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週末、おうちでバル〜イカ・タコ・マテの三重奏

予期せぬ知らせは、いつも突然やってくる。

1年以上たって、ようやく

前にもこのあたりの記事で触れているが、ここフランスは言わずと知れた移民大国。私も移民のひとりとして住まわせてもらっているありがたい身ではあるのだが、フランス人にとってでさえ、この国の行政系手続きは、鬼門だ。


この記事の中で書いているように、私はこちらにきてすぐ、ビザですったもんだした後、健康保険を手に入れるのには結局トータル約1年かかった。コロナの影響ももちろんあるのかもしれないが、いろんな人の例を聞いているとまあこれくらいが通常運転。来月ビザの更新だから、冷や冷やが今から止まらない。

私がいくつか申請して滞っているもののひとつに、運転免許証があった。フランスのルールでは、外国から到着して1年以内に諸々の条件を満たした上で申請手続きすれば、外国の運転免許証をフランスのものに切り替えることができる。

父から「ユイちゃんは社会に迷惑かけるからくれぐれも運転しないように」とかねがね釘を刺されるほど、車の運転だけは不得手な私。よってかれこれ10年以上運転していないわけだが、人生何が起こるかわからない。こちらで一から取り直すのはめちゃくちゃ大変と聞いていたので、念のため申請することにしたのだ。

日本から取り寄せる書類がたくさんあって、全てに法定翻訳をかけて(1通1万円くらいする。ああ痛い出費)、書留で送付して書類のやりとりをしての繰り返しで、なかなか骨が折れた。

そして先週土曜日。私宛の不在票を郵便局に持っていったところ、封筒の中身はフランスの免許証だった!
最初に書類を送ってから8ヶ月。運転しないけどうれしすぎる。

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不在票。配達人の字が全然読めない

ちなみに有効期間は15年。以前は生涯有効だったらしい。
15年後に一体私はどこで何をしているのだろうかと考えながら、日本の家族に喜びを伝えた。父からは、「やめてくれー運転するのだけは」とお決まりのコメントが返ってきたけれど。

ということで、お祝いを

元々日曜の夜は、下処理して冷凍していた金曜日のイカをつかってイカ墨のパエリアにする予定だったけど、予期せぬ吉報朗報。こりゃあ祭りだ。祭りだ祭り。サブちゃんはまだ紅白出てるのかな?

イカ墨パエリアにタパスを数皿追加して、日曜夜はおうちバルを開店といこう。

ハマのQOLブチ上げお姉さんことぽなちゃんが、これまたタイミングよすぎるだろうなタイミングでタコのガリシア風を作っていたので、こちらもメニューに追加することにした。

コリコリの軟体動物ラブな私にとって、イカ・タコのダブルはそれだけで胸が高鳴るのである。


まずはタコのガリシア風

日曜の朝、雨の中犬散歩ついでにマルシェにいってタコを買ってきた。
これで500円くらい。
茹でる手間はあるけど、茹でたてを食べられるという特典つき。

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ストウブ鍋をしまうのが億劫だったので、茹ででもう一回働いてもらおう。
タコをよく塩もみして、茶葉とともに、7、8分ほどご入浴。
ぴょっこりと、セクシーなおみ足が顔を出す。

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湯上りタコには、氷水で毛穴をキュッと引き締めてもらいますよ。

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今日は若干長丁場なので、味見と称して、PATAさんから教えていただいた究極的つまみを用意するのだ。

茹でたてタコを薄く削ぎ切りにして、最近ハマってる桃屋の食べるラー油とちょこっとしょうゆで和えるだけ。

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レモンハイボールとともにミクニyoutubeみながら調理のお供。
サイコーまいうー。

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タコラー食べながら、タコをガリシア風に。
チリパウダーはエクストラホットに若干怖気付いたので、バスク唐辛子も用意してみた。

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作り方はぽなちゃんの記事を参考にしてもらいたいが、3行で説明できるくらいの簡単さ。

じゃがいもを水にさらして茹でて、お皿にじゃがいも、タコの順で並べる。
ここにみじん切りにしたにんにく、アンチョビをオリーブオイルで炒めたオイルソースを回しかけて、パセリのみじん切りと赤パウダーかけたら完成。

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次にイカ墨のパエリア

パエリアは、うちに常備してあるジャポニカ米でもインディカ米でもよいが、今日はちゃんとこだわってみよう。

最愛スペイン食堂エウセビオのイカ墨煮込みを作る際に、イカ墨ペーストを探し求めて訪れていた、近所のスペイン食材店。

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こちらでパエリア用の米っぽいものを購入。
スペイン語とイタリア語はフランス語と同じラテン系言語なので、何書いてあるかは大体わかる。っていうかパエリアって書いてあるからこれは難易度低いな。

