死ねるかこんな事で!!!!!」
あまりの情けなさに飛び起きると、周りには医者や看護師が自分を囲っていた。曖昧な頭では理解が出来ないが、どうやら自分が目を覚ましたのは奇跡らしい。喜びながらもバタバタする医者達、泣き出す親兄弟、そしてよくわからん少年。
落ち着いて一人になった時には、日が暮

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【短編小説】二十三歳からの幕開け、それからの第二幕について

【短編小説】二十三歳からの幕開け、それからの第二幕について

 三年間側に置いていたキーボードを捨てることにした。
 経年劣化したから買い替え、ではない。単純に才能が無いのを自覚してしまったからだった。

 ピアノに魅入られたのは、大学を中退して特に目標も無くぶらぶらとフリーターとして燻っていた頃。その日は都内に単発バイトに行く予定があって、その帰り道の駅での事だった。
 クリスマスも近い日。駅にデカデカと置かれたグランドピアノに一人の男性が座っていた。よく

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【短編小説】内側から【SS】

たっだいま〜〜! あー疲れた。え、うん。そう、京都行ってきたの、二週間くらい。神社仏閣寺巡りってやつ?もう足パンパン!でも御朱印結構集まって満足!みたいな?こんな日はやっぱビールだよね!クリアアサヒが家で冷えてる心ウキウキワクワク〜〜なんてね!え?旅行行く前に冷蔵庫の電源落としてた?まっさか〜〜!だって冷えてるよ?クリアアサヒ。……ちょっとそんな怖いこと言わないでよ。そりゃ旅行行く前通話しながら

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