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材料のメモ書きは、こんな感じ。

イカ:4ハイ
みじん切りにした玉ねぎ半分、にんにくひとかけ
細かく刻んだトマト中5個、大だと2個くらい?
スプーン1杯のトマトペースト、イカ墨ペースト2パウチ分
炒め煮るとき用の白ワイン適量
パエリア米を2合分
フュメ・ド・ポワソン、大体米と同量から少し多いくらい。400ccもあればよさげ。

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イカはワタも捨てずにちゃんと冷凍しておいた。

米を煮込むときに入れるのは、フュメ・ド・ポワソンのようだが、残念ながら常備していない。言うてもフュメ・ド・ポワソンは野菜+魚のダシなので、茅乃舎の野菜だしにあご出しの粉末を混ぜて使ってみることにした。いいのかどうかわからないが、構成要素としてはまちがってはいないだろう。

飾りで使おうと思って買っておいたパプリカは、結局使わなかった。

早速調理といこう。
今回は、そのまま食卓に出せてオーブンもいける超優秀鍋の筆頭、釜浅商店の南部浅鍋(大)に登場してもらう。
黒光りするイカ墨にマッチョな黒鍋、最高にクール。

まず鍋にオリーブオイルをひき、イカを炒めはじめる。

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おっと忘れちゃいけない内臓たち。グンとコクがでる。
Otto氏には死んでも見せてはならぬ。

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ある程度イカに火がとおったら、端っこに寄せて、玉ねぎとにんにくを加えて炒め、白ワインを回し入れる。その後、トマトとトマトペーストを投入。

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こんな感じになるまでしばらく煮詰める。
これだけでもう食べてしまってもいいくらい。
ここで、最後に上に飾るようの形がよさげな胴体とゲソを選抜して取り上げておく。

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フュメドポワソンもどきを入れて、木べらで鍋底をこそげとるように混ぜまぜ。

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イカ墨ペースト投入。
黒は全てを飲み込んでくれる。

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米を入れて、スープとよく絡ませる。

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神々しい黒光り。
ここまできたら、あとはゆっくりと水分を吸ってくれるのをまとう。

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大体カバーできる蓋をかぶせて、弱火で放置。
たまに様子見しながら、15分くらい。

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ちょっと芯が残っているくらいであとは蒸らしという名の保温。
オーブンを最低温度にして入れておく。
なお、この時点で米一粒にイカが乗り移っているかのようで、かなりイケてる。

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食べる直前に、あらかじめ選抜しておいた胴体とゲソ、レモン、パセリを並べて、パプリカパウダーをささっとふる。

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本当は、パエリアに合わせるアイオリソースも作ろうと思ったけど、今日のところは他のタパもあるので、カット。

仕上げは簡単ソテーのスペインししとうとマテ貝

パエリア米を購入したスペイン食材屋で、スペインのししとうも見つけたので思わず購入していた。

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バルセロナで一目惚れならぬ一口惚れして、ししとう嫌いを一瞬で克服。
どこでもししとう!ししとう!と騒いでいた食い倒れの旅を思い出す。

グリーンと黒のマッチョな鍋とのコントラストが美しいはず。
これは釜浅の南部浅鍋(小)を使おう。
オリーブオイル+にんにくでソテーするだけだ。

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マテ貝も同様に、オリーブオイル+にんにくでソテーするだけ

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スパニッシュといえば、先月書いたこの記事を読み返したけれど、今日のメニューはここに出てきてる食べ物だらけ(笑)
いかに私がバルセロナに魅せられたかがよくわかる。


オラ!バル・ユイじょり開店

全てのタパスがそろったところで、今宵は酒処ユイじょりからバル・ユイじょりへと姿を変えてオープン。
家の中は暑いくらいなので、冷えたロゼとともにいただく。

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これだけでも十分だけど、パン・コン・トマテとトルティージャと生ハムがあったら完璧だ。気分はバルセロナ。パリも大概だけど、バルセロナもコロナ大変なんだろうな…とありし日の楽しかった思い出を振り返る。

なお、スペインタパスは大体において、にんにくとオリーブオイルとレモン・パセリ・赤いパウダーがあれば「っぽく」なることが改めてよくわかった。
魚介系との相性がいいのも肯ける。

そしてイカ墨パエリア、やはり専用米だと、いい!
きちんとイカとスープの旨みを吸い込んでくれつつ、外側はコーティングされた感じが残るので、べちゃっともせず。これはいい買い物をした。

ちなみに本日のOtto氏、イカ墨パエリアはお気に召した模様。よかった!
ガリシアタコは避けて、じゃがいもは食べてた。タコ焼きのは食べるのに。
マテししとうは完全スルー。わかってはいたけれど。

パエリア米がジャポニカ米の在庫よりある我が家の食糧状況なので、おうちバルは定期で開催しようと思う。次はなんのパエリアにしようかな。


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今日の一枚は、昨日撮ったお気に入り
ルーブル前でナチュラルにTMになりきるの画





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